資源循環・リサイクル関連で注目したい日本株10選
投資判断は自己責任であり、本記事の内容は将来の成果を保証するものではありません。株価、PER、PBR、配当利回り、業績予想は変動します。確認時点は2026年7月11日で、株価・指標は参照先で確認できる直近表示値をもとに整理しました。
今回の結論は、廃棄物処理・リサイクル関連は一括りに買うテーマではなく、安定処理型、資源価格連動型、小型再生材型を分けて見るべきということです。安定感を重視するなら大栄環境、ダイセキ、要興業。業績の伸びと株価の勢いを見るならTREホールディングス、AREホールディングス、松田産業。値動きの大きさを許容できるならエンビプロ、リファインバースグループ、イボキンが監視対象になります。
- 安定需要型: 大栄環境、ダイセキ、要興業、ミダックHD
- 資源価格・都市鉱山型: AREホールディングス、松田産業、エンビプロ、イボキン
- 再生材・小型成長型: リファインバースグループ
- 総合型: TREホールディングス
循環型社会の追い風はあるが、株価の性格はかなり違う
廃棄物処理・リサイクル関連の強みは、景気が多少悪くても廃棄物処理そのものの需要が消えにくい点です。一方で、金属スクラップや貴金属回収に寄る銘柄は、資源価格や為替で利益が大きく振れます。
経済産業省は成長志向型の資源自律経済戦略で、サーキュラーエコノミー関連市場について国内で2030年80兆円、2050年120兆円という見通しを示しています。これは長期テーマとしての追い風です。ただし、株式投資では政策テーマそのものより、各社の処理能力、価格転嫁力、最終処分場の希少性、資源価格への感応度を見る必要があります。
ここがポイント: 廃棄物処理はディフェンシブに見えますが、リサイクル株は資源価格、設備投資、在庫評価、信用需給で値動きが荒くなる局面があります。
10銘柄の比較一覧
オススメ度は星5を買い寄り、星1を慎重寄りとして、株価水準、業績予想、バリュエーション、値動き、テーマ性を総合して付けています。購入ラインと売却ラインは売買指示ではなく、監視レンジです。
| 銘柄 | 株価・主な指標 | オススメ度 | 向くスタイル | 監視したい購入ライン | 利確・撤退の目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| TREホールディングス 9247 | 1,727円、PER6.7倍、PBR1.03倍、利回り2.90% | ★★★★☆ | 中期 | 1,600円台前半、または決算で減益幅縮小を確認 | 1,900円接近、または利益見通し悪化 |
| ダイセキ 9793 | 3,435円、PER16.4倍、PBR2.04倍、利回り2.21% | ★★★★☆ | 中長期 | 3,200円台、25日線割れ後の反発 | 3,700円台、または土壌・廃液処理の伸び鈍化 |
| 大栄環境 9336 | 4,180円、PER29.0倍、PBR4.27倍、利回り1.17% | ★★★☆☆ | 長期 | 3,900円前後までの押し目 | 4,500円超で成長鈍化が見える場合 |
| ミダックHD 6564 | 1,993円、PER18.8倍、PBR3.39倍、利回り0.90% | ★★★☆☆ | 中期 | 1,850円前後、200日線回復確認 | 2,200円台、または信用買い残が重いまま失速 |
| AREホールディングス 5857 | 3,575円、PER12.7倍、PBR2.06倍、利回り3.36% | ★★★★☆ | 中期・配当 | 3,300円台、貴金属市況の反落待ち | 3,900円台、または金・PGM市況が反転 |
| 松田産業 7456 | 6,160円、PER13.8倍、PBR1.56倍、利回り1.62% | ★★★★☆ | 中期 | 5,700円から5,900円 | 6,600円台、または利益成長率が鈍る場合 |
| エンビプロ 5698 | 984円、PER21.5倍、PBR1.68倍、利回り1.52% | ★★★☆☆ | 短期・テーマ | 900円前後、急騰後の出来高減少待ち | 1,100円台、または出来高急減 |
| リファインバースG 7375 | 866円、PER9.7倍、PBR13.55倍、無配 | ★★☆☆☆ | 小型成長 | 800円前後、黒字拡大の継続確認 | 950円超、または営業利益計画未達 |
| イボキン 5699 | 1,644円、PER11.1倍、PBR1.09倍、利回り1.95% | ★★★☆☆ | 中小型 | 1,500円台、解体・金属市況の底堅さ確認 | 1,800円台、または今期減益見通しが嫌気される場合 |
| 要興業 6566 | 1,450円、PER14.9倍、PBR1.15倍、利回り2.00% | ★★★☆☆ | 長期安定 | 1,380円から1,420円 | 1,600円前後、または東京都心需要に鈍化感 |
個別銘柄の見方
ここからは、10銘柄を同じ物差しで並べず、利益の出方と株価の癖に分けて見ます。
TREホールディングス 9247
TREホールディングスは、廃棄物処理、リサイクル、バイオマス発電を持つ総合型です。株価は1,727円、PER6.7倍、PBR1.03倍、配当利回り2.90%。2026年3月期予想は売上高1,213億円、経常利益183億円、最終利益123億円、配当50円です。
強気材料は、PERが低く、PBRも1倍近辺で、テーマ株としては割高感が小さいことです。前期の大幅増益後に経常減益予想となっていますが、最終利益は横ばい圏を保つ計画です。
弱気材料は、今期経常利益が前期比18.6%減の予想である点です。株価が上がるには、リサイクル市況や処理単価だけでなく、減益見通しが底打ちしたと市場が判断する必要があります。
購入ラインは1,600円台前半。売却ラインは1,900円前後、または次回決算で経常利益の下振れが見えた場合です。中期向きです。
ダイセキ 9793
ダイセキは廃油、汚泥、土壌汚染処理を柱にする産廃処理大手です。株価は3,435円、PER16.4倍、PBR2.04倍、配当利回り2.21%。2026年2月期予想は売上高700億円、経常利益158億円、最終利益99億円、配当76円です。
強気材料は、売上、経常利益、最終利益、配当がそろって増加予想であることです。循環型社会テーマの中では、資源価格より処理需要の安定性が読みやすい銘柄です。
弱気材料は、成長株として見るにはPERが極端に安いわけではなく、75日線・200日線の方向感が弱い点です。急騰を狙うより、押し目を拾う銘柄です。
購入ラインは3,200円台。売却ラインは3,700円台、または処理量と利益率の伸びが止まる場合です。中長期の安定枠に向きます。
大栄環境 9336
大栄環境は一般・産業廃棄物の収集運搬、リサイクル、最終処分まで手掛ける大型の環境関連株です。株価は4,180円、PER29.0倍、PBR4.27倍、配当利回り1.17%。2026年3月期予想は売上高839億円、経常利益216億円、最終利益144億円、配当49円です。
強気材料は、最終処分場を含む一貫体制です。廃棄物処理では許認可と処分能力が参入障壁になりやすく、長期の安定性を評価しやすい銘柄です。
弱気材料は、バリュエーションです。PER29倍、PBR4倍台は、安定処理株としては高めで、業績成長が少し鈍るだけでも株価調整の理由になります。
購入ラインは3,900円前後までの押し目。売却ラインは4,500円超、または業績の伸びが鈍ったままPERが高止まりする局面です。長期向きですが、買値には慎重さが必要です。
ミダックホールディングス 6564
ミダックHDは産業廃棄物の処理・最終処分に強みがあります。株価は1,993円、PER18.8倍、PBR3.39倍、配当利回り0.90%。2026年3月期予想は売上高116億円、経常利益47億円、最終利益29.3億円、配当18円です。
強気材料は、売上と利益が増加予想で、最終処分場関連の希少性があることです。処理能力の拡大が利益成長に直結しやすいタイプです。
弱気材料は、PBRが高めで、信用倍率が非常に高くなっている点です。買い残が重い局面では、好材料が出ても上値が伸びにくいことがあります。
購入ラインは1,850円前後、または200日線を明確に回復する局面。売却ラインは2,200円台、または信用需給が改善しないまま出来高が細る場合です。中期向きです。
AREホールディングス 5857
AREホールディングスは貴金属リサイクルと環境保全を持つ都市鉱山関連の代表格です。株価は3,575円、PER12.7倍、PBR2.06倍、配当利回り3.36%。2026年3月期予想は売上高5,170億円、経常利益291億円、最終利益216億円、配当120円です。
強気材料は、経常利益が前期比42.1%増、最終利益が50.8%増の予想で、配当利回りも3%台あることです。貴金属価格の上昇局面では、テーマ性と業績の両方が評価されます。
弱気材料は、金やプラチナなどの市況反落です。貴金属リサイクルは安定処理だけでなく、販売価格や在庫評価の影響を受けます。
購入ラインは3,300円台。売却ラインは3,900円台、または貴金属市況が反落し業績上振れ期待が後退する局面です。中期と配当狙いの両方で監視できます。
松田産業 7456
松田産業は貴金属リサイクルと食品素材卸を併せ持つ企業です。株価は6,160円、PER13.8倍、PBR1.56倍、配当利回り1.62%。2026年3月期予想は売上高5,500億円、経常利益162億円、最終利益115億円、配当100円です。
強気材料は、売上高17.3%増、経常利益19.8%増、最終利益21.6%増の予想です。株価トレンドも短期から長期まで上向きで、業績と需給がそろっています。
弱気材料は、株価がすでに大きく上昇している点です。PERは過熱とまでは言いにくいものの、追いかけ買いではリスクが上がります。
購入ラインは5,700円から5,900円。売却ラインは6,600円台、または次回決算で増益率が鈍化する場合です。中期向きです。
エンビプロ・ホールディングス 5698
エンビプロは金属スクラップ、資源リサイクル、中古車輸出などを手掛けます。株価は984円、PER21.5倍、PBR1.68倍、配当利回り1.52%。2026年6月期予想は売上高430億円、経常利益17億円、最終利益13億円、配当15円です。
強気材料は、経常利益が前期比39.8%増、最終利益が10.6%増の予想で、株価の短中長期トレンドが強いことです。出来高も大きく増え、テーマ物色が入りやすい銘柄です。
弱気材料は、株価が短期間で急伸していることです。25日線からのかい離が大きい局面では、材料が出尽くすと調整も速くなります。
購入ラインは900円前後までの押し目。売却ラインは1,100円台、または出来高が急減して上値追いが止まる局面です。短期から中期向きです。
リファインバースグループ 7375
リファインバースGは産業廃棄物の再資源化、特にカーペットなどの再生材事業に特色があります。株価は866円、PER9.7倍、PBR13.55倍、配当はありません。2026年6月期予想は売上高48億円、経常利益3.3億円、最終利益3.0億円です。
強気材料は、経常利益が前期比2.2倍、最終利益が2.1倍の予想で、利益成長率だけを見れば10銘柄の中でも目立ちます。小型株らしい伸びしろがあります。
弱気材料は、PBRが非常に高く、無配で、時価総額も小さい点です。黒字拡大が止まると評価が一気に縮みやすい銘柄です。
購入ラインは800円前後。売却ラインは950円超、または営業利益計画の達成確度が下がる場合です。小型成長株に慣れた投資家向きです。
イボキン 5699
イボキンは解体、産業廃棄物処理、金属リサイクルを組み合わせた中小型株です。株価は1,644円、PER11.1倍、PBR1.09倍、配当利回り1.95%。2025年12月期予想は売上高99.5億円、経常利益5.7億円、最終利益4.9億円、配当32円です。
強気材料は、PBR1倍近辺で、解体と金属リサイクルの両方を持つことです。資源循環だけでなく、老朽設備の解体需要も材料になります。
弱気材料は、今期が経常利益31.0%減、最終利益6.5%減の予想であることです。株価トレンドは上向きでも、業績面では反転確認が必要です。
購入ラインは1,500円台。売却ラインは1,800円台、または減益見通しが長引く場合です。中小型の値幅取り向きです。
要興業 6566
要興業は東京23区内を主力に、一般・産業廃棄物の収集運搬、中間処理、リサイクルを行います。株価は1,450円、PER14.9倍、PBR1.15倍、配当利回り2.00%。2026年3月期予想は売上高150億円、経常利益21.9億円、最終利益15.4億円、配当29円です。
強気材料は、都市部の廃棄物処理需要を背景に、売上と利益が小幅ながら増加予想であることです。派手さはありませんが、テーマ株の中では守りの性格が強い銘柄です。
弱気材料は、成長率が高くないことです。短期資金が集まるテーマ株というより、安定収益をゆっくり評価する銘柄です。
購入ラインは1,380円から1,420円。売却ラインは1,600円前後、または東京都心部の処理需要や単価に鈍化感が出る場合です。長期安定型です。
投資スタイル別の使い分け
同じリサイクル関連でも、短期、中期、長期で選ぶ銘柄は変わります。
短期で見るなら出来高とテーマ性
短期ならエンビプロ、イボキン、リファインバースGです。共通点は時価総額が比較的小さく、材料が出たときに株価が動きやすいことです。ただし、出来高が細ると一気に値幅が出ます。
中期で見るなら業績予想と割安感
中期ならTREホールディングス、AREホールディングス、松田産業、ミダックHDです。決算で利益見通しが確認できれば、テーマ性より業績の裏付けで評価されやすくなります。
長期で見るなら処理能力と参入障壁
長期なら大栄環境、ダイセキ、要興業です。最終処分場、収集網、許認可、顧客基盤が重要で、短期の株価材料より事業基盤を重視します。
共通リスクと次に見るべき点
循環型社会は長期テーマですが、株価は常に前倒しで織り込みます。次の決算で見るべき点は、テーマの言葉ではなく数字です。
- 処理単価の上昇が利益率に反映されているか
- 人件費、燃料費、設備投資負担を価格転嫁できているか
- 金属・貴金属価格の変動が利益を押し上げているだけではないか
- 信用買い残が重く、好材料でも上値を抑えていないか
- 配当や自社株買いなど株主還元が継続するか
次回立会日以降は、資源価格連動型のAREホールディングス、松田産業、エンビプロの出来高と、安定処理型の大栄環境、ダイセキ、要興業の押し目を分けて見たいところです。テーマ全体が買われる日より、決算で利益率と処理量が確認できる銘柄に資金が残るかが本当の分岐点になります。
