日経平均は9月28日、前週末比486.58円安の6万5877.62円で取引を終えた。6営業日ぶりの反落で、しかも大引けにかけて下げ幅を広げての安値引け。朝方は米株高と原油安を受けて買いが先行していたので、値動きだけ見れば「上がって始まり、じりじり売られて終わった」1日だった。
ただ、この下げは崩れというより持ち高調整の色が濃い。保険・銀行といった金利敏感セクターは逆に買われ、売られたのは医薬品や一部の半導体関連。指数の重さと物色の中身がずれている。
そして次の立会日、9月29日は9月末配当の権利落ち日にあたる。指数がマイナスで始まっても、それが「悪材料による下げ」なのか「配当落ち分」なのかを切り分けないと、地合いを読み違える。
きょうの要点
- 日経平均は6営業日ぶり反落、大引けにかけて下げ幅を拡大して安値引け
- 東証グロース市場250指数は791.47(-9.08、-1.13%)と主力株より大きめの下げ
- プライムの売買代金は8兆2028億円と商いは細っていない
- 9月29日は9月末配当の権利落ち日。指数の下落幅をそのまま弱気材料と読まない
主要指標:値下がり優勢、ただし商いは細っていない
まず数字を確認しておく(すべて2026年9月28日大引け時点)。
| 指標 | 終値 | 前営業日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 65,877.62円 | -486.58円(-0.73%) |
| TOPIX | 4,112.00pt | -16.59pt(-0.40%) |
| 東証グロース市場250指数 | 791.47pt | -9.08pt(-1.13%) |
東証プライムの売買高は24億1504万株、売買代金は8兆2028億円。権利付き最終売買日にあたり、配当再投資に絡む売買が膨らみやすい日だったことを差し引いても、活況の部類だ。
騰落では値下がり銘柄が全体の6割超を占め、値上がりは3割程度(財経新聞の大引け集計)。日経平均の下落率0.73%に対してTOPIXは0.40%安にとどまったが、下げの広がりという意味では相場全体が売られた1日だったことになる。指数の差は値がさ株の寄与によるものだ。
グロース250の-1.13%という下げ幅も見逃せない。前週末終値800.55ptから800台を割り込んだ。新興株は資金の出入りが荒く、リスク許容度の変化が先に出やすい。
セクター:買われたのは金利で稼ぐ側
きょうの物色は、上と下がはっきり分かれた。
上昇した業種
- 保険業
- 銀行業
- 電気・ガス業
下落した業種
- 医薬品
- パルプ・紙
- 鉱業
金融が買われた背景には金利がある。新発10年債利回りは朝方に前週末比0.015%高い3.085%をつけ、その後3.066%で引けた。米国で早期の追加利上げ観測が強まったことが国内債にも売りとして波及した形で、利ざや改善期待が保険・銀行を押し上げた構図だ。
個別では、ソフトバンクグループ、東京エレクトロン、リクルートホールディングス、東京海上ホールディングスが買われた一方、イビデン、キオクシアホールディングス、ファーストリテイリング、中外製薬、KDDI、京セラが下落。指数寄与の大きい銘柄が売り買い両側に散らばっており、テーマで一方向に傾いた相場ではない。
原油安は鉱業の重荷になった半面、朝方の買い先行の理由でもあった。同じ材料が場中で評価を変えられたあたりに、この日の腰の弱さが表れている。
外部環境:米金利高と円安が同居
国内要因より、この日は海外金利の存在感が大きかった。
金利
- 米10年債利回りは28日の東京時間に5.21%近辺で推移
- 国内新発10年債利回りは3.066%で終了、債券先物は124円28銭で取引終了
- 背景にあるのは米国の早期追加利上げ観測と原油価格の持ち直し
為替
ドル円は午後の東京市場で157円70銭台。午前は157円34銭から157円85銭へ水準を切り上げた。円安は輸出関連の支えだが、157円台という水準そのものが政策的な注目を集めやすいことは意識しておきたい。
アジア市況
韓国総合株価指数(KOSPI)の下落が、午後の東京市場の重荷として意識された。テクニカル面では日経平均が75日移動平均線で上値を抑えられた形になっている。
ここがポイント: 米金利上昇 → 国内金利上昇 → 金融株高・成長株安、という連鎖が素直に出た1日。指数の下げ幅より、この序列が続くかどうかが次の焦点になる。
次回立会日(9月29日):まず配当落ちを差し引く
9月末の権利確定日は9月30日(水)。T+2決済のため、権利付き最終売買日は9月28日(月)、権利落ち日は9月29日(火)にあたる。つまり29日の日経平均は、材料が何もなくても配当落ち分だけ理論的に下がって始まる。
前年(2025年9月末)の権利落ち日には日経平均が300円程度押し下げられた。今年の落ち分の確定試算は各社で数字が分かれるため鵜呑みにはできないが、数百円規模の押し下げ要因として朝の寄り付きを見ておきたい。
一方で、落ちた分を買い戻す需要も控えている。配当再投資に伴う先物買いは市場推計で1.6兆円程度、うち日経平均構成銘柄向けの買い需要は3000億円弱とされ、28日大引けと29日寄り付きに発生する。需給としては下支え、指数としては下押しが同時に効く1日になる。
29日に出る材料
- 景気先行CI指数(7月)
- 景気一致指数(7月)
- 月例経済報告(9月)
- 米・消費者信頼感指数(9月)
- 米・JOLTS求人件数(8月)
米国の消費者信頼感とJOLTSは、10月2日の米雇用統計に向けた地ならしになる。労働需給の緩みが確認されれば利上げ観測は後退し、きょう買われた金融株にはむしろ逆風になりうる。
強気・弱気の両にらみ
同じ材料が逆に効く局面なので、シナリオは条件付きで整理しておく。
支えになりうる材料
- 配当再投資に伴う先物買い(推計1.6兆円規模)が週前半の需給を支える
- 円安水準の維持は輸出関連の業績前提を崩さない
- 売買代金8兆円超と、投資家が相場から降りているわけではない
警戒すべき材料
- 米金利の一段高。長期金利上昇が続けば高PER銘柄とグロース市場に効く
- グロース250が800pt割れで戻せない場合、リスク許容度の低下サイン
- 日経平均は75日移動平均線に上値を抑えられた形。ここを回復できるか
- 9月30日の米コアPCE、10月1日の日銀短観、10月2日の米雇用統計と重要指標が連続
次に見るべきポイント
- 29日寄り付きの下げ幅が配当落ち分を超えているか。超えていれば実需の売りが乗っている
- 保険・銀行の上昇が2日続くか。続けば金利上昇をテーマにした資金移動が本格化している
- グロース250が800ptを回復できるか
- 日経平均の下値めどとして、週間予想レンジの下限とされる6万4500円近辺
- 週後半の日銀短観と米雇用統計。ここで国内金利と米金利の方向が同時に動くと、きょうの物色構図がそのまま反転する余地がある
配当落ちという「機械的な下げ」が入る日は、地合いの判断が難しくなる。29日は指数の数字よりも、業種別騰落とグロース市場の反応を先に見るのが実際的だ。
