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マイナンバーカード活用拡大で注目したい日本株10選 本人確認・医療DXの本命を比較

マイナンバーカードを読み取るスマートフォンと医療・行政システムのイメージ。

マイナンバーカード活用拡大で注目したい日本株10選 本人確認・医療DXの本命を比較

総合評価:★★★★☆(中長期で注目)

マイナンバーカード関連株を見るなら、カード発行の一時需要より、本人確認、医療資格確認、認証基盤の継続利用で収益を積み上げられる企業を優先したい。今回の10社では、成長性ならサイバートラストとソリトンシステムズ、業績の安定感ならBIPROGYとTIS、割安さと医療DXへの直接性ならPHCホールディングスが比較対象になる。

本記事の株価・市場指標は、原則として2026年7月31日終値、確認日は2026年8月1日。購入・売却ラインは断定的な売買指示ではなく、決算、バリュエーション、直近の値動きを踏まえた監視レンジである。

投資判断は自己責任であり、本記事の内容は将来の運用成果を保証するものではありません。株価や会社予想は変動するため、実際の売買前に最新の決算・適時開示を確認してください。

この記事で分かること

  • マイナンバーカード活用が企業収益へ波及する3つの経路
  • 本人確認、医療、行政基盤に関わる10社の違い
  • PER、PBR、ROE、配当とテーマへの直接性を組み合わせた評価
  • 短期・中期・長期それぞれの監視ラインと撤退条件
目次

本命は「カードを作る会社」より「認証を繰り返し使う会社」

このテーマの中心は、カード発行枚数そのものから、カードを使って本人確認や医療情報連携を行うサービスへ移っている。

デジタル庁は、マイナンバーカードを行政手続だけでなく、民間サービスの本人確認にも利用できる基盤と位置付けている。医療では、自治体と医療機関をつなぐPublic Medical Hub(PMH)が、医療費助成、予防接種、母子保健へ対象を広げている。

2026年度には、マイナンバーカードを利用した救急時の医療情報閲覧が712消防本部、5,417隊で運用される。これは単発の端末納入だけでなく、認証、システム連携、保守、セキュリティ対策が継続的に必要になることを意味する。

収益への波及経路は大きく3つある。

  • 本人確認:公的個人認証(JPKI)、電子証明書、ICチップ読取、eKYC
  • 医療DX:オンライン資格確認、電子処方箋、PMH、レセコン・電子カルテ連携
  • 基幹システム:行政・金融・企業システムへの認証機能実装、運用・保守

一方、政策テーマとの関連だけで全社業績が伸びるとは限らない。NECや富士通のような大手では、マイナンバー関連は多数ある事業の一部だ。テーマへの直接性では中小型株が上回るが、値動きと業績の振れも大きくなる。

10銘柄の比較一覧

結論を先に示すと、直接性と成長性のバランスではサイバートラスト、業績と還元まで含めるとソリトンシステムズが上位となる。

指標は2026年7月31日時点。PERは会社予想、PBRとROEは実績、配当利回りは会社予想を使用した。NECの予想PERはデータ提供元で未表示だったため、無理に補完していない。

銘柄終値PERPBRROE配当利回り評価
NEC(6701)4,740円未表示2.81倍13.03%0.84%★★★★☆
富士通(6702)3,659円20.48倍3.12倍23.87%1.50%★★★★☆
大日本印刷(7912)2,921.5円13.27倍1.06倍8.94%1.40%★★★★☆
TOPPAN HD(7911)4,527円23.21倍0.95倍4.93%1.28%★★★☆☆
サイバートラスト(4498)1,243円16.42倍2.71倍14.11%1.13%★★★★★
ソリトンシステムズ(3040)1,950円15.39倍2.70倍18.01%3.08%★★★★★
BIPROGY(8056)4,868円14.60倍2.63倍17.93%2.88%★★★★☆
TIS(3626)3,780円14.18倍2.71倍13.96%2.38%★★★★☆
PHC HD(6523)1,100円9.04倍0.86倍0.32%3.82%★★★☆☆
EMシステムズ(4820)558円17.61倍2.02倍12.00%4.12%★★★★☆

投資スタイルと監視レンジ

銘柄向くスタイル購入を検討する監視帯利益確定・見直し帯
NEC中期4,450~4,650円5,200円超/4,300円割れ
富士通中長期3,400~3,550円4,000円超/3,300円割れ
大日本印刷中長期2,700~2,850円3,150円超/2,600円割れ
TOPPAN HD長期4,200~4,350円4,800円超/4,050円割れ
サイバートラスト中長期1,150~1,200円1,350円超/1,100円割れ
ソリトンシステムズ中期1,800~1,880円2,100円超/1,750円割れ
BIPROGY中長期4,600~4,750円5,200円超/4,450円割れ
TIS中長期3,550~3,700円4,100円超/3,400円割れ
PHC HD逆張り・長期1,000~1,060円1,180円超/950円割れ
EMシステムズ配当・長期510~540円620円超/480円割れ

「見直し帯」は損切りを機械的に促す水準ではない。下限を割ったときは、決算悪化、政策変更、テーマ失速のどれが原因かを確認し、前提が崩れていれば保有理由を再検討するための目安だ。

各銘柄の魅力とリスク

ここではテーマへの直接性だけでなく、全社業績に占める重要度と株価の織り込み具合を分けて見る。

1.NEC(6701)— 大型公共案件と認証技術を持つ中核株

評価:★★★★☆/中期向き

NECは行政、医療、金融を横断する大規模システムと、生体認証・セキュリティを組み合わせられる点が強い。2027年3月期第1四半期は売上収益8,198億円、営業利益588億円となり、前年同期比でそれぞれ14.5%、66.1%増えた。

ただし、好決算発表後の7月30日に5,002円まで上昇した翌日、4,740円へ5.24%下落した。出来高は1,124万株まで膨らんでおり、短期資金の入れ替わりが激しい。

  • 強気材料:公共ITの受注基盤、認証技術、ROE13.03%
  • 弱気材料:マイナンバー関連の全社利益への寄与が見えにくい、大型買収の統合負担
  • 監視方法:4,450~4,650円で下げ止まりを確認。5,200円超では業績上方修正を織り込んだか点検する

2.富士通(6702)— 高ROEだが期待も高い大型DX株

評価:★★★★☆/中長期向き

富士通のROEは23.87%と10社中で最も高い。2026年3月期は売上収益が微減だった一方、営業利益は31.4%増の3,483億円、親会社帰属利益は104.5%増の4,494億円となった。

7月31日の株価は6.23%安。PER20.48倍、PBR3.12倍で、DNPやBIPROGYより高い期待が織り込まれている。公共システム需要だけでなく、全社のサービス採算改善が続くかが重要だ。

  • 強気材料:高ROE、サービス事業の利益改善、行政・医療システムの実装力
  • 弱気材料:バリュエーションの高さ、決算後の値動きの荒さ
  • 監視方法:3,400~3,550円を分割購入帯とし、3,300円割れでは利益成長の鈍化を確認する

3.大日本印刷(7912)— 本人確認を金融・民間サービスへ広げる割安株

評価:★★★★☆/中長期向き

大日本印刷は、カード関連技術に加えてJPKIを使った本人確認、マイナンバー収集BPOなどを展開する。予想PER13.27倍、PBR1.06倍で、認証関連の成長期待が過度には織り込まれていない。

7月24日の3,139円から7月31日は2,921.5円へ下落。次回決算は8月7日予定であり、決算前に一度で買うより、2,700~2,850円を待つ方がリスクを抑えやすい。

  • 強気材料:本人確認からBPOまで対応、低めのPER、資本効率改善の余地
  • 弱気材料:ROE8.94%は成長株として突出しない、事業領域が広くテーマ感応度が低い
  • 監視方法:決算でスマートコミュニケーション部門の利益率と自社株買いを確認する

4.TOPPANホールディングス(7911)— カードからオンライン本人確認への転換力

評価:★★★☆☆/長期向き

TOPPANはマイナンバーカードとスマートフォンを組み合わせた本人確認や、公的個人認証を使うサービス基盤を手掛ける。PBRは0.95倍だが、予想PERは23.21倍、ROEは4.93%である。

PBRだけを見て割安と判断しにくい。利益成長を伴わなければ、資産価値の割安さが株価上昇につながらないためだ。

  • 強気材料:本人確認コア技術、金融・行政への顧客基盤、PBR1倍割れ
  • 弱気材料:低ROE、利益予想に対して高めのPER
  • 監視方法:8月12日予定の決算で収益性改善を確認し、4,200~4,350円で段階的に検討する

5.サイバートラスト(4498)— JPKI利用拡大を最も直接的に取り込む

評価:★★★★★/中長期向き

サイバートラストは「iTrust本人確認サービス」を通じ、マイナンバーカードのICチップから基本4情報を読み取り、公的個人認証で改ざんの有無を確認する。10社の中でもテーマとの距離が近い。

PER16.42倍、ROE14.11%、自己資本比率69.5%で、成長性と財務のバランスが取れている。一方、時価総額は約207億円。大型株より出来高が少なく、材料が出た日の値幅は大きくなりやすい。

  • 強気材料:本人確認サービスの継続課金余地、JPKI利用事例の拡大、健全な財務
  • 弱気材料:小型株特有の流動性、競合参入、制度仕様への依存
  • 監視方法:1,150~1,200円で押し目を待ち、1,100円割れでは売上成長率と契約件数を再点検する

6.ソリトンシステムズ(3040)— 認証・セキュリティと還元を両立

評価:★★★★★/中期向き

ソリトンシステムズは認証、端末管理、サイバーセキュリティを主力とする。2025年12月期は売上高197億6,200万円、営業利益28億4,400万円で、前年同期比6.2%増収、39.2%営業増益だった。

2026年12月期第1四半期も売上高51億6,500万円、営業利益9億800万円と、それぞれ12.7%、53.2%増加。年間配当予想は60円で、7月31日時点の利回りは3.08%となる。

  • 強気材料:利益の伸び、ROE18.01%、増配、認証需要の継続性
  • 弱気材料:8月12日の決算前後で値幅が広がる可能性、官公庁需要の期ずれ
  • 監視方法:決算通過後も1,800~1,880円を維持できれば中期候補。2,100円超では利益成長との釣り合いを確認する

7.BIPROGY(8056)— 受注・運用収入と株主還元を重視する選択

評価:★★★★☆/中長期向き

BIPROGYは金融、流通、公共分野のシステム開発と運用を担う。テーマへの直接性は認証専業より低いが、顧客システムへ本人確認機能を実装し、その後の保守まで収益化できる点が強みだ。

PER14.60倍、ROE17.93%、予想配当利回り2.88%は、成長・還元・価格のバランスがよい。ただし7月31日は4.08%安で、8月5日の決算を控える。

  • 強気材料:高ROE、継続的な運用収入、140円の年間配当予想
  • 弱気材料:人件費上昇、大型案件の採算悪化、テーマとの直接性の薄さ
  • 監視方法:4,600~4,750円で決算後の下げ止まりを確認する

8.TIS(3626)— 金融本人確認を長期案件へつなげる安定株

評価:★★★★☆/中長期向き

TISは金融・決済分野に強く、本人確認の厳格化が進むほど、認証機能を勘定系や顧客接点へ組み込む需要を取り込みやすい。マイナンバー単独ではなく、金融DX全体の投資が収益源になる。

PER14.18倍、ROE13.96%、自己資本比率58.9%。7月31日は3.99%安だったため、短期的には3,550~3,700円で売り圧力が弱まるかを見たい。

  • 強気材料:金融ITの顧客基盤、継続収入、財務の安定性
  • 弱気材料:技術者コスト、プロジェクト採算、政策テーマへの感応度の低さ
  • 監視方法:4,100円超では上値追いを避け、次の受注・利益率を待つ

9.PHCホールディングス(6523)— 医療DXへの直接性と収益改善を天秤にかける

評価:★★★☆☆/逆張り・長期向き

PHCグループのウィーメックスは、レセコン、電子カルテ、電子薬歴とオンライン資格確認を連携する。関連ソフトウェアの導入は累計5万件を超えており、医療現場との接点は10社の中でも明確だ。

株価は1,100円、PER9.04倍、PBR0.86倍、予想配当利回り3.82%。数字だけなら割安だが、実績ROEは0.32%、自己資本比率は29.8%にとどまる。安さより収益回復を確認すべき銘柄である。

  • 強気材料:医療資格確認への直接性、低PER・PBR、配当利回り
  • 弱気材料:低ROE、財務余力、医療機関側の投資一巡
  • 監視方法:8月6日の決算でヘルスケアソリューションの利益改善を確認し、1,000~1,060円で分割検討する

10.EMシステムズ(4820)— 医療現場の継続利用と配当を狙う

評価:★★★★☆/配当・長期向き

EMシステムズは薬局・診療所向けシステムを提供する。オンライン資格確認や電子処方箋は導入して終わる設備ではなく、制度改定への対応、保守、クラウド利用が続く。その継続性が投資上のポイントになる。

株価558円に対し、予想配当は23円、利回り4.12%。自己資本比率73.9%、ROE12.00%で財務面にも余裕がある。一方、年初来高値799円からは大きく下落しており、業績成長への評価はまだ戻っていない。

  • 強気材料:高配当、医療システムの継続収入、厚い自己資本
  • 弱気材料:小型株の流動性、医療機関の投資負担、競争激化
  • 監視方法:510~540円を配当利回りと業績の両面から確認。480円割れでは減配リスクを点検する

投資スタイル別の選び方

スタイルによって、同じ政策テーマでも選ぶ銘柄は変わる。

短期は決算と出来高を優先

短期では、テーマの長期性より次の決算と需給が株価を動かす。

  • NEC:好決算後に出来高が急増しており、値固めを待つ
  • ソリトンシステムズ:8月12日の決算で増益ペースを確認
  • 大日本印刷:8月7日の決算前後で2,850円を維持できるかを見る

決算前の先回りは、期待未達だけで売られる危険がある。発表翌日の高値と安値が定まってから入る方が再現しやすい。

中期は利益率と受注を確認

半年から1年なら、BIPROGY、TIS、サイバートラストが比較しやすい。確認項目は売上高だけではない。

  • 認証サービスの契約数や利用量が伸びているか
  • 公共・金融案件の受注残が売上へ転換しているか
  • 人件費増を価格改定や生産性向上で吸収できているか
  • 営業利益率とROEが低下していないか

長期は政策後も残る収益を選ぶ

長期投資では、補助金や一斉更新が終わった後も残るサービスが重要だ。PHCホールディングスとEMシステムズは医療機関での継続利用、DNPとTOPPANは民間本人確認への展開が焦点になる。

カード更新需要だけを根拠にすると、受注の山を越えた後に反動減が起きる。保守料、クラウド利用料、認証回数に応じた収入へ転換できる企業を優先したい。

共通リスクと前提が崩れる条件

最大のリスクは、政策が止まることだけではない。利用が広がっても、価格競争や運用コストによって利益が残らない場合がある。

ここがポイント: マイナンバーカードの利用件数が増えることと、関連企業の利益が増えることは同じではない。受注額、継続収入、利益率まで確認して初めて業績材料になる。

政策・制度リスク

  • システム仕様や導入時期の変更
  • 資格確認書など代替手段の長期併存
  • 医療機関や自治体の予算不足による導入延期
  • 個人情報保護や障害対応に伴う追加コスト

企業側のリスク

  • 大型案件の不採算化と納期遅延
  • 技術者不足による人件費・外注費の上昇
  • 認証APIの価格競争
  • 一時的な端末需要が終わった後の反動減
  • 情報漏えい、誤登録、システム停止による信用低下

株価面のリスク

2026年7月31日は、NEC、富士通、BIPROGY、TISがそろって大きく下落した。個別材料だけでなく、大型IT株からの資金流出が重なると、好業績でも株価が下がる。

小型株では反対に、少ない売買で急騰しやすい。サイバートラストやEMシステムズは、成行注文を避け、出来高と板の厚さを確認したい。

次に見るべき決算と政策材料

当面の分岐点は、8月上旬から中旬に集中する決算発表である。

  • 8月5日:BIPROGY予定
  • 8月6日:PHCホールディングス予定
  • 8月7日:大日本印刷予定
  • 8月10日:EMシステムズ予定
  • 8月12日:TOPPANホールディングス、ソリトンシステムズ予定

政策面では、PMHの導入自治体・医療機関数、救急時医療情報閲覧の実運用、スマートフォン搭載機能の利用拡大を確認する。企業側では、それらが「関連事例」ではなく、受注高、売上高、利益率として開示されるかが重要だ。

現時点の優先順位は、成長性ならサイバートラスト、業績・還元ならソリトンシステムズ、安定性ならBIPROGYとTIS。PHCホールディングスは割安だが、8月6日の決算でROEと利益率の回復を確認できるまでは、価格だけで判断しない方がよい。

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