日経平均1272円高で3日ぶり反発 原油安とAI・半導体買いで全業種が上昇
9月30日の東京株式市場は買い一色でした。日経平均株価の終値は前日比1,272円45銭高(+1.94%)の6万6,753円72銭で、3日ぶりに反発。8月18日以来の高値を付けました。
主な理由は2つあります。1つは、サウジアラビアの主要パイプラインが半分復旧したと伝わり、原油価格が下がって中東情勢への不安が和らいだこと。もう1つは、前日の米国市場で半導体株が買われた流れを受けて、AI・半導体関連に朝から買いが集まったことです。前日までの2日間で800円あまり下げていたため、その反動の買い戻しも入りました。
翌10月1日の立会日は、寄り付き前に発表される日銀短観が最初の焦点になります。
この記事の要点(9月30日大引け時点)
- 日経平均は6万6,753円72銭(+1,272円45銭)、TOPIXは4,108.65(+67.52pt)
- 東証プライムの売買代金は9兆1,212億円。東証33業種はすべて上昇
- 原油安とAI・半導体株の買いが主な要因。前日までの下落に対する買い戻しも加わった
- 10月1日は日銀短観、円相場、米国の追加利上げ観測が焦点
主要指標:大型株も中小型株もそろって上昇
指数は規模を問わず上がりました。日経平均だけが上げた日とは違い、市場全体に買いが広がったことが数字から読み取れます。
| 指標(9月30日大引け) | 水準 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 66,753.72円 | +1,272.45円(+1.94%) |
| TOPIX | 4,108.65 | +67.52pt(+1.67%) |
| 東証グロース市場250指数 | 800.21 | +1.97% |
| 東証プライム売買高 | 27億6,231万株 | — |
| 東証プライム売買代金 | 9兆1,212億円 | — |
| 値上がり/値下がり銘柄の比率(プライム) | 72.7%/23.7% | — |
買いは主力株だけにとどまらなかった
日経平均の上昇率(+1.94%)と、TOPIXの上昇率(+1.67%)には大きな差がありません。プライム市場の7割強の銘柄が値上がりし、グロース250も2%近く上げました。
一方で、日経平均の上げ幅の多くはソフトバンクグループやファーストリテイリングなど、値がさ株の上昇によるものです。前日のTOPIXは70.87pt安の4,041.13で終わっており、30日の上げで前日の下げはほぼ取り戻しました。
売買代金9兆円台が示すもの
売買代金は9兆円を超えました。薄商いの中で値が飛んだ反発ではなく、商いを伴った反発だったといえます。日本経済新聞は、海外投機筋が先物を買ったことが相場全体を押し上げたと伝えています。ただ、先物主導の上げは逆方向にも振れやすい点に注意が必要です。
相場を引っ張った業種と材料
東証33業種はすべて上昇しました。上昇率の上位は非鉄金属、銀行、金属製品です。
AI・半導体と電線株
朝からの主役は半導体関連でした。前日の米国市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が1%強上がり、その流れを受けて東京エレクトロン、アドバンテストなどが買われました。
- 指数を押し上げた主な銘柄:ソフトバンクグループ、ファーストリテイリング、東京エレクトロン、TDK、信越化学工業、キオクシアHD、ファナック、リクルートHD
- データセンター関連の電線株:フジクラ、住友電気工業も上昇
- 個別材料:太陽誘電は、TDKとの次世代電子部品の共同開発を手掛かりに買われた
非鉄金属が上昇率上位に入ったのも、電線株など、AI投資の恩恵を受けやすい銘柄に買いが入ったためです。
電子部品の一部は売られた
全業種が上昇した日でも、値を下げた銘柄はありました。
- 村田製作所:競争激化への懸念から売られた
- 京セラ、イビデン、日東電工、オリンパス、ZOZOなども下落
同じ電子部品の中でも、太陽誘電やTDKは上がり、村田製作所は下がりました。「半導体・電子部品なら何でも買う」地合いではなく、材料ごとに選ばれています。
外部環境:原油安と円高、米金利上昇が重なった
30日の上昇は、国内の材料より海外の材料で動いた面が大きい一日でした。ただ、追い風と向かい風の両方がありました。
米国株は続落、それでも半導体は上昇
29日の米国市場では、ダウ平均が131.59ドル安の5万1,349.92ドル、ナスダック総合指数が22.84ポイント安の2万6,797.54で終わりました。
米連邦公開市場委員会(FOMC)の当局者が追加利上げを支持する発言をしたことで米長期金利が上がり、株価の重荷になりました。消費者信頼感指数やJOLTS求人件数も予想を下回っています。指数全体は下げたものの、半導体株は買われており、東京市場はこちらを手掛かりにしました。
原油が90ドル割れ
NY原油先物(WTI)11月限は、前日比3.74ドル安(−4.04%)の88.86ドルで取引を終えました。サウジのパイプライン復旧に加え、イランがホルムズ海峡の再開に向けた交渉に応じるとの報道も出て、供給不安が和らぎました。
原油安は、エネルギーを輸入に頼る日本にとって貿易赤字の拡大懸念を弱める材料です。円相場の支えにもなりました。
円はやや強含み、長期金利は3%台
- ドル円:29日のNY市場では157円38銭で引けました。30日正午時点では156円66〜68銭と、円が前日夕方より71銭高くなりました。NY連銀のウィリアムズ総裁が「年内あと1回の利上げが適切かもしれない」と慎重な姿勢を示し、市場の10月利上げの確率は約7割から5割を下回るまで下がりました。午後は157円10銭台でもみ合い、取引レンジは156円37銭〜157円45銭です。
- 国内金利:30日の新発10年国債の利回りは3.051%、2年債は1.927%、20年債は3.886%。長期金利が3%台にあることは、銀行株の上昇を支える要因の1つとみられます。
大引け後から翌朝までに出る材料
30日は9月の最終営業日でした。10月1日の立会日は、寄り付きの前後に次の材料が重なります。
- 日銀短観(9月調査):10月1日朝に発表。民間の予想では、大企業製造業の業況判断DIは+25〜+26程度と、前回から3〜4ポイントの改善が見込まれています。半導体・AI関連需要を背景に、化学、非鉄金属、電気機械などでの改善が予想される一方、大企業非製造業は+34程度に悪化するとの見方があります
- 米国時間の経済指標とFRB高官の発言:29日は指標の弱さと利上げ支持の発言が同時に出ました。追加利上げ観測が再び強まるかどうかが、米金利とドル円を動かします
- 原油価格:中東の供給不安が後退して急落した後です。パイプライン復旧やホルムズ海峡をめぐる報道で、再び上下する可能性があります
10月1日の立会日に向けたシナリオ
ここからは見通しです。前提条件が変われば、見方も変わります。
ここがポイント: 30日の反発は「原油安」と「米半導体高」という海外の材料に支えられた。1日はこの2つが続くかどうかと、短観の内容が試される。
強気シナリオ:短観が予想を上回り、原油安が続く
大企業製造業のDIが予想を上回る改善を示せば、30日に買われたAI・半導体、非鉄金属、電子部品などで業績期待を確認する動きが出やすくなります。原油が90ドルを下回ったまま推移し、米長期金利が落ち着けば、30日の高値を上回れるかが試されます。
弱気シナリオ:米利上げ観測が再び強まる
米国で追加利上げを支持する発言が続いて米金利が上がると、30日に大きく上げた値がさ株やグロース株は利益確定の売りに押されやすくなります。先物主導で上げた日の翌日は、先物の売り戻しで上げ幅を削る展開にも注意が必要です。
短観で非製造業の悪化が予想より大きい場合も、内需株の重荷になります。円高が急に進めば、輸出株の利益を押し下げる材料になります。
10月1日に確認したいポイント
- 短観の大企業製造業DI:+25〜+26程度の予想を上回るか。非製造業の悪化幅はどこまでか
- 日経平均6万6,753円(30日終値)の前後:高値圏を維持するか、先物の売りで押し戻されるか
- TOPIXとグロース250:大型株と中小型株がそろって上がる流れが続くか
- 半導体・電線株:米SOX指数の動きに反応するか
- ドル円の156〜157円台と、原油の90ドル近辺:円高と原油の再上昇のどちらかが進めば、30日の地合いが崩れやすくなる
