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停電・通信断・備蓄切れに備える防災関連株10選 8月に見直す日本株

非常電源、衛星通信、備蓄品が配置された都市の防災拠点。

停電・通信断・備蓄切れに備える防災関連株10選 8月に見直す日本株

総合評価:★★★★☆(中長期では買い寄り、短期は決算と株価位置を選びたい)

8月の防災関連株で重視したいのは、防災用品の季節販売だけではない。停電時に電力を供給する企業、地上回線が切れた後も通信をつなぐ企業、備蓄品の期限や所在を管理する企業には、企業・自治体のBCP投資が継続収入につながる余地がある。

なかでも今回は、業績と株価水準のバランスではGSユアサ、デンヨー、サトー、内田洋行を上位とした。一方、KDDIとスカパーJSATは衛星通信の成長性が高いものの、テーマへの期待が株価へ織り込まれていないかを確認したい。

投資判断は自己責任で行ってください。本記事は2026年8月1日時点で確認できた公表資料と市場データを基にした情報整理であり、将来の運用成果を保証するものではありません。株価指標は主に2026年7月24日または27日の終値を使用しています。

この記事で分かること

  • 非常電源、衛星・無線通信、備蓄管理で利益の出方がどう違うか
  • 防災需要を継続受注につなげやすい10銘柄
  • 各社のPER、PBR、ROE、配当と株価の監視レンジ
  • 短期・中期・長期で見るべき決算材料と下振れ条件
目次

8月の防災需要は「売り切り」よりBCP投資を見る

防災週間前の需要増は入口にすぎず、投資判断では平時にも受注が続く事業かどうかが重要だ。

内閣府が定める防災週間は毎年8月30日から9月5日まで。9月1日の「防災の日」を挟み、自治体や企業では訓練、設備点検、備蓄品の更新が行われる。

ただし、家庭向け防災用品の販売増だけを追うと季節性が強く、翌四半期に反動減が出やすい。中長期で注目したい収益経路は次の3つだ。

  • 非常電源:蓄電池、発電機、UPSの導入に加え、更新・保守需要が発生する
  • 衛星・無線通信:回線利用料、運用サービス、端末更新へ収益が広がる
  • 備蓄管理:期限、数量、配置場所をデータ化し、継続的な入れ替えを促す

KDDIは2026年4月、Starlinkと法人向け閉域網を接続するサービスを開始した。官公庁、医療機関、インフラ事業者が、地上回線の被災時にも機密情報を扱える設計だ。防災が単なる機材購入から、通信・保守を含む継続契約へ移る具体例といえる。

防災関連株10選の比較一覧

評価差を生むのは、防災との関連度だけでなく、利益率、割高感、受注の継続性だ。

購入・売却ラインは売買指示ではなく、2026年7月下旬の株価、直近の支持・抵抗帯、バリュエーションを踏まえた監視レンジである。決算発表や株式分割で基準が変わる場合は再計算が必要だ。

銘柄主な役割評価向く期間購入監視利益確定・見直し
GSユアサ(6674)蓄電池・非常電源★★★★☆中長期5,400~5,700円6,300~6,700円
デンヨー(6517)可搬式発電機★★★★☆中長期3,350~3,550円3,900~4,100円
ニチコン(6996)蓄電・V2H★★★☆☆中期2,750~2,950円3,400~3,600円
KDDI(9433)衛星・地上通信★★★★☆長期2,750~2,850円3,100~3,250円
スカパーJSAT(9412)衛星通信★★★☆☆中長期2,350~2,500円2,800~3,000円
アイコム(6820)業務・防災無線★★★☆☆中長期3,100~3,250円3,550~3,700円
サトーHD(6287)自動認識・在庫管理★★★★☆中長期2,300~2,400円2,650~2,800円
内田洋行(8057)自治体・学校の情報管理★★★★☆中期1,950~2,050円2,250~2,350円
コクヨ(7984)備蓄・オフィス防災★★★☆☆長期820~860円950~1,000円
山善(8051)防災用品の流通★★★☆☆配当・中期1,650~1,720円1,850~1,950円

非常電源で選ぶ3銘柄

停電対策では、単発の防災特需より設備更新と保守を取れる企業が有利だ。

1.GSユアサ コーポレーション(6674)

おすすめ度:★★★★☆|中長期向け

自動車用電池だけでなく、産業用蓄電池、UPS、航空・宇宙用電池を持つ。災害拠点、通信設備、データセンターなど、電力を止められない施設への供給力が強みだ。

2026年3月期は売上高6,089億9,500万円、営業利益601億7,200万円で増収増益。2026年7月27日終値5,793円ではPER13.88倍、PBR1.47倍、実績ベースのROEはおおむね10%台前半、配当利回りは1%台後半の水準だった。

  • 強気材料:産業用電源の更新需要、データセンター投資、収益性改善
  • 弱気材料:鉛など原材料価格、車載電池の競争、7月上旬高値からの調整
  • 購入監視:5,400~5,700円。PERの低下と下値固めを確認する
  • 売却・見直し:6,300~6,700円、または営業利益率の悪化時

7月1日の6,667円から27日の5,793円へ下落しており、出来高を伴う反発が出るまでは一括購入より分割が合う。

2.デンヨー(6517)

おすすめ度:★★★★☆|中長期向け

可搬式エンジン発電機の有力企業で、停電現場、建設工事、イベント、海外インフラなど用途が広い。防災専用品に依存せず、平時の建設・レンタル需要が生産基盤を支える点が魅力だ。

2026年3月期は売上高722億4,400万円、営業利益77億5,700万円、営業利益率10.7%、ROE7.1%。2027年3月期は年間120円配当を予想する。7月24日終値3,610円ではPER13.05倍、PBR0.96倍、配当利回り2.77%だった。

  • 強気材料:PBR1倍近辺の割安感、2桁の営業利益率、更新・海外需要
  • 弱気材料:エンジン・鋼材コスト、為替、排ガス規制対応費
  • 購入監視:3,350~3,550円。PBR1倍割れが目安
  • 売却・見直し:3,900~4,100円、または受注・利益率の同時悪化時

防災関連としての派手さは乏しいが、利益率と株価評価の釣り合いは10銘柄中でも良好だ。

3.ニチコン(6996)

おすすめ度:★★★☆☆|値動きを許容できる中期向け

家庭用蓄電システム、V2H、コンデンサーを展開する。太陽光発電やEVの電力を停電時に使う仕組みは、家庭の防災と電力需給対策を同時に担う。

7月27日終値3,000円ではPER31.92倍、PBR1.75倍、配当利回り1.2%台。PBR÷PERで見たROE水準は5%台にとどまり、株価には利益回復への期待が先行している。7月1日の4,770円から大きく調整し、出来高も通常より膨らんだ。

  • 強気材料:蓄電・V2H市場の拡大、累進配当方針、電力価格上昇
  • 弱気材料:高PER、急落後の需給、電子部品市況と設備投資負担
  • 購入監視:2,750~2,950円。業績予想の維持を確認してから
  • 売却・見直し:3,400~3,600円、または2,700円割れと下方修正が重なる場合

テーマ性は強い。しかし現段階では「安くなった」だけでなく、利益成長が株価評価に追いつくかを見たい。

衛星・無線通信で選ぶ3銘柄

通信分野では、機器の販売数より回線契約と運用収入の積み上がりが焦点になる。

4.KDDI(9433)

おすすめ度:★★★★☆|配当を受けながら持つ長期向け

KDDIはStarlinkを携帯基地局のバックホール、法人向け閉域通信、スマートフォンとの直接通信へ広げている。2026年には基地局のバックアップ回線を遠隔でStarlinkへ切り替える機能の検証を終え、災害時の復旧作業を減らす方向を示した。

7月24日終値は2,922.5円、PBR2.19倍、予想配当84円、利回り2.87%。参考となる2026年2月時点の予想PERは約14倍で、ROEは10%台を維持する通信大手だ。

  • 強気材料:通信料収入、衛星サービスの法人展開、連続的な株主還元
  • 弱気材料:通信料金競争、設備投資、金融・非通信事業の変動
  • 購入監視:2,750~2,850円。配当利回り3%近辺が目安
  • 売却・見直し:3,100~3,250円、または還元方針・利益計画の後退時

防災は全社利益の一部にすぎない。それでも、衛星通信を既存顧客へ載せられる販売網は、専業企業にない強みとなる。

5.スカパーJSATホールディングス(9412)

おすすめ度:★★★☆☆|成長性を重視する中長期向け

静止衛星を使った通信、放送、宇宙関連サービスを展開する。地上回線が寸断された自治体や企業にとって、地上設備から独立した通信経路はBCPの中核となる。

6月29日終値2,593円ではPER31.52倍、PBR2.54倍、配当利回り1.61%。2027年3月期の配当予想は48円で、事業成長への期待が高い分、バリュエーションにも余裕は少ない。

  • 強気材料:宇宙安全保障、衛星データ、災害時バックアップ通信
  • 弱気材料:高いPER、衛星投資の回収期間、打ち上げ・運用リスク
  • 購入監視:2,350~2,500円。決算後の利益予想を確認する
  • 売却・見直し:2,800~3,000円、または衛星案件の遅延時

防災需要だけで評価せず、宇宙・安全保障関連の受注と減価償却負担をセットで見る必要がある。

6.アイコム(6820)

おすすめ度:★★★☆☆|低PBRを重視する中長期向け

業務用無線、航空・海上無線、アマチュア無線を手掛ける。携帯網が混雑・停止した際に、現場同士が直接連絡を取る手段として無線機の役割は残る。

7月24日終値3,300円ではPER17.77倍、PBR0.67倍、配当利回り2.27%。PBR÷PERから算出したROE水準は4%弱で、低PBRは資本効率の低さも映している。出来高は1万株前後の日が多く、注文を急ぐと価格がぶれやすい。

  • 強気材料:堅い財務、PBR1倍割れ、公共・業務用途の更新
  • 弱気材料:低ROE、薄い出来高、端末販売中心の収益変動
  • 購入監視:3,100~3,250円。出来高増を伴う反発が条件
  • 売却・見直し:3,550~3,700円、またはROE改善策が進まない場合

割安さだけで買うより、公共案件や海外販売が利益率を押し上げる兆候を待ちたい銘柄だ。

備蓄・情報管理で選ぶ4銘柄

備蓄分野の本命は、防災セットを売る企業より「何が、どこに、いつまであるか」を管理できる企業だ。

7.サトーホールディングス(6287)

おすすめ度:★★★★☆|中長期向け

バーコード、RFID、ラベルなどの自動認識技術を持つ。備蓄食、水、医薬品、資機材に識別情報を付ければ、数量、保管場所、使用期限を一元管理できる。防災専業ではないため、物流・製造・小売で築いた基盤を横展開できる。

7月24日終値2,431円ではPER15.51倍、PBR0.95倍、配当利回り3.12%。PBR÷PERで見たROE水準は6%前後で、PBR1倍の定着には収益性の一段改善が必要だ。

  • 強気材料:RFID普及、在庫の可視化、PBR1倍近辺と3%台配当
  • 弱気材料:原材料・人件費、海外事業の変動、導入費用への顧客抵抗
  • 購入監視:2,300~2,400円。PBR1倍割れが目安
  • 売却・見直し:2,650~2,800円、または粗利率低下時

防災需要がなくても在庫管理市場が残るため、季節性を薄められるのが評価点だ。

8.内田洋行(8057)

おすすめ度:★★★★☆|決算を確認できる中期向け

自治体、学校、オフィス向けのICTと空間構築を手掛ける。災害対策本部、避難所、学校施設では、情報共有と物資管理を現場の業務へ落とし込む必要があり、単品の防災用品より案件単価を高めやすい。

2026年7月期中間期は売上高1,740億8,100万円、営業利益54億8,100万円で、前年同期比42.9%増収、51.5%営業増益。7月24日終値2,080円ではPER10.42倍、PBR1.53倍、配当利回り2.88%。会社データ上のROEは10%台半ばだった。

  • 強気材料:教育ICT需要、増収増益、自治体との顧客基盤
  • 弱気材料:GIGAスクール需要の反動、案件検収の期ずれ、人件費
  • 購入監視:1,950~2,050円。通期上振れ余地を確認する
  • 売却・見直し:2,250~2,350円、または受注残の減少時

防災だけを目的に買う銘柄ではないが、現在の利益成長とPERの低さは10社の中で目立つ

9.コクヨ(7984)

おすすめ度:★★★☆☆|還元と事業変革を見る長期向け

オフィス家具・文具に加え、備蓄収納、災害時の動線設計、働く場所の再構築と接点を持つ。防災用品単体の売上より、オフィス移転や改修時にBCPを組み込めるかが重要だ。

7月27日終値883.1円、予想年間配当24.5円、配当利回り2.77%。配当性向は約51%で、還元余地と成長投資のバランスが焦点になる。

  • 強気材料:オフィス再編、連続増配、企業のBCP見直し
  • 弱気材料:原材料・物流費、国内文具市場の成熟、期待先行の株価
  • 購入監視:820~860円。配当利回りが3%へ近づく水準
  • 売却・見直し:950~1,000円、または営業利益率低下時

株式分割後の価格であるため、過去チャートとの比較では調整後株価を使いたい。

10.山善(8051)

おすすめ度:★★★☆☆|配当重視の中期向け

機械商社である一方、家庭機器部門では発電機、照明、扇風機、暖房、収納用品などを扱う。販売店網を通じて需要急増時に商品を供給できるが、防災用品の寄与は全社の一部にとどまる。

7月27日終値1,766円ではPER16.13倍、PBR1.21倍、配当利回り3.05%。2026年3月期の年間配当は54円で、2027年3月期は56円相当の予想水準。2026年4月には約23億円の自己株式取得も実施した。

  • 強気材料:3%台配当、自己株買い、機械・家庭機器の販売網
  • 弱気材料:景気敏感な機械工具、在庫増、季節商品の値下げ
  • 購入監視:1,650~1,720円。配当利回り3.2%超が目安
  • 売却・見直し:1,850~1,950円、または在庫回転の悪化時

防災特需だけを期待するより、機械工具の市況と株主還元を主軸に評価するのが妥当だ。

投資スタイル別の使い分け

短期はイベント、中期は受注、長期は契約・更新収入を追う。

短期:8月決算と出来高を優先

短期では「防災の日」という季節要因だけで買わず、決算後も出来高を維持できるかを見る。

  • 値動き重視:ニチコン、スカパーJSAT
  • 決算反応重視:KDDI、GSユアサ
  • 流動性に注意:アイコム、デンヨー

好材料後に上昇しても出来高が急減するなら、テーマ買いが一巡した可能性がある。

中期:受注残と利益率を確認

3~12カ月では、設備やシステムの受注が売上へ変わるかが中心だ。

  • 非常電源:GSユアサ、デンヨー
  • 自治体・学校案件:内田洋行
  • 在庫可視化:サトーHD

売上が増えても原材料費、人件費、外注費で粗利が低下する場合、テーマの追い風は株主利益へ届かない。

長期:更新・保守・回線収入を重視

複数年保有では、災害が起きなくても収入が続く会社を優先したい。

  • 回線・サービス収入:KDDI、スカパーJSAT
  • 蓄電池の交換需要:GSユアサ
  • データとラベルの継続利用:サトーHD
  • 配当と事業分散:山善、コクヨ

ここがポイント: 防災関連株の持続性は、災害発生の多さではなく、平時の点検・更新・利用料を利益へ変えられるかで決まる。

強気シナリオと弱気シナリオ

10銘柄が同時に上がるテーマではなく、政策・金利・原材料価格で優劣が分かれる。

強気シナリオ

  • 自治体や重要インフラが非常電源・衛星回線を複線化する
  • 企業が備蓄を「購入」から期限・所在の継続管理へ切り替える
  • 原材料費が落ち着き、増収が利益率改善へつながる
  • 各社が増配や自己株買いを続け、資本効率を高める

この場合は、デンヨーやサトーのような低PBR銘柄に見直し余地が生まれ、KDDIやスカパーJSATでは衛星サービスの契約数が評価軸になる。

弱気シナリオ

  • 防災予算が単年度の用品購入へ偏り、保守契約につながらない
  • 電池材料、鋼材、物流、人件費が上昇する
  • 衛星の打ち上げ遅延や通信障害が発生する
  • 金利上昇で高PER銘柄の評価が縮小する
  • 実際の災害で工場、物流網、在庫が被害を受ける

テーマそのものが社会的に必要でも、企業が被災すれば供給停止や損失計上が起こる。防災関連だから災害時に必ず上昇する、という前提は置けない。

8月以降に確認したい5つの数字

次の焦点は、防災週間の話題量ではなく、決算資料に表れる受注と採算だ。

  1. GSユアサとデンヨーの産業用・非常用電源の受注高
  2. KDDIとスカパーJSATの衛星関連契約、設備投資、減価償却費
  3. サトーの粗利率とRFID・ソリューション売上
  4. 内田洋行の受注残と教育ICT需要の反動
  5. コクヨと山善の在庫回転、値引き、株主還元

株価では、7月に値幅が拡大したニチコンが2,700円台を維持できるか、GSユアサが5,700円近辺で下げ止まるかをまず確認したい。衛星通信株は期待が大きい分、契約件数や利益への寄与が示されなければPER調整を受けやすい。

8月の防災需要を入口にするなら、買い物リストではなく次回決算で検証できる数字のリストを作るべきだ。受注、営業利益率、継続契約、在庫回転のうち二つ以上が改善した銘柄から、監視レンジを更新したい。

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