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日本取引所グループ(8697)株は上方修正後も追えるか 売買活況の追い風と高PERの重さを点検

日本取引所グループ(8697)株は上方修正後も追えるか 売買活況の追い風と高PERの重さを点検

★4/5(やや買い寄り) です。結論を先に言うと、足元のJPXは売買代金の増加がそのまま業績に乗りやすく、2026年3月期の上方修正と増配も確認できました。一方で、4月3日終値ベースの予想PERは24倍台後半まで上がっており、好材料をかなり織り込み始めた水準でもあります。

狙うなら「上方修正そのもの」より、相場の値動きが荒い局面で売買・清算収益がどこまで続くかを見たい銘柄です。高値を追いかけるより、出来高が膨らんだ後の押し目で評価したい局面に入っています。

  • 2026年3月25日に通期業績予想を上方修正し、親会社株主帰属利益は650億円予想から785億円予想へ引き上げ
  • 年間配当予想も50円から61円へ増額。4月3日終値1,886.5円で見た予想配当利回りは約3.2%
  • 2026年3月期第3四半期累計では営業収益が前年同期比14.8%増、営業利益が同17.1%増
  • ただし4月3日終値ベースの予想PERは24.78倍、PBRは6.05倍で、割安感は強くない
目次

主要指標を先に確認

4月3日確認時点で、投資判断に関わる数字は次の通りです。

  • 株価: 1,886.5円(2026年4月3日終値)
  • 年初来高値: 2,150円(2026年3月2日)
  • 年初来高値からの下落率: 約12.3%
  • 出来高: 151万6,300株(2026年4月3日)
  • 予想PER: 24.78倍(2026年4月3日)
  • PBR: 6.05倍(2026年4月3日)
  • 予想配当: 61円
  • 予想配当利回り: 約3.2%
  • ROE予想: 24.5%(IRBANK、2026年3月27日時点)

数字だけを見ると、JPXは「高収益・高評価」の銘柄です。PBRが6倍台でも買われるのは、単なる資産株ではなく、現物株、先物、オプション、清算、相場情報まで握る市場インフラ企業だからです。

その代わり、バリュエーションには安全余地があまりありません。利益が伸びる前提が崩れると、株価の調整が速くなりやすい点は意識したいところです。

業績を押し上げた主因

第3四半期決算と3月25日の修正開示を合わせてみると、今回の上方修正はかなり筋が通っています。

現物売買の増加がまず効いた

2026年3月期第3四半期累計では、取引関連収益が前年同期比11.7%増の544億92百万円でした。内訳を見ると、現物の取引料が18.0%増の384億49百万円まで伸びています。

これは、東証での売買代金が増えればJPXの収益に入りやすい構造がそのまま出た形です。新NISA定着後の個人売買だけでなく、機関投資家の回転売買や先物・オプションを含む市場全体の活況が効いています。

清算収益の伸びが大きい

見落としにくいのが清算関連収益です。第3四半期累計では前年同期比41.1%増の366億75百万円でした。

JPXは「売買の場」だけではなく、取引成立後の清算でも収益を得ます。相場が荒い局面では、売買の回転だけでなく清算関連の収益も増えやすいので、ここが利益の厚みにつながっています。

上方修正は売買前提の見直しが背景

3月25日の修正では、2026年3月期の親会社株主帰属利益見通しが650億円から785億円へ引き上げられました。配当予想も50円から61円へ増額されています。

ロイター報道では、会社側は最近の市況を踏まえて、業績前提となる1日平均売買代金を7兆5,000億円へ見直したと説明しています。前提を引き上げたうえで利益予想も増額しているため、今回の修正は一過性の会計要因というより、売買活況の反映とみるのが自然です。

ここがポイント: JPXの強みは、相場上昇そのものよりも「売買が増えること」です。上がっても下がっても取引が膨らめば、現物・デリバティブ・清算の各収益が伸びやすくなります。

株価の動きはどう見るか

株価は3月2日に年初来高値2,150円を付けた後、4月3日は1,886.5円で引けました。高値からは調整していますが、3月25日の上方修正発表日には終値で1,881.5円まで上昇し、材料自体はしっかり評価されています。

ここで重要なのは、株価が「好決算をまだ全く織り込んでいない」状態ではないことです。

  • 3月24日終値: 1,847円
  • 3月25日終値: 1,881.5円
  • 4月3日終値: 1,886.5円

修正発表直後に買い直され、その後も大きく崩れていません。裏を返せば、今後さらに上値を取るには、4月下旬以降の本決算で強い数字か、2027年3月期も高い売買代金前提を置けるかが必要になります。

強気材料と弱気材料

ここは分けて見たほうが判断しやすいです。

強気材料

  • 通期利益予想が785億円まで引き上がり、増益率は前期比28.5%見通しになった
  • 年間配当予想は61円へ増額され、還元強化が確認できた
  • 第3四半期累計で現物取引料、清算関連収益、情報関連収益がそろって増加している
  • 配当方針は配当性向60%以上が目標で、業績改善が還元に乗りやすい
  • 海外要因を含め市場ボラティリティが高い局面では、JPXの収益機会が増えやすい

弱気材料

  • 4月3日終値ベースで予想PER24.78倍、PBR6.05倍は安くない
  • 業績の前提に売買活況が入っているため、相場が急に落ち着くと収益の伸びも鈍りやすい
  • 第3四半期累計では新規・追加上場料が前年同期比17.1%減で、IPOの勢いは強くない
  • 金融デリバティブの一部は第3四半期累計で弱く、日経225先物は前年同期比14.4%減だった
  • 高収益企業として評価されているぶん、次の決算でサプライズが弱いと失望売りが出やすい

海外市況を含めた見方

JPXをみるときは、日本株だけで完結しません。米国の通商政策や金利動向、円相場の変動で日本株の値幅が大きくなると、東証の売買代金やデリバティブ取引が増えやすくなります。

今回の上方修正でも、株券等だけでなく、長期国債先物取引や日経平均株価指数オプション取引の前提見直しが材料になりました。つまり、海外発の不透明感は輸出株には逆風でも、JPXには取引活況という形で一部追い風になりうるということです。

もっとも、これは常にプラスではありません。相場急落が長引けば投資家のリスク許容度が下がり、売買代金が一巡した後に細る可能性もあります。ここは短期の追い風と中期の反動を分けて考えたいところです。

いまの評価と次に見る点

現時点のJPX株は、業績の質と還元の確度を考えると依然として強い銘柄です。特に、値動きが大きい外部環境のなかで、取引インフラ企業として収益を取り込みやすい構図はわかりやすいです。

ただ、株価はすでにその強さをかなり織り込み始めています。4月下旬の本決算で次年度の前提が慎重なら、好業績でも材料出尽くしになりかねません。

最後に、次回の立会日以降で見たい点を絞るとこうなります。

  • 本決算で2027年3月期の利益・配当見通しがどう出るか
  • 1日平均売買代金の会社前提が高水準を維持できるか
  • 現物偏重ではなく、清算・情報・システム収益がどこまで底堅いか
  • 株価が1,850円前後を保てるか、それとも年初来高値からの調整が深まるか

上方修正後も追える銘柄ではありますが、今は「何でも買い」の局面ではありません。高収益インフラ株としての強さを評価しつつ、次の決算前提を確認してから買い増しを考えるのが現実的です。

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