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蓄電池・送電網・省エネ設備で選ぶGX関連株10選 利益につながる企業を比較

蓄電池設備と送電網、省エネ工場が並ぶGXインフラの風景。

蓄電池・送電網・省エネ設備で選ぶGX関連株10選 利益につながる企業を比較

総合評価:★★★★☆(中長期で注目、短期は高値追いに注意)

GX投資の本命は、政策テーマを掲げる企業ではなく、電力網の増強、蓄電設備の導入、工場・データセンターの省エネ化を実際の受注と利益に変えられる企業だ。

なかでも収益性と成長の両立で注目したいのは、明電舎、富士電機、SWCC、高砂熱学工業。割安度や配当まで考慮すると、GSユアサ、日東工業、四電工にも異なる魅力がある。

本記事は2026年8月1日時点で確認できる決算、企業公表資料、市場データを基にしています。投資判断は自己責任であり、記載内容は将来の運用成果を保証するものではありません。株価は原則として2026年7月31日終値、取得できない場合は直近確認値を使用しています。

この記事で分かること

  • GX政策が蓄電池、送電網、省エネ設備の業績へ届く経路
  • 10社のPER、PBR、ROE、配当と収益性の違い
  • 短期・中期・長期で注目する銘柄の使い分け
  • 監視したい価格帯と、評価を見直す条件
目次

GX投資は「予算額」より受注残と利益率を見る

政策支援があっても、設備を納入して利益を残せなければ株主価値にはつながらない。

経済産業省は、系統用蓄電池、省エネ設備、GXサプライチェーンなどを投資促進分野に位置付けている。一方、同省の蓄電池関連資料は、現状の建設費と運用方法だけでは系統用蓄電池の収益性が限定的になり得るとも示す。

つまり「需要が増える」だけでは不十分だ。投資家が確認すべき経路は次の通りとなる。

  1. 電力会社や工場、データセンターが設備投資を決定する
  2. メーカーや工事会社の受注残が増える
  3. 値上げ、標準化、工期管理によって粗利を確保する
  4. 営業利益とキャッシュフローが伸びる
  5. 増配や自社株買い、成長投資へ資金が回る

この観点では、送配電機器と電線は受注の見えやすさ、空調・設備工事は採算管理、蓄電池は材料費と価格競争が評価を分ける。

GX関連株10社の比較一覧

購入・売却ラインは断定的な指示ではなく、2026年7月末の株価とバリュエーションを基準にした監視レンジである。決算発表後は業績予想とEPSを更新して見直したい。

銘柄評価向くスタイル購入監視ライン利益確定・見直しライン主な収益源
明電舎(6508)★★★★☆中期8,000~8,600円10,500円超/受注鈍化変電・電力インフラ
富士電機(6504)★★★★☆中長期12,500~13,300円15,500円超/利益率低下パワエレ・省エネ設備
SWCC(5805)★★★★☆中期10,000~10,700円12,500円超/電力受注失速電力ケーブル・接続部品
高砂熱学工業(1969)★★★★☆中長期・配当3,900~4,100円4,700円超/工事採算悪化高効率空調・設備工事
GSユアサ(6674)★★★★☆中長期4,900~5,300円6,300円超/電池採算悪化ESS・産業用蓄電池
日東工業(6651)★★★★☆長期・配当4,000~4,250円4,800円超/配当方針変更配電盤・キャビネット
四電工(1939)★★★★☆配当・中期1,750~1,900円2,150円超/受注採算低下電気設備・送配電工事
住友電気工業(5802)★★★☆☆長期2,000~2,100円2,400円超/自動車部門悪化電力ケーブル・多角化
ダイキン工業(6367)★★★☆☆長期22,500~24,000円27,000円超/利益成長停滞高効率空調・冷媒
ニチコン(6996)★★★☆☆短中期2,400~2,600円3,100円超/ROE改善失敗蓄電システム・電力変換

送電網で利益を伸ばす4社

この分野では、設備投資額よりも受注残、製品構成、工事の採算が重要になる。

1.明電舎(6508)—受注成長を利益へ転換

評価:★★★★☆/中期向き

2026年3月期は受注高3,582億円、売上高3,262億円、営業利益271億円。2027年3月期は受注高3,750億円、売上高3,550億円、営業利益290億円を見込む。

7月31日終値は9,620円で、予想PER19.84倍、PBR2.50倍、実績ROE15.06%。収益性は高いが、同日の15%高で短期的な過熱感も生じた。

  • 強気材料: 変電・電力インフラの受注増、営業利益の拡大
  • 弱気材料: 高値圏のバリュエーション、部材費と大型案件の期ずれ
  • 見る数字: 受注高が売上高を上回る状態と営業利益率

購入は急騰を追わず8,000~8,600円を監視。10,500円を超えて利益予想が据え置かれる場合は、期待先行として一部利益確定を検討する局面になる。

2.富士電機(6504)—パワエレの利益率が強み

評価:★★★★☆/中長期向き

2026年3月期は売上高1兆2,276億円、営業利益1,366億円と過去最高を更新。7月31日終値14,285円に対し、予想PER18.79倍、PBR2.64倍、ROE13.14%だった。

送配電だけでなく、パワー半導体、工場の電力制御、データセンター向け電源まで収益源が広い。GX需要が一分野で鈍っても、別分野で補える点は強い。

  • 強気材料: 過去最高益、パワエレとデータセンター需要
  • 弱気材料: 設備投資循環の反動、半導体市況と為替の変動
  • 見る数字: パワエレ部門の営業利益率と受注残

12,500~13,300円への調整を待つのが基本。15,500円を超える局面では、翌期EPSの上方修正が伴うかを確認したい。

3.SWCC(5805)—電線の量より高付加価値品

評価:★★★★☆/中期向き

2026年3月期は売上高2,777億円、営業利益273億円。前期比ではそれぞれ16.8%、30.5%増え、売上以上に利益が伸びた。7月31日終値は11,350円、予想PER18.17倍、PBR3.42倍、ROE20.70%、予想配当利回り2.20%だった。

高電圧ケーブル用コネクタ「SICONEX」の増産が収益性改善に寄与する。単に銅を加工する企業ではなく、接続部品と施工を含む高付加価値化が評価の核心だ。

  • 強気材料: 電力インフラ更新、営業利益30.5%増、高ROE
  • 弱気材料: 銅価格、既契約への価格転嫁、信用買い残
  • 見る数字: SICONEXの販売量と電力インフラ部門の利益率

PBR3倍超を考えると10,000~10,700円が監視帯。12,500円超では利益成長が株価上昇に追いつくかを点検する。

4.住友電気工業(5802)—安定性は高いがGX純度は低い

評価:★★★☆☆/長期向き

7月31日終値2,184円、予想PER21.29倍、PBR2.48倍、ROE14.68%、予想配当利回り1.79%。送電ケーブルでは有力だが、自動車用ワイヤーハーネスなど他事業の影響が大きい。

  • 強気材料: 大規模送電案件への対応力、財務と顧客基盤
  • 弱気材料: 自動車生産、銅価格、為替がGX効果を薄める
  • 見る数字: 環境エネルギー部門の受注と全社利益への寄与

大型株として長期保有に向く一方、GXだけを理由に高値を追う銘柄ではない。2,000~2,100円を監視し、2,400円超では全社利益の増額が必要になる。

蓄電池で選ぶ2社

蓄電池は成長市場だが、価格競争と材料費の影響が大きい。売上成長より利益率を優先して見る。

5.GSユアサ(6674)—ESS増販と価格是正

評価:★★★★☆/中長期向き

2026年3月期は売上高6,090億円、営業利益602億円で、前期比4.9%増収、20.3%営業増益。ESS、非常用電源、車載用リチウムイオン電池が伸びた。

7月31日終値5,482円、予想PER15.28倍、PBR1.39倍、ROE11.29%、予想配当利回り1.79%。成長株として極端な割高感はない。

  • 強気材料: ESS需要、利益率改善、新中期計画
  • 弱気材料: 鉛などの材料費、海外勢との価格競争、先行投資
  • 見る数字: 産業電池電源の利益率と投資キャッシュフロー

4,900~5,300円ならPER面の余裕が出る。6,300円超ではESSの増益寄与が明確に拡大しているかを確認したい。

6.ニチコン(6996)—期待は大きいがROEが課題

評価:★★★☆☆/短中期向き

7月31日終値は2,929円で前日比15.27%高。予想PER29.36倍、PBR1.64倍、ROE5.49%、予想配当利回り1.33%だった。2026年3月期の純利益は63.1億円と前期の58.8億円から増えたが、株価が織り込む期待は小さくない。

家庭用蓄電システムやEV向け電力変換機器はテーマに合う。しかし、現状のROEでは高いPERを正当化するために利益率改善が必要だ。

  • 強気材料: 蓄電・V2H需要、健全な自己資本比率
  • 弱気材料: PER29倍台、低ROE、急騰後の需給反動
  • 見る数字: 営業利益率とROE、蓄電システムの販売台数

2,400~2,600円までの調整を監視し、3,100円超では上方修正がなければ利益確定を優先したい。

省エネ設備で選ぶ4社

省エネ設備では、製品性能だけでなく施工能力、保守契約、価格転嫁が継続利益を決める。

7.高砂熱学工業(1969)—高ROEと配当を両立

評価:★★★★☆/中長期・配当向き

7月31日終値4,264円、予想PER13.95倍、PBR2.66倍、ROE19.19%、予想配当利回り2.88%。今回の10社では、収益性、バリュエーション、還元のバランスが良い。

データセンターや半導体工場では、空調が電力使用量と稼働安定性を左右する。高砂熱学工業は、この省エネ投資を設備工事と保守収入に変えられる。

  • 強気材料: データセンター需要、高ROE、増配余地
  • 弱気材料: 人手不足、工期遅延、不採算工事
  • 見る数字: 受注時採算と完成工事総利益率

3,900~4,100円を購入監視帯とし、4,700円超では受注増だけでなく粗利率の維持を確認する。

8.ダイキン工業(6367)—世界展開は強いが評価も高い

評価:★★★☆☆/長期向き

2026年3月期は売上高5兆150億円、営業利益4,149億円で、それぞれ5.5%、3.3%増。7月17日時点の株価24,500円に対し、予想PER25.81倍、PBR2.21倍、予想配当利回り1.47%だった。

高効率空調と冷媒技術は、建物の省エネ規制強化から長く恩恵を受ける。一方、売上の伸びより営業利益の伸びが小さく、原材料費や地域別需要の差を無視できない。

  • 強気材料: 世界販売網、省エネ規制、更新需要
  • 弱気材料: 高PER、中国需要、為替と原材料費
  • 見る数字: 営業利益率と地域別販売数量

22,500~24,000円への調整を待ち、27,000円超では二桁の利益成長が見えるかを確認したい。

9.日東工業(6651)—配電設備と還元の組み合わせ

評価:★★★★☆/長期・配当向き

7月31日終値4,350円、予想PER14.23倍、PBR1.33倍、ROE9.62%、予想配当利回り3.54%。自己資本比率66.8%で財務余力もある。

再エネ、蓄電池、データセンターのどれも、電気を安全に分配する盤やキャビネットが必要になる。派手さはないが、設備投資の裾野を広く取れる企業だ。

  • 強気材料: データセンター・配電需要、高配当、財務余力
  • 弱気材料: 鋼材価格、住宅・建設需要、成長率の鈍化
  • 見る数字: 配電盤関連の売上、営業利益率、還元方針

4,000~4,250円なら配当利回りの支えが強まる。4,800円超ではROE10%超の定着が必要だ。

10.四電工(1939)—地方の系統工事を利益へ変える

評価:★★★★☆/配当・中期向き

7月17日時点の株価は1,932円、予想PER13.86倍、PBR1.29倍、ROE11.04%、予想配当利回り4.35%。2026年3月期は売上高が6.1%減った一方、原価管理により営業利益は9.3%増の88.2億円となった。

売上減でも増益を確保した点が重要だ。送配電工事は人手不足の影響を受けるが、受注選別と工程管理が機能すれば利益を残せる。

  • 強気材料: 送配電更新、採算改善、高配当
  • 弱気材料: 技能者不足、工期遅延、地域集中
  • 見る数字: 手持工事高、完成工事総利益率、特別利益を除く純利益

1,750~1,900円を監視し、2,150円超では本業利益の上方修正が伴うかを見たい。

投資スタイル別の使い分け

短期では決算と需給、中長期では受注残と利益率の再現性を優先する。

短期

  • ニチコン:急騰後の出来高と窓埋めを確認
  • 明電舎:好決算後に9,000円台を維持できるか
  • SWCC:8月7日決算で電力インフラの増益継続を確認

短期では購入レンジに届いても一括で入らず、決算翌日の安値や出来高を基準に分けて判断したい。

中期

  • 明電舎:受注高が売上高を上回る状態の継続
  • 富士電機:パワエレ部門の利益率上昇
  • 高砂熱学工業:データセンター案件の採算維持
  • 四電工:原価管理による増益の再現

長期

  • GSユアサ:ESSと非常用電源の利益構成拡大
  • ダイキン工業:省エネ規制と更新需要
  • 日東工業:配電設備需要と株主還元
  • 住友電気工業:広域連系線など大型案件の積み上がり

長期投資でも、政策が続くという理由だけで保有し続けるべきではない。営業キャッシュフローが設備投資を恒常的に下回る企業は、成長しても追加資金調達の負担が大きくなる。

GX関連株に共通する5つのリスク

最も警戒すべきは需要消失ではなく、需要があっても利益を残せない局面だ。

  • 資材高: 銅、鉛、鋼材、電子部品の上昇を価格転嫁できない
  • 人手不足: 電気工事や空調工事の技術者不足で完成が遅れる
  • 金利上昇: 系統用蓄電池や大型設備の採算基準が厳しくなる
  • 政策変更: 補助率や対象設備が変わり、案件形成が止まる
  • 期待先行: 決算前の急騰で、好材料が株価へ織り込まれる

GXテーマ全体を見直す条件は、送配電・設備工事各社の受注残が複数四半期連続で減少し、同時に営業利益率も低下することだ。逆に、資材高の中でも価格転嫁が進み、受注残と利益率がそろって上向くなら、中期的な物色は続きやすい。

次に確認する具体的なポイント

次回立会日以降は、株価の上下だけでなく次の順番で確認したい。

  • 8月4日のダイキン工業、8月5日のGSユアサとニチコン、8月6日の日東工業、8月7日のSWCCの決算
  • 電力インフラ各社の受注高と受注残
  • 電池各社の材料費、価格改定、ESS部門の利益率
  • 設備工事会社の完成工事総利益率と人員確保
  • 上方修正がないままPERだけが上がっていないか

現時点では、収益性重視なら明電舎、SWCC、高砂熱学工業、割安度との両立ならGSユアサと日東工業が比較の中心になる。ただし7月31日に急騰した銘柄が多い。最初の実務的な判断は「何を買うか」より、8月上旬の決算で利益予想が株価上昇に追いつくかを確かめることだ。

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