ストック収益が積み上がる日本株10選 乱高下相場でも見たい安定成長の本命
テーマ評価: ★★★★☆
ひと言結論: いま狙うなら、単発案件よりも月額課金、保守、決済手数料、会員課金が積み上がる企業群です。中でも本命はオービック、GMOペイメントゲートウェイ、大塚商会、IIJ。一方で、ラクス、Sansan、eWeLLは成長力が高いぶん、決算後の値動きも大きくなりやすい銘柄です。
投資判断は自己責任であり、本記事の内容は将来の成果を保証するものではありません。確認日は2026年5月5日です。業績は各社の直近決算・月次開示、株価・PER・PBR・ROEは2026年4月14日から4月17日に更新された直近の公開データをベースに整理しています。
最初に結論を置くと、このテーマで重要なのは「ストック売上がある」こと自体ではありません。その収益が利益率を押し上げているか、解約率を抑えながら伸びているか、そして次の決算でも崩れにくいかです。安定感を優先するなら大型の基幹システム、決済、保守運用。値幅も狙うならSaaSの高成長組です。
- 本命の4銘柄: オービック、GMOペイメントゲートウェイ、大塚商会、IIJ
- 高成長の注目組: ラクス、Sansan、eWeLL
- 配当も欲しい読者向け: USS、トレンドマイクロ、JBCC
- 次の山場: 5月12日から15日にかけての決算発表
なぜ今、ストック型収益の銘柄を見るのか
5月1日の東京市場は、日経平均が59,513.12円で前日比0.38%高、TOPIXが3,728.73で0.04%高でした。大型連休前で様子見が出る一方、指数は大きく崩れていません。
こういう地合いで差が出やすいのが、受注一発で利益がぶれやすい企業と、毎月売上が積み上がる企業です。ストック型収益が強い会社は、次の四半期の売上がある程度見えているので、景気や金利でバリュエーションが揺れても、業績の土台が残りやすい。今回の10社は、その視点で選びました。
ここがポイント: ストック型銘柄は「売上の伸び」だけでなく、営業利益率、継続率、増配や自社株買いの余力まで見て初めて強さが分かります。
10銘柄の比較一覧
以下の買いレンジと見直しラインは、直近株価、25日移動平均水準、直近高値圏、決算イベントを踏まえた監視シナリオです。断定的な売買指示ではありません。
| 銘柄 | 評価 | 向く投資スタイル | 監視買いレンジ | 利確・見直しライン | 主な見どころ |
|---|---|---|---|---|---|
| オービック(4684) | ★★★★★ | 中期・長期 | 3,950〜4,050円 | 4,300〜4,450円 | 基幹システムの保守・追加開発が厚く、高収益 |
| GMO-PG(3769) | ★★★★☆ | 中期・長期 | 8,400〜8,700円 | 9,500〜10,000円 | 決済手数料の積み上がりと利益成長 |
| 大塚商会(4768) | ★★★★☆ | 中期・配当 | 2,900〜3,000円 | 3,200〜3,350円 | 保守・サポートの厚い顧客基盤、配当も見やすい |
| IIJ(3774) | ★★★★☆ | 中期・長期 | 2,450〜2,520円 | 2,700〜2,850円 | ネットワークと法人サービスの継続課金 |
| ラクス(3923) | ★★★★☆ | 短期・中期 | 790〜830円 | 900〜980円 | クラウドのストック売上が高成長 |
| トレンドマイクロ(4704) | ★★★★☆ | 中期・配当 | 5,250〜5,350円 | 5,700〜6,000円 | セキュリティ契約と株主還元 |
| USS(4732) | ★★★★☆ | 中期・配当 | 1,700〜1,740円 | 1,820〜1,900円 | 会員制オークションの高収益モデル |
| eWeLL(5038) | ★★★★☆ | 中期 | 2,000〜2,080円 | 2,250〜2,400円 | 訪問看護SaaSの高成長と高利益率 |
| JBCC HD(9889) | ★★★★☆ | 中期・配当 | 1,260〜1,290円 | 1,380〜1,450円 | クラウド・セキュリティの積み上げ型収益 |
| Sansan(4443) | ★★★☆☆ | 短期・中期 | 1,150〜1,200円 | 1,300〜1,400円 | Bill Oneの伸びは強いが、評価はまだ高い |
本命はこの4銘柄
1. オービック(4684)
★★★★★ | 安定成長の軸に置きやすい銘柄です。
- 4月15日終値: 4,130円
- PER予想: 25.75倍
- PBR: 3.73倍
- ROE予想: 14.49%
- 2026年3月期3Q売上高: 1,001億円、前年同期比11.6%増
- 2026年3月期3Q営業利益: 662億円、前年同期比13.1%増
オービックの強みは、ERP導入の初期案件よりも、その後に続く保守、追加開発、周辺機能の深掘りです。売上成長率だけ見るとSaaS新興株ほど派手ではありませんが、利益率の高さが別格です。高収益のまま二桁成長を続けられる企業は、相場が荒れても買い直されやすい。
弱点は、株価が大崩れしにくい一方で、割安感も出にくいことです。決算で大きな上方修正がないと、短期では値幅が限られやすい。3,950円前後まで押す場面があれば、中期で拾いやすい水準です。
2. GMOペイメントゲートウェイ(3769)
★★★★☆ | ストック型の代表格。決済回数がそのまま積み上がります。
- 4月17日終値: 9,071円
- PER予想: 29.45倍
- PBR: 6.26倍
- ROE予想: 21.25%
- 2026年9月期1Q売上収益: 224.9億円、前年同期比10.8%増
- 2026年9月期1Q営業利益: 85.6億円、前年同期比18.0%増
- 予想配当利回り: 1.87%
同社の強みは、加盟店の増加だけでなく、既存顧客の決済流量が積み上がることです。オンライン、継続課金、対面決済まで広く押さえており、景気敏感株よりも売上の見通しを立てやすい。
一方で、PBRはまだ高く、金利上昇やグロース株調整の局面では真っ先に売られやすい面があります。8,400円台まで押しても、1Qの利益進捗が崩れていないなら監視継続。逆に9,500円を超えてくるなら、次は通期進捗との整合を見たいところです。
3. 大塚商会(4768)
★★★★☆ | 配当も欲しい読者に向く、現実的な安定成長株です。
- 4月15日終値: 3,011円
- PER予想: 18.68倍
- PBR: 2.90倍
- ROE予想: 15.50%
- 2025年12月期売上高: 1兆3,227億円、前期比19.4%増
- 2025年12月期営業利益: 899億円、前期比21.0%増
- 2026年12月期サービス&サポート事業売上予想: 前期比8.1%増
- 予想配当利回り: 3.16%
大塚商会は、機器販売の印象が強い企業ですが、株価の土台を支えるのは「たよれーる」を中心とした保守・サポート収益です。景気減速局面でも、企業はシステムを止められません。ここが強い。
弱気材料は、今期会社計画がかなり保守的で、売上全体は微減予想なことです。機器更新需要の反動が出ると、株価は伸び切れない可能性がある。それでも、3,000円近辺で配当と安定成長を両取りしやすい銘柄です。
4. IIJ(3774)
★★★★☆ | 法人向け継続課金の質が高く、地味でも崩れにくい。
- 4月14日終値: 2,556円
- PER予想: 19.70倍
- PBR: 2.98倍
- ROE予想: 15.15%
- 2026年3月期3Q売上収益: 2,493.3億円、前年同期比8.7%増
- 2026年3月期3Q営業利益: 244.1億円、前年同期比17.9%増
- 予想配当利回り: 1.53%
IIJは法人ネットワーク、クラウド、セキュリティ、MVNOまで、毎月積み上がる契約が厚い会社です。派手なテーマ株ではありませんが、継続収益の質が高く、利益の伸びが売上以上に出やすい。
注意点は、設備投資負担や通信単価競争です。成長率だけ見ればSaaS専業より見劣りするため、決算が無難でも株価が横ばいに留まることがあります。2,450円前後なら押し目候補、2,700円超では次の決算確認を挟みたい銘柄です。
10銘柄の個別評価
ラクス(3923)
★★★★☆ | 高成長を買うなら有力。ただし決算跨ぎは軽くしたい。
- 4月15日終値: 862円
- PER予想: 25.24倍
- PBR: 10.99倍
- ROE予想: 43.53%
- 2026年3月度全社月次売上高: 54.7億円、前年同月比19.8%増
- 同クラウド事業売上高: 46.75億円、前年同月比19.1%増
クラウド事業のストック売上が伸び続けている点は明快です。特に「楽楽」シリーズは企業の経理・バックオフィスに食い込んでおり、解約されにくい。
ただし、PBRはかなり高い。高評価が前提の株なので、成長鈍化のサインには敏感です。800円割れを拾うか、900円接近で一度利確を考えるのが現実的です。
トレンドマイクロ(4704)
★★★★☆ | セキュリティ契約の積み上がりと還元強化を両方見たい銘柄。
- 4月15日終値: 5,459円
- PER予想: 19.49倍
- PBR: 5.59倍
- ROE予想: 28.70%
- 2025年12月期売上高: 2,759.8億円
- 2025年12月期営業利益: 577.7億円
- 配当利回り: 3.39%
サイバー防衛は景気後退でも削りにくい費目です。契約更新型のビジネスと株主還元の組み合わせで、守りと収益性の両方を取りにいけます。
一方で、為替の影響や海外競争の激化は無視できません。5,300円前後の押し目は見やすいですが、6,000円に近づく局面では業績上振れの裏付けが必要です。
USS(4732)
★★★★☆ | 会員制ビジネスの強さが数字に直結している銘柄です。
- 4月15日終値: 1,742円
- PER予想: 20.22倍
- PBR: 4.12倍
- ROE予想: 20.40%
- 2026年3月期3Q売上高: 829.7億円、前年同期比8.2%増
- 2026年3月期3Q営業利益: 438.9億円、前年同期比10.2%増
- 年間配当予想: 51.8円
USSはSaaS銘柄ではありませんが、会員制オークションという意味で、非常に強いストック性を持っています。中古車流通量と会員基盤が噛み合うと、高い利益率を維持しやすい。
弱点は、中古車相場や輸出環境の変化が業績に効くことです。完全なディフェンシブではありません。それでも1,700円台前半なら、配当と業績の両面で見やすい位置です。
eWeLL(5038)
★★★★☆ | 小型でも業績の質が良い。訪問看護DXの本命候補。
- 4月15日終値: 2,116円
- PER予想: 24.28倍
- PBR: 9.56倍
- ROE予想: 39.38%
- 2025年12月期売上高: 33.92億円、前期比31.9%増
- 2025年12月期営業利益: 15.37億円、前期比35.3%増
- 予想配当利回り: 0.99%
売上成長に対して利益率が高く、訪問看護向けSaaSとしてのポジションも分かりやすい。成長株の中では、数字の説得力が強い部類です。
ただし、小型株なので需給の荒さは大きい。決算前後でギャップを伴う値動きになりやすく、2,000円割れまで振れるリスクは常にあります。押し目を待つ姿勢のほうが無理がありません。
JBCCホールディングス(9889)
★★★★☆ | 地味でも利益率改善が続く、配当向きのストック株。
- 4月17日終値: 1,309円
- PER予想: 15.39倍
- PBR: 3.20倍
- ROE予想: 20.81%
- 2026年3月期3Q売上高: 564.7億円、前年同期比7.8%増
- 2026年3月期3Q営業利益: 54.3億円、前年同期比15.5%増
- 予想配当利回り: 3.21%
クラウドとセキュリティの積み上げ型売上が効いて、利益率が改善しています。PER15倍台と、今回の10社では相対的に手を出しやすい。
弱点は、テーマ性の強いグロース株ほど資金が集中しにくい点です。短期で派手な上昇を期待する銘柄ではありません。1,260円近辺なら中期保有の形が作りやすいです。
Sansan(4443)
★★★☆☆ | Bill Oneの伸びは魅力だが、評価先行には注意。
- 4月14日終値: 1,220円
- PER: 364.38倍
- PBR: 8.57倍
- ROE: 2.87%
- 2026年5月期3Q累計売上高: 392.65億円、前年同期比26.1%増
- 調整後営業利益: 60.87億円、前年同期比131.1%増
Bill Oneの伸びは明確で、MRR純増の拡大も続いています。成長ストーリーはまだ生きています。
ただ、利益改善が進んでも、株式指標はなお高い。市場は成長の継続をかなり織り込んでいるので、決算で少しでも鈍化が見えると売られやすい。1,150円近辺まで引きつけたい銘柄です。
投資スタイル別に見るとどう使い分けるか
短期で見るなら
- ラクス
- Sansan
- eWeLL
この3社は、成長率が高いぶん、決算の上振れで一気に買われやすい半面、期待未達にも弱いです。イベント前に持ち過ぎないほうが管理しやすいテーマです。
中期で持ちやすいのは
- オービック
- GMOペイメントゲートウェイ
- IIJ
- 大塚商会
- JBCC
業績の見通しが立ちやすく、事業の継続性が比較的高い顔ぶれです。押し目待ちが基本ですが、業績のブレが比較的小さいのはこのグループです。
長期でじっくりなら
- オービック
- IIJ
- 大塚商会
- トレンドマイクロ
契約更新、保守、セキュリティ、法人インフラという、消えにくい支出に乗っている企業を優先したいところです。
共通リスクと、次に見るべきポイント
今回のテーマは強いですが、無条件で安全という話ではありません。共通リスクははっきりあります。
- 高PERのSaaS株は、売上成長の鈍化だけでなく、営業利益率の伸び鈍化でも売られやすい
- 人件費上昇は、サポートや営業人員の多い会社の利益率を圧迫しやすい
- 円金利や米金利の上振れは、グロース株のバリュエーション縮小につながる
- 法人IT投資が慎重化すると、導入件数の伸びが鈍る可能性がある
次の立会日以降で特に見たいのは、次のイベントです。
- 5月12日: USS決算
- 5月13日: JBCC決算
- 5月14日: IIJ、ラクス決算
- 5月15日: eWeLL決算
このテーマで本当に強い銘柄は、単にストック売上比率が高い会社ではありません。決算後も高値を維持できる会社です。5月中旬の決算シーズンで、売上成長だけでなく利益率、増配、自社株買い、翌期見通しまで確認したいところです。
参照リンク
- IRBANK 市況 2026年5月1日
- Sansan 2026年5月期第3四半期決算説明資料
- Sansan(4443)の株式情報 | IRBANK
- ラクス 2026年3月度月次売上高 | Japan IR
- ラクス(3923)の株式情報 | IRBANK
- eWeLL 2025年12月期決算関連 | Japan IR
- eWeLL(5038)の株式情報 | IRBANK
- GMOペイメントゲートウェイ 2026年9月期第1四半期決算 | Japan IR
- GMOペイメントゲートウェイ(3769)の株式情報 | IRBANK
- 大塚商会 2025年12月期 決算の概況
- 大塚商会(4768)の株式情報 | IRBANK
- IIJ 2026年3月期第3四半期業績説明資料要約 | Japan IR
- インターネットイニシアティブ(3774)の株式情報 | IRBANK
- トレンドマイクロ 年度推移
- トレンドマイクロ 2025年12月期決算短信
- トレンドマイクロ(4704)の株式情報 | IRBANK
- USS 決算短信・決算説明会資料
- USS 2026年3月期第3四半期決算短信
- ユー・エス・エス(4732)の株式情報 | IRBANK
- オービック 2026年3月期第3四半期決算 | Japan IR
- オービック(4684)の株式情報 | IRBANK
- JBCCホールディングス 2026年3月期第3四半期決算 | Japan IR
- JBCC HD(9889)の株式情報 | IRBANK
