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捨てる資源を利益に変える日本株10選 都市鉱山・再資源化の実力を比較

電子基板や使用済み電池から金属資源を回収する都市鉱山施設。

捨てる資源を利益に変える日本株10選 都市鉱山・再資源化の実力を比較

総合評価:★★★★☆(中長期で注目)

結論から言えば、このテーマで優先して見たいのは、回収量の拡大だけでなく、回収・選別・製錬・高純度化まで自社でつなげられる企業です。総合力ではDOWAホールディングス、収益性では松田産業とAREホールディングス、成長余地ではアサカ理研とエンビプロ・ホールディングスが有力候補になります。

一方、金属価格が上がれば全社が同じように儲かるわけではありません。回収原料の調達費、製錬費、電力費、在庫評価、設備投資負担によって利益の出方は大きく異なります。

本記事は2026年8月1日時点で確認できた企業開示と市場データを基にした情報整理です。投資判断は自己責任であり、掲載内容は将来の運用成果を保証しません。株価指標は主に2026年5月22日、松田産業は同年7月14日の参照値であり、実際の売買前に最新株価と開示資料を再確認してください。

この記事で分かること

  • 都市鉱山関連企業の「回収型」「製錬型」「代替・再生材料型」の違い
  • PER、PBR、ROE、配当利回りから見た10社の評価差
  • 短期・中期・長期で異なる監視ライン
  • 金属価格上昇だけでは判断できない共通リスク
目次

都市鉱山株は「資源価格」より回収網と処理技術で選ぶ

このテーマの本質は、廃棄物の量ではなく、含まれる金属を採算よく取り出せるかにあります。

使用済み電子機器、半導体製造工程の廃液、自動車部品、触媒、リチウムイオン電池には、金、銀、銅、白金族、ニッケル、コバルト、リチウムなどが残っています。これらを回収して再び材料として供給できれば、輸入鉱石への依存低下と廃棄物削減を同時に進められます。

ただし、企業業績への波及経路は一様ではありません。

  • 回収・集荷型:処理量と原料調達力が売上を左右する
  • 製錬一貫型:複数金属を回収できる設備と操業効率が重要
  • 高純度材料型:半導体や電子部品向けの品質認証が参入障壁になる
  • 電池再資源化型:量産設備の稼働率と電池スクラップの確保が焦点になる
  • 代替・省資源型:希少金属の使用量を減らす材料技術が価値を持つ

このため、単に「リサイクル事業を持つ」という理由だけで評価するのは危険です。売上規模、利益率、設備稼働率、金属価格への感応度まで確認する必要があります。

注目10銘柄の比較一覧

収益実績、資本効率、割高・割安、テーマへの直接度を合わせて比較すると、同じ都市鉱山株でも役割がはっきり分かれます。

以下の購入・売却ラインは断定的な売買指示ではなく、記載した参照株価を起点とする監視条件です。

銘柄評価主な役割向く期間購入監視ライン利益確定・見直しライン
DOWA HD
5714
★★★★☆回収から製錬まで中長期参照値から5〜10%調整予想PER13倍超、またはROE低下
松田産業
7456
★★★★★貴金属回収・再資源化中長期PER8〜9倍近辺を維持PER12倍超かつ利益鈍化
ARE HD
5857
★★★★☆貴金属・環境保全中期配当利回り4%前後PER12倍超、または金属市況反落
アサカ理研
5724
★★★☆☆貴金属・電池材料中長期25日線回復後の押し目PBR3倍超で業績据え置き
エンビプロHD
5698
★★★★☆金属資源循環・電池長期PER12〜14倍ROE8%割れが定着
TRE HD
9247
★★★☆☆廃棄物処理・資源循環中長期PBR0.8倍台PBR1倍超で利益停滞
三菱マテリアル
5711
★★★☆☆銅・貴金属リサイクル中期PBR0.8〜0.9倍PBR1倍超または製錬採算悪化
住友金属鉱山
5713
★★★☆☆非鉄製錬・電池材料中長期PER15倍前後への調整金属価格下落と増産遅延の併発
JX金属
5016
★★★☆☆高純度材料・金属循環長期PBR4倍割れを待つPBR5倍超で成長率鈍化
新日本電工
5563
★★☆☆☆合金鉄・電池材料再生短中期PBR0.8倍前後PER高止まりと低ROE継続

1. DOWAホールディングス(5714)— 一貫処理の総合力

回収から製錬、電子材料までのつながりを重視するなら、最もテーマの中心に近い大型株です。

環境・リサイクル、製錬、電子材料、金属加工、熱処理を展開し、多種類の廃棄物から有価金属を取り出せることが強みです。2026年5月22日時点の予想PERは10.78倍、PBRは1.35倍、予想ROEは12.51%、予想配当利回りは3.25%でした。

  • 強気材料:二桁ROEと3%台の配当を両立。回収だけでなく製錬設備を持つため、複雑な原料を処理できる
  • 弱気材料:亜鉛や銅などの市況、製錬所の定期修繕、エネルギー費が利益を振らせる
  • 向くスタイル:中長期の分散投資
  • 監視ライン:参照株価から5〜10%下の押し目、または予想PER10倍前後。PER13倍を超えてROEが低下する局面は利益確定を検討

2. 松田産業(7456)— 利益成長と資本効率で一歩リード

足元の業績とバリュエーションの組み合わせでは、10社中で最も評価しやすい銘柄です。

電子デバイス製造工程から貴金属を回収・精製する貴金属関連事業と、食品関連事業を持ちます。2026年3月期は売上高6,878億円、営業利益224億円、純利益168億円。2027年3月期会社予想は売上高7,000億円、営業利益240億円、純利益171億円です。

2026年7月14日時点の予想PERは8.43倍、PBRは1.22倍、予想ROEは14.44%、予想配当利回りは1.97%でした。利益成長に対してPERが低く、食品事業が金属市況の変動を一部和らげます。

  • 強気材料:2026年3月期の営業利益は前期比77%増。翌期も増益予想で、ROEは14%台
  • 弱気材料:金や銀の価格上昇は売上を膨らませる一方、仕入れ資金や運転資本も増やす。営業利益率は3%台と高くない
  • 向くスタイル:中長期の業績重視
  • 監視ライン:PER8〜9倍を購入候補。PER12倍超まで上昇した一方で営業増益率が一桁に落ちれば、保有比率を見直す

3. AREホールディングス(5857)— 高配当と貴金属市況の両面

配当収入を受け取りながら貴金属回収の成長を追う中期型です。

主力は貴金属事業と環境保全事業です。2026年3月期の売上収益は5,699億円、親会社帰属利益は244億円。2027年3月期は売上収益6,800億円、同利益290億円を見込みます。

2026年5月22日時点では予想PER9.9倍、PBR1.25倍、予想ROE12.58%、予想配当利回り3.82%でした。

  • 強気材料:翌期も二桁の最終増益予想。予想PER10倍未満で配当利回りは4%近い
  • 弱気材料:金属価格やヘッジ損益により、売上規模と実際の収益力がずれることがある
  • 向くスタイル:中期・配当重視
  • 監視ライン:利回り4%前後を購入候補。PER12倍超では金属価格上昇が利益予想に織り込まれているかを確認

4. アサカ理研(5724)— 電池リサイクルの成長期待を買う小型株

業績の伸びしろは大きいものの、期待先行になりやすいため価格管理が欠かせません。

貴金属回収に加え、リチウムイオン電池からリチウム、ニッケル、コバルトなどを回収する技術が焦点です。2026年5月22日時点の株価は2,832円、予想PER18.16倍、PBR2.63倍、予想ROE14.51%、予想配当利回り0.42%でした。株価は25日移動平均を約9.8%下回っていました。

  • 強気材料:2026年5月に通期業績予想を修正。小型株のため事業の量産化が利益に与える影響は大きい
  • 弱気材料:PBRは同業大手より高く、配当利回りは低い。設備稼働率や原料確保が遅れると評価調整が起きやすい
  • 向くスタイル:長期成長、値動きを許容できる投資家
  • 監視ライン:25日線を回復した後の押し目を候補とし、PBR3倍超で利益予想が増えない場合は追わない

5. エンビプロ・ホールディングス(5698)— 中小型の資源循環本命

再生原料と電池リサイクルの拡張を長期で追う銘柄です。

金属スクラップの集荷、選別、再生原料化に加え、リチウムイオン電池の再資源化を育成しています。2026年5月22日時点の予想PERは13.81倍、PBR1.38倍、予想ROE9.98%、予想配当利回り2.52%でした。

  • 強気材料:予想ROEは約10%で、都市鉱山テーマへの事業の直接度が高い
  • 弱気材料:鉄スクラップなどの商品市況、設備投資先行、電池原料の集荷量不足が収益を圧迫し得る
  • 向くスタイル:長期の成長投資
  • 監視ライン:PER12〜14倍を基本レンジとし、量産設備の稼働率上昇を確認して買い増す。ROE8%割れが続けば見直す

6. TREホールディングス(9247)— 廃棄物処理から資源循環へ

金属だけに依存せず、廃棄物処理の基盤収益を持つ点が特徴です。

2026年5月22日時点の株価は1,530円、予想PER17.55倍、PBR0.87倍、予想ROE4.95%、予想配当利回り3.27%でした。同日公表された中期経営計画は成長余地を示す一方、現時点のROEは高くありません。

  • 強気材料:PBR1倍割れ、3%台の配当、廃棄物処理から再資源化までの事業基盤
  • 弱気材料:予想ROE約5%に対してPERは17倍台。大型投資が利益に変わるまで時間を要する
  • 向くスタイル:中長期・配当併用
  • 監視ライン:PBR0.8倍台を購入候補。PBR1倍を超えてもROEが5%前後なら利益確定を優先

7. 三菱マテリアル(5711)— 割安さはあるが改善確認が先

PBR1倍割れは魅力ですが、製錬採算と資本効率の改善が評価上昇の条件です。

銅製錬、貴金属回収、超硬製品などを展開します。2026年5月22日時点の株価は5,038円、予想PER13.44倍、PBR0.89倍、予想ROE6.66%、予想配当利回り2.3%でした。

  • 強気材料:PBR1倍割れで、資産価値から見た割高感は小さい。電子廃棄物を処理できる製錬基盤を持つ
  • 弱気材料:ROEは一桁。製錬マージン、エネルギー費、事業再編の実行力が評価を左右する
  • 向くスタイル:中期のバリュー投資
  • 監視ライン:PBR0.8〜0.9倍が候補。PBR1倍回復時はROE8%への改善が伴っているかを確認

8. 住友金属鉱山(5713)— 資源・製錬・電池材料を一社で持つ

都市鉱山専業ではありませんが、電池材料と非鉄製錬を長期で追う大型株です。

2026年5月22日時点の株価は9,500円台、予想PER18.5倍、PBR1.24倍、予想ROE6.7%、予想配当利回り2.18%でした。2025年末の5,000円台から大きく上昇しており、資源価格への期待が株価に反映されています。

  • 強気材料:鉱山権益、製錬、正極材まで広い。2026年5月には増配、自己株式取得・消却を公表
  • 弱気材料:ニッケルや銅価格、為替、鉱山操業の影響が大きい。ROEに対してPERは低くない
  • 向くスタイル:中長期の資源分散
  • 監視ライン:PER15倍前後への調整を待つ。金属価格下落と増産計画の遅延が重なれば保有前提を再点検

9. JX金属(5016)— 成長力は高いが評価も高い

高純度材料の収益性は魅力ですが、都市鉱山という理由だけで現在のバリュエーションを正当化できません。

2026年3月期は売上高8,846億円、親会社帰属利益1,046億円。2027年3月期は売上高9,300億円、同利益1,140億円を見込みます。2026年5月22日時点の株価は3,994円、予想PER32.45倍、PBR5.09倍、予想ROE15.69%でした。

  • 強気材料:ROE15%台。半導体用スパッタリングターゲットなど高付加価値分野が利益を支える
  • 弱気材料:PBR5倍台、PER30倍台で期待値が高い。転換社債や自己株式公開買付けなど資本政策の影響も確認が必要
  • 向くスタイル:長期成長だが押し目限定
  • 監視ライン:PBR4倍割れ、または利益成長によってPER25倍程度まで低下する局面を待つ。成長率が一桁に鈍化したままPBR5倍超なら見直す

10. 新日本電工(5563)— 割安資産株か、低収益株か

PBRは低いものの、収益性が改善しなければ割安さは解消されません。

合金鉄や機能材料を手掛け、電池材料の再資源化にも接点があります。2026年5月22日時点の株価は495円、PER43.56倍、PBR0.86倍、ROE2.18%、予想配当利回り2.63%でした。

  • 強気材料:PBR1倍割れで、業績回復時の評価余地がある
  • 弱気材料:現在の利益水準に対するPERは高く、ROEも2%台。合金鉄市況と電力費の影響を受けやすい
  • 向くスタイル:短中期の業績回復確認型
  • 監視ライン:PBR0.8倍前後でも、四半期利益の回復を確認してから。PER高止まりと低ROEが続く場合は売却優先

投資期間別の使い分け

同じテーマでも、短期は材料、中期は利益予想、長期は回収網と設備稼働率を見るべきです。

短期向け

決算修正や還元策への反応を狙うなら、AREホールディングス、住友金属鉱山、新日本電工が候補です。ただし金属価格や為替で日々の値幅が広がりやすく、決算をまたぐ場合は保有量を抑える必要があります。

中期向け

松田産業、DOWAホールディングス、三菱マテリアルは、次の2〜3四半期で利益率と資本効率を検証しやすい銘柄です。株価上昇より先に、営業利益とROEが伸びているかを見ます。

長期向け

アサカ理研、エンビプロ・ホールディングス、JX金属は設備投資や顧客認証の成果が表れるまで時間がかかります。購入時点のテーマ性より、処理量、歩留まり、設備稼働率、投資回収期間を追う投資に向きます。

過去の資源高局面との違い

今回の評価軸は、単純な資源価格上昇だけでなく、国内で循環させる能力へ広がっています。

過去の非鉄株上昇局面では、銅、ニッケル、金などの価格と円安が主な利益変動要因でした。現在もその影響は大きいものの、電子機器や電池の廃棄量増加、供給網の分断リスク、メーカーによる再生材利用の拡大が新しい需要を作っています。

一方で、再資源化設備を建てれば自動的に高収益になるわけではありません。原料を継続的に集め、一定品質で分離し、販売先の認証を取って初めて利益になります。この点で、既存の集荷網を持つ松田産業、製錬設備を持つDOWA、材料顧客を持つJX金属には優位性があります。

テーマ全体の共通リスク

最大のリスクは、金属価格の下落よりも、原料確保と設備稼働率が計画を下回ることです。

  • 回収業者間の競争で廃電子基板や電池スクラップの仕入れ価格が上がる
  • 電力、薬品、輸送、人件費が上昇し、処理量が増えても利益率が上がらない
  • 金属価格の急落で在庫評価損が発生する
  • 新設備の立ち上げ遅延や低稼働が減価償却負担を重くする
  • 輸出入規制や廃棄物関連規制の変更で、回収原料の流れが変わる
  • 技術進歩で電池の材料構成が変わり、回収対象金属の価値が低下する

ここがポイント: 「回収量が増えたか」だけでなく、「回収量1トン当たりの利益」「設備稼働率」「運転資本」「ROE」が同時に改善しているかを見る必要があります。

次の決算で確認する5項目

次の上昇局面を見極めるには、テーマ報道より四半期数字の変化が重要です。

  1. 貴金属・非鉄金属セグメントの営業利益率
  2. リチウムイオン電池再資源化設備の稼働率と処理量
  3. 棚卸資産と営業キャッシュフローのバランス
  4. 設備投資額に対する増分利益とROIC
  5. 増配、自社株買い、政策保有株縮減などの還元策

現時点では、業績と割安さの両立なら松田産業、事業の一貫性ならDOWAホールディングス、配当ならAREホールディングスが比較の軸になります。成長株を選ぶ場合は、アサカ理研やJX金属をテーマだけで追いかけず、バリュエーションが利益成長に見合う水準まで下がるかを待ちたいところです。

次の決算では売上高よりも、処理量増加が営業利益とキャッシュフローへ変わったかを確認してください。そこが、都市鉱山を一時的な材料株と長期の収益成長株に分ける境目です。

参照リンク

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