米株高が追い風、ただしSQの値動きに注意 8月14日の日本株朝展望
8月14日の日本株は、米国株高と米長期金利の低下が買いを支える一方、8月限SQに伴う寄り付きの振れが焦点になる。
前夜の米国市場ではS&P500が最高値を更新し、ナスダック総合も上昇した。半導体・グロース株には追い風となりやすい。ただし、寄り付き直後の指数だけで地合いを判断せず、SQ通過後のTOPIXや値上がり銘柄数まで確認したい。
- 米S&P500は0.7%高、ナスダック総合は0.8%高
- 7月の米生産者物価指数(PPI)は前月比横ばいで、市場予想を下回った
- 米国債利回りと原油価格の低下は、日本のグロース株や内需株を支えやすい
- 国内では8月限SQ。午前9時台は先物主導の値動きに注意
- 日本時間21時30分には米7月小売売上高が発表される
前営業日の日本市場と前夜の米国市場
まず切り分けたいのは、8月13日の東京市場で形成された地合いと、その大引け後に加わった米国発の材料だ。
8月13日の日本市場
日経平均、TOPIX、東証グロース市場250指数、東証プライム市場の売買代金と騰落銘柄数は、8月13日の取引終了時点の数字で確認する必要がある。JPXの東京証券取引所日報は原則として立会日の翌営業日に掲載されるため、寄り付き前は取引画面などの速報値も併用したい。
見るべきなのは、指数の上げ下げだけではない。
- 日経平均とTOPIXが同じ方向に動いたか
- 値上がりが大型株だけでなく中小型株へ広がったか
- 東証グロース市場250指数が主力指数についていけたか
- 売買代金を伴った上昇・下落だったか
日経平均だけが強く、TOPIXや騰落銘柄数が追随していなければ、値がさ株に偏った相場だった可能性がある。反対にTOPIXとグロース250も堅調なら、14日の米株高を受けた買いが市場全体へ広がりやすい。
米国株は主要3指数が上昇
13日の米国市場では、S&P500が50.49ポイント高の7,798.99と0.7%上昇し、過去最高値を更新した。ナスダック総合は214.54ポイント高の26,803.03、ダウ工業株30種平均は69.72ドル高の53,839.99だった。
上昇の背景は、7月の米PPIが前月比横ばい、食品とエネルギーを除く指数が同0.2%上昇にとどまり、いずれも市場予想を下回ったことだ。インフレ再加速への警戒が後退し、米国債利回りが低下。金利に敏感なハイテク株の買いにつながった。
この組み合わせは日本市場でも、半導体関連や電子部品、情報通信などの成長株に追い風となりやすい。ただし、米株高を寄り付きで織り込んだ後も買いが続くかは別問題だ。
寄り付き前の外部環境
外部環境はおおむね株式に前向きだが、為替と先物は午前8時台にも動く。絶対値より、前日の東京市場終値からの方向を確認したい。
日経平均先物と為替
日経平均先物が前日の現物終値を上回っていれば、寄り付きは買い先行が基本シナリオになる。ただし14日はSQ算出日だ。寄り付き前の気配や先物価格が、そのまま午前9時以降の方向を示すとは限らない。
ドル円では次の反応を見たい。
- 円安方向:自動車、機械、電機など輸出株を支えやすい
- 円高方向:輸出株の上値を抑える一方、輸入コストが重い小売や食品には支援材料
- 急変がない場合:米株高や個別決算を軸にした選別相場へ移りやすい
金利と原油
米国債利回りはPPI発表後に低下した。日本の長期金利も落ち着けば、高PERのグロース株には安心材料となる。一方、金利低下は銀行や保険など金融株の相対的な重荷になる場合がある。
北海ブレント原油は前日比2.1%下落した。原油安は航空、陸運、化学、電力・ガスなど、燃料や原材料の負担が大きい業種にプラスとなりやすい。資源株や石油関連には逆風となるため、指数が上昇してもセクター間の差は広がりそうだ。
8月14日の注目イベント
国内ではSQ、海外では米小売売上高が中心になる。
寄り付きは8月限SQ
8月限の株価指数先物・オプションは14日にSQを迎える。SQ値は構成銘柄の始値を基に算出されるため、裁定取引の解消などによって寄り付きの売買が膨らみやすい。
ここがポイント: 午前9時直後の日経平均が大きく動いても、SQ固有の需給が含まれる。9時30分ごろまでにTOPIX、騰落銘柄数、先物が同じ方向を維持しているかを確認したい。
8月はマイナーSQだが、薄商いになりやすい時期と重なる。注文の偏りが指数を大きく動かす可能性は残る。
米小売売上高は日本時間21時30分
米国では7月小売売上高が米東部時間午前8時30分、日本時間午後9時30分に発表される予定だ。東京市場の取引終了後ではあるものの、後場には発表を控えた持ち高調整が出る可能性がある。
数字が強ければ米景気への安心感につながる一方、インフレや金融引き締めへの警戒が再燃する余地もある。弱ければ利上げ警戒は後退しても、消費減速が企業業績への懸念を呼ぶ。単純に「強い数字なら株高」とは限らない。
強気材料と弱気材料
現時点では強気材料がやや優勢だ。ただし、寄り付き高の後に上値を追えるかが重要になる。
強気材料
- S&P500の最高値更新とナスダック総合の上昇
- 米PPIの伸び鈍化を受けた米国債利回りの低下
- 原油安による輸送、化学、電力・ガスなどのコスト負担軽減
- 先物が現物終値を上回る場合の短期的な買い戻し
弱気材料
- SQ通過後に先物主導の買いが続かない可能性
- 円高へ振れた場合の輸出株への売り圧力
- 米小売売上高を控えた後場の様子見
- 米株の高値圏で利益確定売りが強まるリスク
- 原油安による資源・石油関連株の相対的な弱さ
日経平均が上昇しても、TOPIXや騰落銘柄数が弱ければ全面高とは判断しにくい。 値がさ半導体株だけで指数を押し上げていないかを確認したい。
寄り付き・前場・後場の見方
時間帯ごとに注目点が変わる一日になりそうだ。
寄り付き:SQ値と初値形成
午前9時台は、日経平均先物と現物の差、SQ値、値がさ株の寄与度を確認する。特別買い気配や特別売り気配の銘柄が多い場合、日経平均の表示値だけでは実勢をつかみにくい。
最初に見る項目は次の4つだ。
- 日経平均とTOPIXの方向
- 東証プライム市場の値上がり・値下がり銘柄数
- 半導体株と輸出株の寄与度
- ドル円が寄り付き前の水準を維持しているか
前場:米株高が市場全体へ広がるか
SQの影響が薄れた後、TOPIXが日経平均に追随できるかが焦点になる。グロース250も上昇するなら、米金利低下を手掛かりに買いが中小型成長株へ広がっていると判断しやすい。
一方、日経平均が高くてもTOPIXが伸び悩み、値下がり銘柄が多ければ、指数寄与度の高い一部銘柄に偏った相場だ。寄り付き高を追いかけるより、前引けまでの広がりを確認したい。
後場:週末と米小売売上高を意識
後場は週末要因に加え、夜の米小売売上高を控えた持ち高調整が入りやすい。前場の高値を維持できるか、売買代金が細らないかがポイントになる。
大引けに向けて確認したいのは、次の3点だ。
- 日経平均とTOPIXが前場の上昇分を保てるか
- グロース250が米金利低下を素直に好感しているか
- 原油安の恩恵を受ける内需・運輸株へ物色が広がるか
今日の相場を判断するチェックポイント
基本シナリオは、米株高を受けた買い先行だ。ただし、SQ通過後もTOPIXと騰落銘柄数が改善することが、上昇の持続条件になる。
- 午前9時台:SQ値と先物の方向が一致するか
- 午前10時以降:TOPIXとグロース250が日経平均に追随するか
- 前引け:売買代金を伴って高値を維持できるか
- 後場:週末の利益確定売りを吸収できるか
- 大引け後:日本時間21時30分の米小売売上高に備え、為替と米金利を再確認する
寄り付きの上昇幅よりも、SQの特殊要因が薄れた後にどの指数とセクターが残るか。そこが8月14日の地合いを見極める最も実用的な観察点になる。
