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空き家再生・中古住宅流通で注目したい日本株10選 買取再販・管理・改修を比較

改修された中古住宅を不動産担当者と作業員が確認する様子。

空き家再生・中古住宅流通で注目したい日本株10選 買取再販・管理・改修を比較

総合評価:★★★★☆(中長期で注目)

空き家関連株で最も注目したい収益源は、単発の解体工事ではなく、仕入れ、改修、販売、仲介、入居後の管理までをつなぐ継続的な住宅流通です。なかでも、販売件数と利益率を伸ばしているカチタス、割安感のあるランドネット、管理収入を積み上げるJPMCを軸に比較します。

本記事の数値と開示情報は、原則として2026年7月31日までに確認できた資料に基づきます。株価連動指標は日々変動するため、発注前に最新値を再確認してください。

本記事は情報提供を目的としています。投資判断は自己責任であり、掲載内容は将来の運用成果を保証しません。

この記事で分かること

  • 空き家対策が上場企業の売上や利益へつながる経路
  • 買取再販、仲介、賃貸管理、改修で異なる収益構造
  • 注目10社の評価、向いている投資期間、監視レンジ
  • 金利上昇や仕入れ競争など、テーマ共通の下振れ要因
目次

空き家対策で利益を得るのは「家を再び使える状態にする企業」

政策だけでは売上にならず、所有者と利用者の間にある実務を引き受ける企業が収益機会を得ます。

2023年の住宅・土地統計調査では、全国の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%でした。さらに、2023年施行の改正空家法では、放置すれば特定空家になるおそれがある住宅を「管理不全空家」として指導・勧告できる仕組みが導入されています。

所有者にとっては、何もしない選択の負担が重くなりました。そこで動く需要は一つではありません。

  • 売却前の査定、片付け、相続相談
  • 住宅の買い取りと再販
  • 断熱、耐震、水回りなどの改修
  • 賃貸化した住宅の入居者募集と管理
  • 中古住宅の仲介、保証、点検
  • 利用困難な建物の解体

国の住生活基本計画は、既存住宅流通・リフォーム市場を2023年の16.9兆円から2050年に20兆円へ拡大する方向を示しています。ただし、空き家の全てが商品になるわけではありません。立地、接道、耐震性、所有関係、改修費を考慮しても採算が取れる住宅を選別できる企業が優位です。

ここがポイント: 空き家の増加そのものより、「適正価格で仕入れ、改修費を管理し、短期間で売る能力」が企業利益を左右します。

注目10銘柄の比較一覧

中核候補はカチタス、ランドネット、JPMCですが、値動きの性格と収益源は大きく異なります。

監視ラインは、各銘柄の2026年7月31日終値を100とした相対値です。株式分割や業績修正があった場合は設定し直します。

銘柄評価主な収益機会向く期間購入監視ライン利益確定・見直しライン
カチタス(8919)★★★★★地方戸建ての買取再販中長期基準値の92〜97115〜125、または粗利率低下
ランドネット(2991)★★★★☆中古区分住宅の売買・仲介中期90〜96115〜120、または通期未達
property technologies(5527)★★★★☆中古住宅再生とDX中期92〜97112〜120、または財務悪化
JPMC(3276)★★★★☆賃貸住宅の一括借上・管理長期90〜95110〜118、または管理戸数鈍化
And Do HD(3457)★★★☆☆仲介、買取再販、リースバック中長期90〜95110〜115、または資金負担増
ニッソウ(1444)★★★☆☆原状回復・小規模リフォーム中期88〜95115〜125、または利益率低下
LIFULL(2120)★★★☆☆不動産情報・空き家相談接点中期90〜95115〜125、または国内収益停滞
オープンハウスグループ(3288)★★★☆☆戸建て・中古住宅流通中長期92〜97110〜118、または販売減速
スター・マイカHD(2975)★★★☆☆中古マンション再生中期90〜95112〜120、または在庫長期化
日本リビング保証(7320)★★★☆☆住宅保証・点検・保守長期88〜94115〜125、または契約成長鈍化

相対ラインを使う理由は、短期の株価水準を売買指示として固定しないためです。購入候補は決算前に一括で買うのではなく、想定した業績が維持されているか確認しながら分けて監視するのが基本になります。

1.カチタス(8919)— 地方の空き家再生を利益へ変える本命

テーマとの直接性、販売規模、収益性の三つがそろう中心銘柄です。

同社が買い取る住宅の約4分の3は空き家です。2026年3月期は売上高1,518億円、営業利益182億円で、それぞれ前期比17.2%増、28.5%増。販売件数は8,380件、仕入れ件数は9,804件でした。

売上総利益率は23.3%、営業利益率は12.0%です。販売件数だけでなく利益率も改善した点が重要です。一方、販売用・仕掛販売用不動産は812億円へ増えました。豊富な在庫は将来の売上原資ですが、販売期間が延びれば資金負担になります。

  • 強気材料: 地方戸建てで蓄積した査定データ、全国の店舗網、増収増益
  • 弱気材料: 在庫増、工事費上昇、住宅ローン金利上昇
  • 確認指標: 販売件数、在庫回転期間、売上総利益率、営業キャッシュフロー
  • 向く投資家: 四半期の値動きより、数年単位の中古住宅流通拡大を追う中長期投資家

購入は基準値の92〜97を分散監視。115〜125では利益成長を再確認し、販売件数が増えても粗利率が継続低下する場合は価格にかかわらず見直します。

2.ランドネット(2991)— 高成長と低い評価倍率を両立

割安成長株として魅力がある半面、薄い利益率と在庫拡大を慎重に見る銘柄です。

2026年7月期第3四半期累計は売上高801億円、営業利益29億円で、前年同期比15.9%増収、19.7%増益でした。2026年7月10日時点の会社予想PERは5.42倍、PBRは1.14倍、実績ROEは23.92%です。

低PERだけを理由に買うのは早計です。不動産販売は売上規模に対して利益率が低く、仕入れ価格や借入金利の変化が利益を大きく動かします。総資産が前期末比17.0%増えた点も、成長投資と財務負担の両面から確認が必要です。

  • 強気材料: 二桁増収増益、高ROE、低い予想PER
  • 弱気材料: 有利子負債の増加、薄利構造、小型株特有の流動性
  • 確認指標: 取引件数、粗利額、在庫回転、自己資本比率
  • 向く投資家: 決算進捗を四半期ごとに点検できる中期投資家

基準値の90〜96を購入監視帯とし、115〜120では通期計画の上振れ余地を再評価します。売上が伸びても営業利益率が悪化する局面は撤退判断を優先します。

3.property technologies(5527)— 再生住宅とDXの小型割安株

数字上の割安感は強いものの、財務余力が評価の上限を決めます。

2026年11月期中間期は売上高245億円、営業利益11.8億円で増収増益。2026年7月17日時点では、予想PER6.41倍、PBR0.96倍、予想配当利回り3.73%、実績ROE13.64%でした。

一方、実績自己資本比率は19.3%です。物件仕入れを増やす局面では借入金も膨らみやすく、低PBRがそのまま安全余地を意味するわけではありません。

  • 強気材料: 中古住宅再生の増収増益、1倍を下回るPBR、DXによる査定効率化
  • 弱気材料: 低い自己資本比率、金利感応度、出来高の少なさ
  • 確認指標: 営業利益率、棚卸資産、有利子負債、営業キャッシュフロー
  • 向く投資家: 小型割安株の値動きを許容できる中期投資家

購入監視は92〜97。上値目安は112〜120ですが、先に自己資本比率やキャッシュフローが悪化した場合は見送ります。

4.JPMC(3276)— 売買より管理収入を重視する選択肢

空き家を賃貸住宅として稼働させる管理モデルは、買取再販より収益の継続性があります。

JPMCは賃貸住宅の一括借り上げや管理を主力とします。空き家を直接大量に買い取る会社ではありませんが、地方物件を含む賃貸経営支援は、既存住宅の再稼働と接点があります。

2026年7月17日時点で予想PER15.03倍、PBR3.19倍、予想配当利回り3.59%。実績ROEは19%台で、収益性への評価がPBRに反映されています。

  • 強気材料: 管理・保証収入の継続性、高ROE、配当
  • 弱気材料: 高めのPBR、空室増加、修繕費や募集費の上昇
  • 確認指標: 運用戸数、入居率、家賃滞納、1戸当たり収益
  • 向く投資家: インカムと管理戸数の積み上がりを重視する長期投資家

株価が年初来高値圏へ上昇した後は追いかけず、基準値の90〜95を監視します。管理戸数と利益の伸びが伴えば110〜118でも保有継続、戸数だけ伸びて採算が落ちるなら見直しです。

5.And Doホールディングス(3457)— 売却相談の入口を広く持つ

仲介、買取再販、リースバックを横断できる点が強みですが、金融負担も抱えます。

「ハウスドゥ」ブランドの店舗網は、相続した住宅や空き家の売却相談を集める接点になります。リースバックは自宅を売却した後も住み続けたい所有者に選択肢を提供しますが、物件保有と資金調達を伴う事業です。

2026年6月期中間期の現金及び現金同等物は88億円。営業活動で33億円を獲得した一方、借入と返済の規模が大きく、金利と物件回転の管理が欠かせません。

  • 強気材料: 全国の相談窓口、多様な売却手段、営業キャッシュフロー
  • 弱気材料: 借入依存、リースバック在庫、住宅市況の影響
  • 確認指標: フランチャイズ店舗数、在庫回転、金融費用、セグメント利益
  • 向く投資家: 配当と中古住宅流通の両方を追う中長期投資家

購入監視は90〜95、利益確定の検討帯は110〜115。金利上昇を販売価格へ転嫁できない場合は評価を一段下げます。

6.ニッソウ(1444)— 小規模改修需要を拾う施工会社

住宅を売れる、貸せる状態に戻す工事は、空き家流通の手前で必ず発生します。

ニッソウは原状回復や小規模リフォームを手掛けます。大型改修に集中する会社と異なり、賃貸住宅や中古物件で反復的に発生する細かな工事が対象です。

案件の小口分散は特定物件への依存を抑えますが、職人不足、人件費、資材価格の上昇を受注単価へ反映できるかが焦点です。

  • 強気材料: 継続的な原状回復需要、M&Aによる商圏拡大余地
  • 弱気材料: 人手不足、資材高、小型株の低流動性
  • 確認指標: 受注件数、平均工事単価、売上総利益率、外注費率
  • 向く投資家: 決算を確認しながら成長を追う中期投資家

値動きが大きくなりやすいため、購入監視は88〜95と広めに設定します。115〜125では利益率の改善が続いているかを確認します。

7.LIFULL(2120)— 空き家所有者との接点を持つプラットフォーム

物件を保有しない軽い事業構造が魅力ですが、空き家施策が連結利益へ与える影響は限定的です。

不動産情報サービスに加え、空き家の相談や地域活用に関わる接点を持ちます。売却希望者、自治体、事業者をつなぐ情報基盤は市場拡大の恩恵を受け得ます。

ただし、テーマとの関連性と投資採算は別です。空き家関連事業の利用が増えても、国内不動産情報サービス全体の収益改善につながらなければ株価材料は長続きしません。

  • 強気材料: 全国規模の情報接点、在庫を抱えにくい構造、自治体連携
  • 弱気材料: 空き家事業の利益寄与が見えにくい、広告市況、海外事業リスク
  • 確認指標: 国内売上、調整後EBITDA、問い合わせ数、顧客単価
  • 向く投資家: 業績転換を確認して動く中期投資家

購入監視は90〜95。115〜125への上昇には、テーマへの期待ではなく国内事業の継続的な利益改善が必要です。

8.オープンハウスグループ(3288)— 大型株で住宅流通を取り込む

空き家専業ではないものの、戸建て・マンション・仲介を横断する販売力があります。

大都市圏を中心とする住宅販売が主力で、地方空き家の再生とは性格が違います。一方、中古住宅や収益不動産を流通させる販売網と資金力は、既存住宅市場が広がる局面で強みになります。

  • 強気材料: 販売力、事業分散、資金調達力
  • 弱気材料: 住宅ローン金利、仕入れ価格、米国事業や新築市況の影響
  • 確認指標: 契約件数、棚卸資産、粗利率、営業キャッシュフロー
  • 向く投資家: テーマ純度より企業規模と分散を重視する中長期投資家

購入監視は92〜97。110〜118では中古住宅部門だけでなく、グループ全体の利益計画を基準に判断します。

9.スター・マイカ・ホールディングス(2975)— 賃貸中マンションを再生販売

空室になるまで賃料を得て、その後に改修・販売する独自モデルが特徴です。

賃貸中の中古マンションを取得するため、一般の実需買い手と仕入れで競合しにくい面があります。退去後の販売価格上昇を取り込める一方、退去時期を完全には制御できません。

  • 強気材料: 仕入れの独自性、保有中の賃料、都市部中古マンション需要
  • 弱気材料: 在庫長期化、金利上昇、改修費とマンション価格の高騰
  • 確認指標: 販売戸数、平均利益額、在庫期間、借入金利
  • 向く投資家: 在庫回転と市況を追える中期投資家

購入監視は90〜95、見直し帯は112〜120。販売益だけでなく、保有期間の長期化と金融費用をセットで確認します。

10.日本リビング保証(7320)— 中古住宅の不安を保証で埋める

中古住宅流通の障害である「買った後の故障」を保証・点検で補う企業です。

住宅設備保証、点検、修繕などのサービスは、中古住宅を選ぶ消費者の不安を下げます。住宅を直接売る会社ではないため、仕入れ価格の変動を受けにくい一方、提携企業や保証契約の獲得が成長を左右します。

  • 強気材料: ストック型収入、既存住宅流通の拡大、保証対象の広がり
  • 弱気材料: 成長期待を織り込んだ株価、保証事故率、提携先への依存
  • 確認指標: 契約数、前受収益、解約率、保証履行費用
  • 向く投資家: 契約残高の積み上がりを追う長期投資家

購入監視は88〜94とし、高値追いを避けます。115〜125では契約成長と利益成長が同じ方向を向いているかを確認します。

投資期間別の使い分け

短期は決算材料、中期は在庫回転、長期は市場拡大と事業の再現性を見るのが基本です。

短期投資

短期では決算直後の出来高と会社計画の修正が中心です。カチタス、ランドネット、property technologiesは販売件数や利益率の変化が株価材料になりやすい一方、決算前の期待買いには注意が必要です。

  • 決算発表前にポジションを集中させない
  • 上方修正でも在庫急増や営業キャッシュフロー悪化がないか確認する
  • 出来高を伴わない上昇は追いかけない

中期投資

中期では、仕入れから販売までの時間と粗利率を追います。ランドネット、property technologies、スター・マイカHD、ニッソウが候補です。

売上高だけでなく、在庫回転と利益率が同時に改善しているかが重要です。売上の先行指標となる在庫増も、回転が止まれば悪材料へ変わります。

長期投資

長期では、カチタス、JPMC、日本リビング保証が比較しやすい組み合わせです。

  • カチタス:再生住宅の販売件数を積み上げる
  • JPMC:管理戸数と継続収入を積み上げる
  • 日本リビング保証:保証・点検契約を積み上げる

同じテーマでも収益の出方が異なるため、複数を組み合わせる場合は買取再販だけに偏らないようにします。

強気シナリオと前提が崩れる条件

最大の追い風は既存住宅の流通拡大、最大の逆風は金利・工事費・在庫の同時上昇です。

強気シナリオ

  • 自治体の相談窓口や空き家バンクから市場に出る物件が増える
  • 新築価格の上昇で、改修済み中古住宅の価格競争力が高まる
  • 査定データや標準工事によって、再販会社の利益率が安定する
  • 住宅保証や管理サービスが普及し、中古住宅への不安が下がる

この場合、販売件数を伸ばせるカチタスやランドネットだけでなく、管理・保証を担うJPMCや日本リビング保証にも恩恵が広がります。

弱気シナリオ

  • 住宅ローン金利の上昇で購入者の予算が縮小する
  • 人件費、資材費、解体費が販売価格以上に上がる
  • 仕入れ競争が激化し、再販時の粗利が低下する
  • 再利用が難しい物件ばかり増え、市場に出る良質在庫が不足する
  • 災害や瑕疵によって追加工事・保証費用が発生する

特に危険なのは、販売会社が成長を優先して在庫を増やした直後に需要が鈍る局面です。PERが低くても、利益予想の下方修正があれば割安感は消えます。

次の決算で見るべき4項目

株価より先に、物件と資金の回転が変化します。

次回以降の決算では、次の順番で確認するとテーマへの期待と実際の業績を分けやすくなります。

  1. 販売件数・管理戸数・保証契約数は増えているか
  2. 売上総利益率や1件当たり利益は維持されているか
  3. 棚卸資産の増加を営業キャッシュフローで支えられているか
  4. 金利上昇後も配当、自社株買い、成長投資を両立できるか

空き家が900万戸あるという数字だけでは、企業利益は決まりません。次に見るべき具体的な分岐点は、2026年夏以降の決算で、増えた仕入れが粗利を維持した販売へ変わるかです。販売が鈍り在庫だけが膨らむなら慎重姿勢を強め、回転と利益率がそろって改善する企業へ絞る必要があります。

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