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SWCC(5805)株は高値調整後に拾えるか 送配電網更新とAIデータセンター需要、割高感を分けて点検

SWCC(5805)株は高値調整後に拾えるか 送配電網更新とAIデータセンター需要、割高感を分けて点検

総合評価:★★★☆☆(中立寄りの強気)
ひと言でいえば、事業の追い風は強い一方、株価はすでにかなり期待を織り込んでおり、今は業績の上振れ継続を確認しながら押し目を見たい局面です。

SWCCは電力インフラ向け製品と通信・データセンター向け光関連製品を主力とする電線メーカーです。足元では送配電網更新、生成AI向けデータセンター投資、価格転嫁の進展が追い風です。一方で、バリュエーションは過去レンジを大きく上回っており、世界景気や自動車関連需要の鈍化が重なると、株価の振れは大きくなりやすい銘柄でもあります。

目次

主要指標を整理

数値の確認時点が異なるため、下表では出所ごとに日時を明記します。

項目数値確認時点メモ
株価14,480円2026年3月12日13:10時点松井証券
年初来高値17,900円2026年3月3日松井証券
PER25.19倍2026年3月27日IRBANK予想ベース
PBR4.39倍2026年3月27日IRBANK
予想ROE17.41%2026年3月27日IRBANK
予想配当利回り1.47%2026年3月27日IRBANK
時価総額4,195億円2026年3月27日IRBANK
2026年3月期会社予想売上高2,700億円2026年2月9日発表前期比13.5%増
2026年3月期会社予想営業利益260億円2026年2月9日発表前期比24.2%増
2026年3月期会社予想純利益160億円2026年2月9日発表前期比40.3%増
2026年3月期予想年間配当200円2026年2月9日発表中間90円、期末110円予想

事実

  • 2025年3月期の実績は売上高2,378.62億円、営業利益209.35億円、親会社株主に帰属する当期純利益114.00億円、ROE14.3%でした。
  • 2026年3月期第3四半期累計は売上高2,020.86億円、営業利益195.63億円、純利益127.56億円で、通期計画に対する進捗率は営業利益75.2%、純利益79.7%です。
  • 自己資本比率は2025年3月末42.3%から2025年12月末43.5%へ改善しました。

解釈

利益成長と財務改善は素直に評価できます。特に、価格転嫁と高採算分野へのシフトで営業利益率が改善している点は、単なる市況頼みではない強みです。

ただし、PER25倍台、PBR4倍台は、同社の過去水準と比べるとかなり高い水準です。IRBANKベースでは、PBRは2010年以降のレンジ上限3.01倍をすでに上回っています。業績の伸びが続く前提でないと正当化しにくい価格帯に入っています。

株価推移と需給をどう見るか

事実

  • 2026年3月12日13:10時点の株価は14,480円でした。
  • 年初来高値17,900円を2026年3月3日に付けた後、3月12日時点では高値から約19%下落しています。
  • 3月12日の出来高は191,500株でした。
  • 2025年4月7日の年初来安値4,940円からみると、3月12日時点でも株価はおおむね3倍水準です。

解釈

高値からは調整していますが、長い目で見ればまだ大幅高の後半戦です。つまり、短期的には利食いが出やすい一方で、中長期の成長期待は残っている状態です。

株価が高値圏まで買われた背景は、送配電網更新やデータセンター向け需要という、数年単位で続きやすいテーマ性にあります。逆にいえば、そのテーマに陰りが見えたときは、バリュエーションの巻き戻しが起きやすいともいえます。

業績を押し上げる材料

1. 電力インフラ需要が強い

SWCCの第3四半期補足資料では、電力インフラ需要が強く、エネルギー・インフラ事業の営業利益率は前年同期の13.3%から14.7%へ改善しました。電力インフラ売上高も31.9億円と前年同期比8.2%増です。

会社は2025年5月、電力接続製品「SICONEX」の第2期増産投資を公表しています。背景として、高経年設備の更新需要、再エネの安定供給に向けた送配電網整備、データセンター増加に伴う電力網増強需要を挙げています。

2. 米国データセンター向け需要が拡大

第3四半期補足資料では、通信ケーブル分野で「米国データセンター向けe-Ribbon需要が大きく拡大」と明記されています。通信・コンポーネンツ事業の売上高は101.7億円で前年同期比34.0%増、営業利益は55億円で同39.9%増でした。

2025年9月にはe-Ribbonの増産投資も発表済みで、約10億円を投じて生産能力を現行比約3倍へ高める計画です。2026年度のe-Ribbon売上高は2024年度実績比で約28倍を目指すとしています。

外部環境でも、Reutersは2026年のAI関連設備投資見通しについて、主要ハイパースケーラー4社の資本支出が6,300億ドル超になるとのシティ予想を報じています。データセンター向け光配線の追い風は、短期の流行で終わりにくい構図です。

3. 構造改革が利益体質を底上げ

2026年2月には産業用巻線事業の構造改革を発表しました。山元工場を2026年末までに段階的に縮小・停止し、販売体制も再編します。会社側は一連の構造改革によって年間4億円程度の収益改善効果を見込んでいます。

成長分野への投資だけでなく、不採算や低採算領域の整理も並行して進めている点は評価しやすいところです。

弱気材料と注意点

1. 株価指標はかなり高い

PBR4.39倍、PER25.19倍は、同社の過去水準と比べてかなり高めです。ROEの改善である程度は説明できますが、今後の利益成長が鈍ると調整圧力は強まりやすいでしょう。

2. 自動車・産業機器はまだ不安定

第3四半期補足資料では、自動車向け需要について「調整局面入り」と説明されています。さらにReutersは、世界EV販売が2026年1月に前年同月比3%減、2月には同11%減となったと報じています。中国や米国の減速が背景です。

SWCCのモビリティ・半導体用途がすべて悪化するわけではありませんが、自動車関連の需要回復を前提に強気になりすぎるのは早い印象です。

3. 銅価格や景気敏感の揺れは残る

会社資料でも、平均国内建値銅価の大幅上昇が売上増要因として示されています。価格転嫁が進めば利益には中立化できますが、原材料価格や世界景気の変動は、売上と在庫、採算の見え方をぶらしやすい要因です。

中期計画から見た中長期の見どころ

2026年2月公表の新中期経営計画「Transformation for Growth SWCC 2030」では、2030年度に営業利益400億円以上、営業利益率12%以上、ROIC15%以上を掲げました。2025年度計画時点で営業利益260億円、配当200円、DOE6.3%見込みとしており、還元姿勢も弱くありません。

ここで重要なのは、同社が単に電線メーカーとして評価されているのではなく、

  • 電力インフラ更新
  • データセンター光配線
  • ROIC重視の事業ポートフォリオ改革

という3つの軸で再評価されていることです。

一方で、中期計画の達成には海外市場の開拓と成長投資の回収が不可欠です。期待先行で買われた後だけに、今後は「計画を出した」ことより「実際に積み上がるか」が問われます。

強気材料と弱気材料を一覧で確認

強気材料弱気材料
電力インフラ向け需要が強く、利益率も改善PER・PBRは過去レンジ比でかなり高い
米国データセンター向けe-Ribbon需要が拡大高値形成後で値動きが荒くなりやすい
e-Ribbon、SICONEXで増産投資が進む自動車関連需要は調整局面の説明がある
構造改革で年4億円程度の収益改善見込み銅価格や世界景気に業績が左右されやすい
配当は2025年3月期136円から2026年3月期200円予想へ増額中期計画達成への期待がすでに株価に織り込まれている可能性

今後の注目点

次に確認したいポイントは3つです。

  1. 2026年3月期通期決算で、営業利益260億円計画を上回れるか。
  2. e-Ribbonや電力インフラ関連の受注・能力増強が、売上高だけでなく利益率改善につながるか。
  3. 自動車関連や産業用巻線の整理が、全社の資本効率改善にどこまで効くか。

現時点のSWCCは、テーマ性だけで上がる銘柄というより、実際に利益成長を伴って評価が切り上がっている銘柄です。そのぶん、業績が強ければ再評価余地は残りますが、少しでも失速すると株価の反応は大きくなりやすい局面です。

高値追いで飛びつくより、決算での進捗確認や株価調整を待ちながら、成長持続性を点検していく見方が合いそうです。

参照リンク

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