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INPEX(1605)は悪化するイラン情勢で注目か 原油高メリットと業績下振れリスクを分けて点検

INPEX(1605)は悪化するイラン情勢で注目か 原油高メリットと業績下振れリスクを分けて点検

総合評価:★★★★☆(やや買い寄り) ひと言でいえば、イラン情勢の悪化で原油・LNG価格が高止まりしやすい局面では、日本株の中でも業績連動が比較的わかりやすい有力候補です。一方で、株価はすでにかなり織り込みを進めており、短期では高値警戒も必要です。

2026年3月31日時点の情勢認識としては、中東情勢の緊迫化で原油市況の変動が大きくなっています。なお、本文中の株価・バリュエーションは主に2026年3月27日確認、一部の株価更新は2026年3月30日確認、業績数値は2026年2月12日発表の会社資料に基づきます。

目次

主要指標

項目数値確認時点
株価4,687円2026年3月27日
株価4,900円2026年3月30日更新ページ
時価総額約5.4兆円2026年3月27日
PER14.18倍2026年3月27日
PBR1.15倍2026年3月27日
配当利回り2.30%2026年3月27日
2025年売上収益2兆0113億円2025年実績
2025年親会社株主帰属利益3938億円2025年実績
2026年予想売上収益1兆8930億円会社予想
2026年予想親会社株主帰属利益3300億円会社予想
ROE8.2%2025年実績
2026年年間配当予想108円会社予想

数値だけ見ると、PBRはまだ1倍台前半で、極端な割高圏とまでは言いにくい水準です。対してPERは原油高で利益期待が乗る局面では許容されやすいものの、地政学リスク相場の熱が冷めると調整しやすい水準に入っています。

なぜ今はINPEXなのか

まず事実として、日本は原油を中東地域に90%以上依存しています。さらにホルムズ海峡は、2025年上期ベースで日量2090万バレル、世界の石油消費の約20%が通る重要ルートです。イラン情勢が悪化すると、原油そのものだけでなく、輸送リスクや保険コストまで意識されやすくなります。

その環境では、日本株の中で原油・ガス価格上昇の恩恵を利益に反映しやすい代表格がINPEXです。会社資料では、ブレント原油が年平均で1ドル上振れると、2026年利益は期初感応度で約55億円押し上げ要因1円の円安で約30億円の押し上げ要因とされています。

つまり、イラン情勢の悪化で起きやすい

  • 原油高
  • エネルギー安全保障への再評価
  • 円安圧力

の3つが、INPEXには相対的に追い風になりやすい構図です。

株価推移と需給

株価は年初から大きく水準を切り上げています。2026年3月27日時点で4,687円、3月30日更新ページでは4,900円まで上昇しており、25日移動平均線比でもプラス圏を保っています。

ここで重要なのは、原油高だけでなく資本政策も株価の支えになっている点です。INPEXは2025年に1000億円の自己株取得を実施し、2026年1月9日までの累計取得株数は3523万8300株、取得総額は約1000億円で完了しました。2025年通期の総還元性向は55.4%です。

原油高テーマ株は、単に市況頼みだと値動きが荒くなりやすいですが、INPEXは

  • 高いキャッシュ創出力
  • 連続増配基調の配当方針
  • 自己株取得の実績

があるため、日本株の中では比較的腰の据わった資源株として見やすいです。

決算と外部環境

事実

2025年実績は、売上収益2兆0113億円、親会社株主帰属利益3938億円でした。会社は2026年について、売上収益1兆8930億円、親会社株主帰属利益3300億円を見込んでいます。前提のブレント原油価格は63ドル、為替前提は1ドル151円です。

解釈

この会社予想は、足元の中東情勢が織り込む高原油価格よりかなり低い前提です。したがって、原油高が長引けば、業績上振れ余地を意識しやすい構図です。

一方で、会社自身は地政学リスクの業績影響は現時点で限定的としつつも、最大の原油資産はアブダビにあり、アラビア湾内の出荷影響には備える必要があると示しています。また、ポートフォリオの中心がオセアニアであるため、中東悪化がそのまま全面的な操業追い風になるわけではありません。

見通し

短期はニュースヘッドラインで原油先物が振れ、そのたびに株価も上下しやすい局面です。中期では、原油が会社前提の63ドルを大きく上回る期間が続くか、あるいはホルムズ海峡リスクが後退して原油が落ち着くかが焦点になります。

強気材料と弱気材料

強気材料

  • イラン情勢悪化で原油・LNG価格が上がると、利益感応度が比較的明確
  • 日本のエネルギー安全保障再評価の流れで、上流権益を持つ企業として注目されやすい
  • 2026年配当予想108円、総還元性向50%以上方針で株主還元が強い
  • 自己株取得の実績があり、資本効率改善への姿勢も確認できる
  • PBR1.15倍は、急騰後でも資源株として極端な割高感までは出ていない

弱気材料

  • 株価はすでに大きく上昇しており、短期の過熱調整リスクがある
  • 2026年会社予想自体は減収減益で、平時ベースでは利益の伸びが鈍い
  • 地政学リスクは原油高要因である一方、実際の物流や生産に悪影響が出る可能性もある
  • 情勢が急速に緩和すると、原油価格低下とともにテーマ性が後退しやすい

いま見るならどこを確認したいか

現時点では、買い材料は十分あるが、高値追いはタイミングを選びたい銘柄と見ています。評価を4つ星にしたのは、外部環境の追い風、利益感応度、株主還元の3点がそろっているためです。

次に確認したいポイントは以下です。

  • ブレント原油が100ドル近辺を維持するのか、急反落するのか
  • ホルムズ海峡の通航制約が長引くのか
  • INPEXの次回決算や四半期開示で、会社前提の63ドルを上回る市況がどこまで業績に反映されるか
  • 原油高メリットよりも、出荷や物流への悪影響が強まらないか

地政学リスクの恩恵株として飛びつくというより、市況の上振れ余地と還元の下支えを両方見ながら押し目を探す銘柄として押さえておきたい1社です。

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