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販売手数料の転換期に強い保険関連株10選 代理店と保険DXを比較

保険相談とデジタル手続きを組み合わせた保険DXのイメージ。

販売手数料の転換期に強い保険関連株10選 代理店と保険DXを比較

総合評価:★★★★☆(やや買い寄り)

結論から言えば、保険代理店・保険DXでは「契約を多く取る会社」だけでなく、継続収入、業務品質、デジタル経由の契約増加を同時に伸ばせる企業を優先したい局面です。

代理店専業ではアイリックコーポレーション、収益成長ではSBIインシュアランスグループ、安定性と株主還元では東京海上ホールディングスを高く評価しました。一方、アドバンスクリエイトは財務再建の確認が先です。

本記事は2026年8月22日時点の公開資料と、8月21日終値を基準にした比較・学習用情報です。投資判断は自己責任であり、掲載内容は将来の運用成果を保証しません。

この記事で分かることは次の4点です。

  • 代理店手数料の見直しが各社の利益に与える影響
  • 対面販売、オンライン販売、代理店向けシステムの違い
  • 10銘柄のPER、PBR、ROE、配当と直近決算
  • 投資期間別の監視レンジと、評価を見直す条件
目次

保険代理店は「契約件数」から「契約後の品質」へ

今後の勝敗を分けるのは、初年度手数料への依存を下げても利益を残せるかです。

金融庁は、代理店手数料を規模や増収率だけで決めず、業務品質を重視するよう保険会社に求めています。外貨建て一時払い保険では、初年度手数料を抑えて翌年度以降へ配分する「手数料のフラット化」も進みました。

これにより、短期間で契約を積み上げる販売モデルより、次の仕組みを持つ企業が相対的に有利になります。

  • 契約後の保全や見直し相談を継続できる
  • 複数の保険会社を比較した理由を記録できる
  • オンライン面談や顧客管理システムで募集人の生産性を高められる
  • 保険料収入やシステム利用料など、継続型の収益がある

保険DXも単なるペーパーレス化ではありません。見込み客の獲得、意向把握、商品比較、申込手続き、契約後のフォローをデータでつなぎ、不適切募集を防ぎながら事務費を減らす取り組みです。

ここがポイント: 販売量だけでなく、契約後の継続率、募集品質、1人当たり生産性を改善できるDXに価値が移っています。

保険代理店・保険DX関連10銘柄の比較一覧

成長、還元、DXの純度は銘柄ごとに大きく異なります。

PERは会社予想、PBRとROEは実績、配当利回りは会社予想です。保険会社は会計基準や資本規制の影響を受けるため、一般企業と同じ感覚で自己資本比率だけを比較しない点にも注意してください。

銘柄評価主要指標向く期間監視レンジ
FPパートナー
7388
★★★☆☆PER 31.87倍
PBR 4.66倍
ROE 17.27%
配当4.21%
中期購入 2,000〜2,150円
利益確定 2,450〜2,550円
アイリックコーポレーション
7325
★★★★☆PER 12.84倍
PBR 1.46倍
ROE 10.07%
配当4.59%
中長期購入 650〜680円
利益確定 800〜900円
ブロードマインド
7343
★★★★☆PER 22.42倍
PBR 1.92倍
ROE 9.85%
配当5.60%
中長期購入 1,150〜1,220円
利益確定 1,400〜1,500円
アドバンスクリエイト
8798
★☆☆☆☆PER 21.51倍
PBR 11.57倍
自己資本比率4.4%
配当未定
短期・高リスク購入は再建確認後
撤退 直近安値割れ
ライフネット生命保険
7157
★★★★☆PER 14.98倍
PBR 1.30倍
ROE 8.57%
無配
中長期購入 1,400〜1,500円
利益確定 1,750〜1,900円
SBIインシュアランスグループ
7326
★★★★★PER 14.38倍
PBR 1.04倍
ROE 6.38%
配当2.81%
中長期購入 1,950〜2,050円
利益確定 2,350〜2,500円
MS&AD
8725
★★★★☆PER 16.86倍
PBR 1.07倍
ROE 17.96%
配当3.44%
長期購入 4,600〜4,800円
利益確定 5,300〜5,500円
SOMPOホールディングス
8630
★★★★☆PER 12.30倍
PBR 1.13倍
ROE 13.66%
配当2.96%
中長期購入 6,300〜6,600円
利益確定 7,200〜7,500円
東京海上ホールディングス
8766
★★★★★PER 16.92倍
PBR 1.70倍
ROE 18.68%
配当3.33%
長期購入 6,900〜7,200円
利益確定 7,900〜8,200円
T&Dホールディングス
8795
★★★★☆PER 17.04倍
PBR 1.37倍
ROE 9.54%
配当3.42%
中長期購入 4,500〜4,700円
利益確定 5,100〜5,300円

監視レンジは売買を指示するものではありません。8月21日終値、年初来高安、バリュエーション、決算後の値動きを基にしたシナリオです。決算で前提が変われば、価格に到達していなくても見直します。

代理店・比較プラットフォーム4社

代理店4社では、財務余力とDX収益を併せ持つアイリックが最もバランス良好です。

1. FPパートナー(7388)— 高ROEだが成長再加速待ち

全国の「マネードクター」を軸に、訪問・店舗・オンラインで保険と資産形成を提案します。IFA事業へ領域を広げている点は、保険手数料だけに依存しないための重要な布石です。

2026年11月期上期は売上高155億9,900万円、営業利益10億7,600万円。前年同期比でそれぞれ5.1%、27.1%減りました。ROEは17.27%と高い一方、PER31.87倍、PBR4.66倍には一定の成長期待が残っています。

  • 強気材料: 営業網、契約移管、IFAの預かり資産拡大、予想配当利回り4.21%
  • 弱気材料: 上期減収減益、募集品質を巡る管理コスト、同業より高いPBR
  • 向く投資家: 業績底打ちを待てる中期投資家
  • 見直し条件: 2,000〜2,150円を購入監視帯とし、上期減益からの回復が確認できなければ見送る。2,450〜2,550円ではPER上昇を考慮して利益確定を検討する

2. アイリックコーポレーション(7325)— 店舗とシステムの両輪

「保険クリニック」に加え、保険分析・検索システムを代理店や金融機関へ提供します。自社店舗の販売ノウハウをシステム化して外販できる点が、他の代理店専業株との違いです。

2026年6月期は売上高約110億円で16.3%増、営業利益は約7億円で5.2%減。店舗拡大費用とソリューション案件の反動が利益を圧迫しましたが、次期は増収増益を計画しています。

  • 強気材料: PER12.84倍、配当利回り4.59%、自己資本比率60.8%、比較システムの継続収入
  • 弱気材料: 2026年6月期は営業減益、8月21日の出来高は1,100株と流動性が低い
  • 向く投資家: 配当を受け取りながら保険DXの浸透を待つ中長期投資家
  • 見直し条件: 年初来安値651円に近い650〜680円を監視。次期増益が進めば800〜900円、ソリューション売上が再び落ち込めば評価を下げる

3. ブロードマインド(7343)— 高配当と家計相談の広がり

生命保険だけでなく、住宅ローン、資産運用、不動産まで扱う金融コンサルティング会社です。相談1件から複数の金融商品へつなげられるため、保険販売の単価や手数料率が変わっても収益源を分散できます。

2027年3月期第1四半期は売上高約13億円で2.5%増、営業利益は約2億円で77.0%増。経費削減が利益を押し上げました。ただし通期会社計画は減収減益で、四半期だけを直線的に延ばせません。

  • 強気材料: 配当利回り5.60%、自己資本比率75.6%、第1四半期の大幅増益
  • 弱気材料: 通期減益計画、時価総額約74億円で出来高が細りやすい
  • 向く投資家: インカムを重視する中長期投資家
  • 見直し条件: 1,150〜1,220円で利回りを確認し、1,400〜1,500円ではPER上昇を点検。減配や通期下方修正は撤退判断につながる

4. アドバンスクリエイト(8798)— DX資産より財務再建を優先

保険比較サイト「保険市場」、オンライン面談、代理店向け顧客管理システムを持ち、事業のDX純度は高い会社です。しかし、現在は成長性より継続企業リスクの確認が先になります。

2026年9月期中間期は売上高34億円で9.2%増、営業損益は1,800万円の黒字へ改善しました。一方、経常損失1,600万円、純損失3,200万円で、財務制限条項への抵触と継続企業の前提に関する重要な不確実性が示されています。

  • 強気材料: 売上増加、営業黒字化、比較サイトと顧客管理基盤
  • 弱気材料: 自己資本比率4.4%、PBR11.57倍、配当未定、財務再建リスク
  • 向く投資家: 損失を限定できる短期・高リスク型に限られる
  • 見直し条件: 現時点では具体的な購入帯を設けず、債務超過懸念の後退、資金繰り、通期黒字化を確認してから再評価する

オンライン保険・デジタル直販2社

デジタル直販では、契約増と利益成長がそろうSBIインシュアランスグループが一歩リードします。

5. ライフネット生命保険(7157)— 契約基盤は成長、支払率を注視

インターネット中心の生命保険会社で、店舗網や多数の営業職員を抱えずに契約を獲得します。代理店手数料の見直しを直接受けにくい一方、広告効率と保険金支払いが利益を左右します。

2027年3月期第1四半期は保険収益90億円で9.8%増、保有契約年換算保険料は378億円で7.4%増。しかし団体信用生命保険の保険金支払いが増え、保険サービス損益は28.5%減、純利益は24.8%減りました。

  • 強気材料: 契約基盤の継続成長、PER14.98倍、PBR1.30倍、自己資本比率78.5%
  • 弱気材料: 四半期減益、無配、団信の損害率上昇
  • 向く投資家: 配当より契約価値の成長を重視する中長期投資家
  • 見直し条件: 1,400〜1,500円で損益改善を確認。1,750〜1,900円では契約増が利益増へ戻っていることを条件に保有を判断する

6. SBIインシュアランスグループ(7326)— 収益成長と割安感の本命

損害保険、生命保険、少額短期保険を持ち、ネット販売とSBIグループの顧客基盤を活用します。単一商品への依存が小さく、保有契約件数の増加を収益へ結びつけやすい構造です。

2027年3月期第1四半期は経常収益421億円で20.6%増、経常利益60億円で23.3%増。いずれも四半期として過去最高で、純利益も9.8%増の24億円でした。

  • 強気材料: 全セグメントで契約増、PER14.38倍、PBR1.04倍、増収増益計画
  • 弱気材料: ROE6.38%は大手損保より低い、親会社グループとの取引や資本政策を確認する必要
  • 向く投資家: 成長とバリュエーションの両方を見る中長期投資家
  • 見直し条件: 1,950〜2,050円を押し目監視帯とする。2,350〜2,500円ではROE上昇が伴うかを確認し、契約増が利益に結びつかなくなれば撤退する

代理店網を支える大手保険グループ4社

大手4社はDX単独の成長株ではなく、代理店改革、料率適正化、海外利益、株主還元を合わせて評価する銘柄です。

7. MS&ADインシュアランスグループHD(8725)— PBRと還元の均衡

三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保を中核に、代理店業務の標準化やデジタル手続きを進めています。8月21日は4,945円まで3.60%上昇し、出来高も358万株に達しました。

  • 強気材料: ROE17.96%、PBR1.07倍、予想配当170円、国内損保の収益改善
  • 弱気材料: 自然災害、政策株売却後の利益成長、グループ再編の実行負担
  • 向く投資家: 配当と資本効率を重視する長期投資家
  • 見直し条件: 4,600〜4,800円を監視し、5,300〜5,500円では還元拡大が株価上昇に追いつくか確認する

8. SOMPOホールディングス(8630)— 海外成長と決算後調整

国内代理店網の改革に加え、海外保険を成長源としています。2027年3月期第1四半期は保険収益1兆6,170億円で28.0%増、純利益1,812億円で52.8%増。海外保険が牽引しました。

一方、株価は8月14日の7,011円から8月20日の6,635円まで5.4%下落しました。好決算でも通期減益予想や買収後の統合リスクが意識された形です。

  • 強気材料: PER12.30倍、ROE13.66%、海外事業の拡大、増配方針
  • 弱気材料: 大型買収の統合、自然災害、決算後の需給悪化
  • 向く投資家: 決算後の調整を拾う中長期投資家
  • 見直し条件: 6,300〜6,600円で下げ止まりを確認。7,200〜7,500円では海外利益の上振れが継続するかを見る

9. 東京海上ホールディングス(8766)— 質と還元を重視する本命

国内損保の代理店網に加え、海外保険の利益構成が大きく、地域と事業の分散が進んでいます。代理店品質の厳格化に必要なシステム投資を負担できる資本力も強みです。

2027年3月期第1四半期は保険収益2兆471億円で12.3%増、純利益2,643億円で3.3%増。修正純利益は3.6%減でしたが、通期では7.8%増の9,500億円を計画しています。

  • 強気材料: ROE18.68%、予想配当245円、海外分散、継続的な株主還元
  • 弱気材料: PBR1.70倍は大手同業より高い、自然災害と円高、政策株売却効果の反動
  • 向く投資家: 事業の質と還元を重視する長期投資家
  • 見直し条件: 6,900〜7,200円を監視。7,900〜8,200円ではPBR上昇を許容できる利益成長があるか確認する

10. T&Dホールディングス(8795)— 金利と資産運用の影響が大きい

太陽生命、大同生命、T&Dフィナンシャル生命を持ち、代理店チャネルだけでなく中小企業市場や家庭市場にも接点があります。DXによる事務効率化に加え、国内金利上昇が運用収益へどう波及するかが重要です。

2027年3月期第1四半期は経常収益9,043億円で1.4%増、経常利益762億円で29.9%増、純利益422億円で13.3%増。資産運用収益の増加が利益を押し上げました。

  • 強気材料: 四半期増益、配当利回り3.42%、生命保険3社の異なる顧客基盤
  • 弱気材料: 金利・市場変動への感応度、PBR1.37倍、四半期利益の振れ
  • 向く投資家: 金利正常化と還元を追う中長期投資家
  • 見直し条件: 4,500〜4,700円を監視。年初来高値5,176円を超える5,100〜5,300円では運用益を除いた基礎利益も確認する

投資スタイル別の使い分け

同じテーマでも、短期は決算需給、中期は利益回復、長期は継続収入と資本効率を見るべきです。

短期

短期では決算後の出来高と窓開け、直近高安を優先します。

  • SBIインシュアランスグループ:過去最高益を受けた上昇が続くか
  • SOMPO:好決算後の下落が6,300〜6,600円で止まるか
  • MS&AD:8月21日の大幅高に出来高が続くか

アドバンスクリエイトは値幅が出ても、財務再建株として通常の保険DX株と分けて扱う必要があります。

中期

中期では次の2〜3回の決算で、手数料制度の変化を吸収できるかを確認します。

  • アイリック:システム収入と店舗投資の回収
  • FPパートナー:減収減益からの回復とIFA事業の寄与
  • ブロードマインド:第1四半期の増益を通期へつなげられるか
  • ライフネット生命:団信の保険金支払いが正常化するか

長期

長期では契約件数だけでなく、ROE、配当、自社株買い、保有契約価値を追います。

東京海上、MS&AD、SOMPOは資本余力と還元で優位です。SBIインシュアランスグループは、ROEが大手に近づけば評価余地が広がります。ライフネット生命は無配のため、利益を再投資して契約価値を伸ばせることが保有条件です。

星評価を見直す共通リスク

最大のリスクは、規制強化そのものではなく、品質管理費が増えても生産性が上がらないことです。

手数料制度と募集管理

初年度手数料の低下は、契約時に利益を多く計上する代理店ほど資金繰りに響きます。顧客管理システムへの投資、人員教育、比較推奨理由の記録も必要です。

ただし、規制はDX企業に無条件の追い風ではありません。システム導入費が先行し、解約率や募集人1人当たり売上が改善しなければ、利益率は下がります。

金利・為替・自然災害

大手保険グループでは次の外部要因が利益を大きく動かします。

  • 国内外の金利変化による債券評価と運用収益
  • 円高による海外利益の円換算減少
  • 台風、洪水、地震などによる保険金支払い
  • 再保険料率の上昇
  • 政策保有株売却益が一巡した後の利益水準

小型株の流動性

アイリックやブロードマインドは、業績が良くても売買高が少ない日に値が飛びやすい銘柄です。指値を使い、一度に予定額を投入しないことが実務上の防御になります。

次の決算で確認する5項目

株価より先に、収益の質が改善しているかを確認します。

  • 代理店各社の売上ではなく、営業利益率が上向いたか
  • 継続手数料やシステム利用料の比率が増えたか
  • 契約件数の増加と解約率の低下が両立したか
  • 大手保険グループの増配・自社株買いが利益成長に見合うか
  • DX投資後に事務費率や募集人1人当たり生産性が改善したか

現時点の優先順位は、成長と割安感ならSBIインシュアランスグループ、代理店DXならアイリック、長期の質と還元なら東京海上です。

次回決算では売上高の伸びだけを見ず、代理店手数料のフラット化後も営業キャッシュフローを維持できているかを確認してください。そこが崩れれば、株価が監視レンジ内でも購入理由は成立しません。

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