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東京電力HDは買いか売りか 2026年3月18日時点の最新材料と見方

東京電力HDは買いか売りか 2026年3月18日時点の最新材料と見方

総合評価: ★★☆☆☆(売り寄りだが、原発再稼働テーマで短期変動は大きい)

ひと言結論: 2026年3月18日時点の東京電力HDは、柏崎刈羽6号機の営業運転入り期待が短期株価を押し上げやすい一方、通期では巨額赤字・無配・福島関連費用の不確実性が重く、新規で追いかけて買うよりは慎重、短期で上がった場面は利益確定を意識したい銘柄です。

本稿の確認基準日は2026年3月18日です。なお、一般の株価・指標データは取得タイミングに遅れがあるため、本文では会社開示は2026年1月26日、四半期決算は2026年1月29日公表、株価指標は主に2026年3月6日から3月12日確認分を用いています。

目次

主要指標を先に整理

項目内容確認時点
証券コード95012026年3月時点
上場市場東証プライム会社開示の株式情報
株価624.9円2026年3月12日確認分
時価総額約1.03兆円2026年3月6日確認分
PBR0.33倍2026年3月6日確認分
PER会社予想赤字のため実質評価しにくい2026年3月6日確認分
ROE4.44%2026年3月6日確認分
予想配当0円2026年3月期会社予想
2026年3月期売上高予想6兆4,620億円2026年1月26日会社公表
2026年3月期経常利益予想2,770億円2026年1月26日会社公表
2026年3月期純利益予想▲6,410億円2026年1月26日会社公表
2025年度第3四半期累計純利益▲6,626億円2026年1月29日会社公表
自己資本比率20.6%2025年12月末時点

指標の見方

  • PBR 0.33倍は見た目だけならかなり低いです。
  • ただし、低PBR=割安確定ではありません。東京電力HDは、福島事故対応費用、廃炉、賠償、再稼働の遅延リスクを抱えており、同業より大きなディスカウントが付きやすい構造です。
  • 参考までに、同時期の主要電力株では中部電力のPBRが0.63倍、関西電力が0.86倍前後で、東京電力の低評価は収益力ではなくリスクプレミアムの大きさを映していると見たほうが自然です。
  • PERは会社予想最終赤字のため、通常の割安比較に使いにくい状態です。

なぜ本日高騰しやすいのか

2026年3月18日に東京電力株が買われやすい最大の理由は、柏崎刈羽原発6号機の営業運転入りがこの日程で見込まれていたことです。

事実関係を並べると、次の流れです。

  • 2026年2月6日、東京電力は柏崎刈羽6号機の営業運転開始を3月18日に延期する方針を示しました。
  • 2月中旬には試験的な送電が再開され、首都圏向け送電が約14年ぶりに始まったと報じられました。
  • 3月上旬時点でも、100%出力到達や3月18日営業運転入り見通しが市場で材料視されました。

株式市場の見方としては、柏崎刈羽6号機が1基でも安定稼働に入れば、東京電力の火力依存や燃料コスト負担の軽減期待が強まります。第五次総合特別事業計画でも、出力135.6万kWの原子力設備1基が稼働した場合、年間で約1,000億円の収支影響が見込まれると試算されています。

つまり、本日の上昇要因は「足元の業績改善」そのものより、「今後の利益体質が変わるかもしれない」という期待の先回りです。

一方で、この上昇はあくまでイベントドリブンの色が濃い点に注意が必要です。原発関連は、運転開始そのものよりも、安定稼働が継続できるか、7号機へ展開できるかで評価が変わります。

業績は良いのか 悪いのか

結論から言うと、本業の電力収支は持ち直し余地があるが、最終損益はまだかなり重いです。

2025年度第3四半期累計

2026年1月29日公表の決算説明資料では、2025年4月から12月累計で以下の内容でした。

  • 売上高: 4兆6,121億円
  • 経常利益: 3,475億円
  • 親会社株主に帰属する四半期純損失: ▲6,626億円
  • 特別損失: ▲9,762億円

四半期純損失が大きい主因は、災害特別損失9,056億円や原子力損害賠償費の計上です。つまり、通常の電力販売だけを見れば崩壊しているわけではありませんが、福島関連の特別損失が最終利益を大きく押し下げている構図です。

通期会社予想

2026年1月26日に公表した会社予想では、2026年3月期は以下の見通しです。

  • 売上高: 6兆4,620億円
  • 営業利益: 2,280億円
  • 経常利益: 2,770億円
  • 当期純損失: ▲6,410億円
  • 配当: 無配

経常利益が出ていても最終赤字が大きいので、投資家としては「収益改善期待」と「特損・政策コスト・事故負担」の綱引きを見る必要があります。

株価推移と需給の見方

確認できた株価推移では、東京電力HDは2026年2月に700円台前半まで買われた後、3月上旬に600円台前半から半ばへ押し戻しています。

  • 2026年2月19日終値: 715.0円
  • 2026年2月27日終値: 700.4円
  • 2026年3月6日終値: 642.7円
  • 2026年3月12日終値: 624.9円

この値動きから読めるのは、東京電力株が長期安定株というより、再稼働ニュースで大きく振れやすいテーマ株的な面を持っていることです。

出来高も数千万株規模で膨らみやすく、材料が出た日に資金が集中しやすい半面、材料出尽くしで反落しやすいのも特徴です。とくに今回のような「3月18日」という明確なイベント日程がある局面では、事実そのものより期待の織り込み度合いが株価を左右します。

非上場になるニュースはどう見るべきか

ここは誤解しやすい論点です。

私が確認した一次情報と主要報道の範囲では、2026年3月18日時点で東京電力HD本体の非上場化が正式決定した事実は確認できません。 会社の株式情報ページでも、東京電力HDは東証プライム上場として掲載されています。

では、なぜ「非上場になるのでは」という話が出やすいのか。背景は主に次の2点です。

  • 2026年1月に認定された第五次総合特別事業計画で、データセンターや脱炭素分野での外部提携・外部資本の受け入れ方針が示されたこと
  • 報道ベースで、中間持株会社の新設など組織再編も視野と伝わったこと

ただし、これはそのまま「東京電力HD本体が非上場化する」ことを意味しません。

現時点の見方としては、

  • 事実: 外部資本受け入れや組織再編の検討方針はある
  • 未確定: それが親会社のTOBや上場廃止に直結するかは不明
  • 投資家の解釈: 再編期待で短期的に思惑が先行しやすい

という整理が妥当です。

したがって、「非上場化ニュース」で強気になるより、再編で何が切り出され、誰が出資し、既存株主にどういう条件になるかを確認するのが先です。現状では、思惑先行の材料として扱うのが無難です。

今後の予測

強気シナリオ

  • 柏崎刈羽6号機が営業運転入り後も安定稼働する
  • 7号機再稼働への期待が続く
  • 原子力1基あたり年間約1,000億円の収支改善期待が現実味を帯びる
  • 第五次総合特別事業計画どおり、2027年3月期に当期純利益2,560億円計画へ近づく

この場合、東京電力株はPBRの低さを埋める方向で見直しが入りやすいです。短期では再び700円台回復を試す展開は十分あり得ます。

弱気シナリオ

  • 再稼働後に設備トラブルや追加停止が起きる
  • 福島第一原発の廃炉・デブリ取り出し費用がさらに膨らむ
  • 賠償・災害関連損失で最終赤字と無配が長引く
  • 政策・規制・地元同意のハードルで7号機や追加改革が遅れる

この場合、東京電力株は「低PBRだから安い」ではなく、低PBRのまま放置される銘柄になりやすいです。

強気材料と弱気材料

強気材料

  • 柏崎刈羽6号機の営業運転入り期待が株価材料として明確
  • 原子力1基稼働で年間約1,000億円の収支改善試算
  • 2027年3月期計画では純利益2,560億円を見込む
  • PBR0.33倍で、数値だけ見れば評価はかなり低い
  • データセンター、GX、外部提携など再成長テーマがある

弱気材料

  • 2026年3月期は最終赤字6,410億円予想
  • 第3四半期累計でも純損失6,626億円
  • 無配で株主還元妙味が乏しい
  • 福島関連費用の上振れ余地が残る
  • 原発再稼働は一度動けば終わりではなく、安定稼働の実績が必要
  • 非上場化や再編の話は、現時点では思惑先行の部分が大きい

最終判断 買いか売りか

現時点の判断は「新規は買いより様子見、二択なら売り寄り」です。

理由は単純で、今の東京電力HDは

  • 短期では原発再稼働期待で上がりやすい
  • しかし中身はまだ巨額赤字、無配、費用不確実性を抱える

という、期待先行型の相場だからです。

すでに保有していて、3月18日前後のイベントで株価が大きく上がるなら、一部利益確定を検討しやすい局面です。逆に新規で入るなら、営業運転開始の事実確認だけでなく、

  • 数週間から数カ月の安定稼働
  • 7号機の具体的工程
  • 次回決算での収益改善の実数字

まで見てからでも遅くありません。

短期の値幅取りを狙う人には面白い銘柄ですが、中長期の安心感で買う銘柄ではまだない。これが、2026年3月18日時点の東京電力HDに対する実務的な見方です。

次に確認したいポイント

  • 柏崎刈羽6号機が3月18日以降も安定稼働を継続できるか
  • 7号機の再稼働時期が具体化するか
  • 2026年3月期本決算で、特損と来期見通しがどう出るか
  • 外部資本受け入れや組織再編が、既存株主に有利か不利か
  • 配当再開の道筋が見えるか

参照リンク

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