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自宅で続く医療を支える日本株10選 訪問薬局・医療機器・DXで比較

在宅療養中の高齢者を薬剤師と医療機器が支える様子。

自宅で続く医療を支える日本株10選 訪問薬局・医療機器・DXで比較

総合評価:★★★★☆(中長期で注目)

在宅医療関連株を見るなら、患者数の増加だけでなく、訪問件数を利益に変える運営力に注目したいところです。なかでも比較しやすいのは、在宅訪問を主力とするHYUGA PRIMARY CARE、薬局網を持つクオールホールディングスとアインホールディングス、医療機器を供給するフクダ電子です。

一方、診療報酬への依存、人件費、薬価改定、訪問効率の悪化は共通の逆風です。「高齢化が進むから買い」と単純化せず、患者数、単価、利益率を分けて確認する必要があります。

本記事は2026年8月21日までに確認できた株価、決算、公開資料を基にした比較・学習用の情報です。投資判断は自己責任であり、記載内容は将来の運用成果を保証しません。株価と指標は変動するため、売買前に最新の適時開示と市場データをご確認ください。

この記事で分かること

  • 在宅医療を「訪問サービス・薬局・機器・DX」に分けて捉える方法
  • 10銘柄の収益構造、PER・PBR・ROE、強気材料と弱気材料
  • 短期・中期・長期で異なる監視ラインの考え方
  • 診療報酬改定や人手不足で前提が崩れる条件
目次

在宅医療関連株は「患者数×単価×訪問効率」で見る

長期需要は強いものの、患者が増えれば自動的に利益も増えるわけではありません。

在宅医療では、医師、看護師、薬剤師、機器会社、システム会社が連携します。訪問先が分散すれば移動時間と人件費が増え、売上が伸びても利益率が下がることがあります。

企業比較では次の三つを切り分けると、事業の違いが見えやすくなります。

  • 患者数・処方箋枚数:需要が本当に増えているか
  • 患者1人当たり単価:高度な薬学管理や機器レンタルが収益に結び付くか
  • 訪問効率:同一地域の患者密度、配車、薬剤師配置、ICT活用でコストを抑えられるか

2026年度の調剤報酬改定では、在宅薬学総合体制加算の評価引き上げが示された一方、既存加算の統合・廃止や門前薬局への減算もあります。在宅対応力のある薬局には追い風ですが、チェーン全体への影響は店舗構成によって異なります。

在宅医療関連10銘柄の比較一覧

純粋な在宅医療株ほど成長性は高い一方、値動きと収益変動も大きくなります。

購入・売却ラインは断定的な指示ではなく、2026年8月時点の株価や指標を起点とした監視レンジです。

銘柄評価向くスタイル購入を検討する条件利益確定・見直し条件
HYUGA PRIMARY CARE(7133)★★★★★中長期・成長1,150~1,250円、または患者数20%超増を維持1,500~1,650円、利益率低下が続けば見直し
JSH(150A)★★★☆☆短中期・小型成長680~720円で下げ止まり確認850~900円、黒字転換の遅れで見直し
クオールHD(3034)★★★★☆中長期・成長2,200~2,350円、PER11倍前後2,700~2,900円、薬局利益の悪化で見直し
メディカルシステムネットワーク(4350)★★★☆☆長期・割安420~450円、PBR0.8倍前後520~560円、減益幅拡大で見直し
アインHD(9627)★★★★☆中長期・大型株5,600~5,900円、M&A後の利益確認6,800~7,200円、統合費用増なら見直し
イーエムシステムズ(4820)★★★★☆中長期・配当560~590円、クラウド契約増を確認680~720円、PER22倍超で成長鈍化なら見直し
フクダ電子(6960)★★★★☆長期・品質重視10,400~11,000円、PER16倍前後12,500円前後、在宅機器の伸び鈍化で見直し
帝人(3401)★★★☆☆中期・回復1,550~1,650円、構造改革の進展確認1,850~1,950円、再び赤字拡大なら見直し
エムスリー(2413)★★★☆☆中長期・成長1,500~1,650円、決算後の安値固め1,950~2,050円、利益予想引き下げで見直し
パラマウントベッドHD(7817)★★★★☆長期・安定予想PER15倍前後までの調整PER18倍超、レンタル需要鈍化で見直し

10銘柄の強みとリスク

最も在宅需要を直接捉えるのはHYUGA PRIMARY CAREですが、安定性では薬局大手や機器会社が上回ります。

1.HYUGA PRIMARY CARE(7133)—患者数の伸びが最も見えやすい

2026年3月期の在宅訪問薬局事業は売上高83億9,600万円、前期比18.0%増。在宅患者数は1万2,474人と25.1%増えました。売上の約7割が在宅訪問薬局であり、テーマとの結び付きが明確です。

予想PER14.7倍、PBR3.35倍、ROE19.64%、予想配当利回り1.54%。高いROEは魅力ですが、PBRには成長期待が相当織り込まれています。

  • 強気材料:患者数増、店舗拡大、薬局向け支援サービスの横展開
  • 弱気材料:2026年3月期の在宅訪問薬局セグメント利益は0.3%減。人件費と先行投資の吸収が課題
  • 判断軸:患者数よりも、患者1人当たり利益と営業利益率を重視

2.JSH(150A)—精神科訪問診療・訪問看護に特化

JSHは医療機関への精神科訪問診療支援と、精神疾患患者向け訪問看護を手掛けます。2026年3月期の在宅医療売上高は14億4,500万円で、連結売上高の30.3%です。

2026年8月21日の株価は746円。予想PER22.0倍、PBR2.11倍、予想配当利回り0.40%です。実績ROEはマイナスですが、会社予想では経常利益3億7,100万円への回復が見込まれています。

  • 強気材料:在宅精神医療という明確な専門領域、黒字転換期待
  • 弱気材料:小型株で出来高が偏りやすく、決算後の値幅も大きい
  • 判断軸:売上成長ではなく、在宅医療部門の採算改善を確認する

3.クオールホールディングス(3034)—在宅調剤と製薬を併せ持つ

2026年3月期は売上高2,907億7,200万円、純利益74億800万円。薬局事業では在宅・施設調剤を推進し、期末店舗数は949店となりました。

2026年8月21日の株価は2,510円。予想PER12.1倍、PBR1.59倍、ROE12.93%、配当利回り2.15%です。指標だけなら10銘柄の中でも割高感は限定的です。

  • 強気材料:在宅対応薬局の取得、製薬事業との収益分散、会社予想の経常増益率10.9%
  • 弱気材料:薬局事業の人件費増、処方期間の長期化、M&A価格
  • 判断軸:連結増益だけでなく、薬局事業の営業利益率を見る

4.メディカルシステムネットワーク(4350)—割安だが財務と減益を要確認

「なの花薬局」の在宅訪問・緩和ケアに加え、中小薬局の受発注や在庫管理を支援します。在宅患者の増加を店舗売上とネットワーク利用の両面で取り込める点が特徴です。

株価459円時点で予想PER13.4倍、PBR0.79倍、ROE6.38%、配当利回り2.61%。PBR1倍割れは魅力ですが、自己資本比率21.6%と、会社予想の経常減益率15.4%には注意が必要です。

  • 強気材料:低PBR、薬局ネットワークによる規模効果
  • 弱気材料:低い自己資本比率、減益予想、金利上昇の影響
  • 判断軸:割安さより、営業キャッシュフローと有利子負債を優先

5.アインホールディングス(9627)—規模で在宅対応を広げる薬局最大手

2026年4月期の売上高は6,478億3,400万円。ファーマシー事業が85.8%を占めます。さくら薬局グループの寄与により、在宅対応店舗の厚みも増しました。

株価5,918円時点で予想PER13.9倍、PBR1.31倍、ROE11.45%、予想配当利回り1.69%。2026年4月期の経常利益は57.2%増え、2027年4月期も増益が見込まれています。

  • 強気材料:全国店舗網、M&A効果、在宅薬学総合体制加算の引き上げ
  • 弱気材料:2027年4月期に調剤報酬改定で約15億円のマイナス影響を想定
  • 判断軸:買収による売上増と既存店の利益改善を分けて見る

6.イーエムシステムズ(4820)—訪問を支える薬局・診療所DX

クラウド型の電子薬歴、レセコン、電子カルテを提供します。訪問診療や在宅薬局では、患者情報の共有と請求業務の効率化が人手不足対策になります。

2026年8月21日の株価は609円。予想PER19.2倍、PBR2.12倍、ROE12.00%、配当利回り3.78%、自己資本比率73.9%です。中間期の経常利益12億7,900万円は市場予想を上回りました。

  • 強気材料:高い財務健全性、クラウド移行、配当利回り
  • 弱気材料:通期では経常減益予想、バリュエーションに割安感が乏しい
  • 判断軸:一時的な制度対応需要ではなく、継続課金売上の増加を確認

7.フクダ電子(6960)—在宅酸素療法を財務力で支える

フクダ電子は生体検査装置に加え、在宅酸素療法などの治療機器を扱います。機器販売だけでなく、保守やレンタルを伴うため継続収益を得やすい事業です。

株価1万1,790円時点で予想PER18.0倍、PBR1.66倍、ROE10.14%、配当利回り約2%。自己資本比率83.8%は10銘柄中でも際立ちます。

  • 強気材料:強固な財務、継続収益、1株配当は2023年3月期170円から2026年3月期230円へ増加
  • 弱気材料:2027年3月期の経常利益は6.7%減予想、株価には品質プレミアムが乗る
  • 判断軸:1万2,500円接近では業績成長との釣り合いを再確認

8.帝人(3401)—割安さより事業再建の確度が重要

帝人はヘルスケア事業で在宅医療機器を展開します。ただし連結売上高に占めるヘルスケアの比率は15.6%で、素材事業の変動を強く受けます。

2026年8月19日の株価は1,722.5円。予想PER7.4倍、PBR0.80倍、配当利回り2.90%ですが、実績ROEはマイナスです。低PERだけで「割安」と判断するのは危険です。

  • 強気材料:在宅医療の継続需要、PBR1倍割れ、構造改革による回復余地
  • 弱気材料:素材市況、減損、海外事業など在宅医療以外の影響が大きい
  • 判断軸:一過性利益を除いた営業利益とフリーキャッシュフロー

9.エムスリー(2413)—医療DXの成長性と決算後の値動きを両にらみ

エムスリーは医師向け基盤、医療機関運営支援、患者向けサービスを展開します。在宅医療の純粋株ではありませんが、医師不足地域の連携や医療データ活用を支える立場です。

2026年8月21日の株価は1,708円。8月6日の第1四半期決算後には一日で16.89%下落する場面がありました。予想PERは約21倍、PBR約2.8倍、ROE12.48%。通期経常利益の会社予想は810億円、前期比6.2%増です。

  • 強気材料:高い自己資本比率、医療DX需要、自社株買い
  • 弱気材料:成長期待が高く、わずかな未達でも売られやすい
  • 判断軸:売上成長率と利益率の両方が回復するか

10.パラマウントベッドホールディングス(7817)—在宅療養の設備需要を取る

医療・介護用ベッドの販売とレンタルを手掛け、病院だけでなく在宅介護にも接点を持ちます。患者宅で療養を続けるには、ベッド、マットレス、周辺機器が必要です。

成熟企業のため、急成長株というより継続需要と還元を評価する銘柄です。PER、PBR、ROEは決算更新と株価で変わるため、購入時には予想PER15倍前後、PBR1倍台、ROEの改善傾向を一組で確認します。

  • 強気材料:高齢者住宅と在宅介護の継続需要、レンタルによる安定収益
  • 弱気材料:病院の設備投資停滞、原材料費、成長率の低さ
  • 判断軸:国内販売台数よりレンタル資産の稼働率と営業キャッシュフロー

投資スタイル別の選び方

短期は決算の変化率、中長期は患者密度と継続収益を優先します。

短期向き

  • JSH:黒字転換や出来高増で値幅が出やすい
  • エムスリー:決算後の急落・反発が大きい
  • 帝人:構造改革や業績修正に反応しやすい

短期では購入価格から8~10%下落した場合を機械的な見直しの目安とし、決算またぎではポジションを抑える方法があります。

中期向き

  • HYUGA PRIMARY CARE:患者数と利益率を四半期ごとに追える
  • クオールHD:M&Aと調剤報酬改定の影響を比較しやすい
  • イーエムシステムズ:クラウド移行と配当を両立できる

購入後は二つの四半期決算を目安に、増収だけでなく営業利益率が改善したかを確認します。

長期向き

  • アインHD:全国店舗網と在宅対応力
  • フクダ電子:財務健全性と継続収益
  • パラマウントベッドHD:在宅療養設備の長期需要
  • メディカルシステムネットワーク:低PBRだが財務改善が条件

長期投資でも「高齢化」というテーマだけで保有を続けず、資本効率と株主還元を年1回は点検したいところです。

星評価の読み方と指標の限界

PERとPBRは入口であり、在宅医療の実行力までは表しません。

  • PER=株価÷予想1株利益。利益が一時的に急増・急減すると見かけがゆがむ
  • PBR=株価÷1株純資産。薬局のM&Aでのれんが増えると、純資産だけでは安全性を測りにくい
  • ROE=親会社株主利益÷自己資本。借入金が多い企業でも高く出る場合がある
  • 配当利回り=予想年間配当÷株価。減配や株価下落を織り込んだ高利回りには注意が必要

そのため、本記事の星評価は、指標だけでなく業績方向、財務、在宅医療との結び付き、株価変動を合わせた相対評価です。

テーマ全体の共通リスクと今後の監視点

最大のリスクは需要不足ではなく、人手不足と制度変更で需要を利益に変えられないことです。

ここがポイント: 在宅患者が増えても、薬剤師や看護師の移動時間が延び、夜間対応が増えれば利益率は低下します。患者数と同じ重さで、1人当たり売上、拠点密度、営業利益率を追う必要があります。

今後は次の項目を監視します。

  • 2026年度診療報酬・調剤報酬改定の実際の増減収影響
  • 薬剤師、看護師、訪問スタッフの採用数と人件費率
  • 在宅患者数の伸びに対するセグメント利益の伸び
  • M&Aで積み上がるのれんと有利子負債
  • 電子処方箋、標準型電子カルテ、情報連携への投資回収
  • 次回決算での業績修正、配当、自社株買い

最初に見るべき数字は株価ではありません。HYUGA PRIMARY CAREなら患者1万4,000人超という次期目標、薬局大手なら在宅対応の技術料と人件費、機器会社ならレンタル稼働率です。次の決算で需要の増加が利益率の改善につながった企業だけを残すことが、在宅医療テーマを長期投資に変える具体的な手順になります。

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