日銀利上げでも日経平均は1.66%高 半導体主導でTOPIXとの温度差が鮮明に
9月18日の東京株式市場では、日経平均株価が前日比1,063円99銭高の6万5,200円24銭まで上昇した。一方、TOPIXは3.05ポイント安の4,091.14と小幅に下落した。
日銀が政策金利を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げた後、円相場が1ドル=157円台へ下落。円安と米ハイテク株高を追い風にAI・半導体関連へ買いが集中したが、市場全体が一様に強かったわけではない。大型ハイテク株が日経平均を押し上げる一方、TOPIXはマイナスという二極化した相場だった。
- 日経平均:6万5,200円24銭、前日比1,063円99銭高(1.66%高)
- TOPIX:4,091.14、同3.05ポイント安(0.07%安)
- 東証グロース市場250指数:808.60、同19.25ポイント高(2.44%高)
- 主な材料:米ハイテク株高、原油安、日銀の追加利上げ、利上げ発表後の円安
- 次回立会日:9月24日。連休中の海外株、原油、ドル円と日銀総裁会見後の金利観測が焦点
※指数は9月18日大引け時点。日経平均は15分遅延データの終値、TOPIXは15時30分、グロース250は15時25分の公表値を確認した。東証プライムの最終的な売買代金・騰落数は、16時時点でJPX日報への掲載前だったため、以下では確認できた途中経過を明記している。
日経平均だけが目立って強い一日
日経平均は6万4,681円55銭で始まり、前場には日銀会合を控えて伸び悩む場面もあった。前引けは6万4,662円11銭だったが、日銀が追加利上げを発表すると後場に上昇幅を拡大。一時は6万5,436円57銭まで上昇した。
終値は6万5,200円24銭。3日続伸となり、心理的な節目である6万5,000円を回復した。
ただし、日経平均とTOPIXの方向はそろわなかった。
- 日経平均:1.66%高
- TOPIX:0.07%安
- グロース250:2.44%高
この差が示すのは、全面高ではなく指数寄与度の大きいAI・半導体関連と一部の成長株に資金が偏った相場だったということだ。
東証プライムでは午後2時時点で値上がり606銘柄、値下がり879銘柄、変わらず63銘柄。日経平均が1,000円を超えて上昇していた時間帯でも、値下がり銘柄の方が多かった。保有銘柄によって体感が大きく異なる地合いだったといえる。
売買代金も活発だった。前場だけで東証プライムの概算売買代金は3兆6,187億円に達しており、日銀会合を挟んで投資家の売買が膨らんだ。最終値はJPXの確報で確認したい。
半導体とグロース株が相場をけん引
この日の主役はAI・半導体関連だった。
前日の米国市場では、ナスダック総合指数が1.69%、フィラデルフィア半導体株指数が3.14%上昇。米長期金利の低下と原油安が、ハイテク株への買い戻しを促した。その流れが東京市場にも波及した。
日経平均への寄与が大きかった銘柄群
アドバンテスト、ソフトバンクグループ、レーザーテック、キオクシアホールディングス、フジクラなどに買いが入り、日経平均を押し上げた。午後2時時点では、アドバンテスト1銘柄だけで日経平均を約526円押し上げていた。
これは当日の上昇幅の半分近くに相当する。日経平均の大幅高を、そのまま日本株全体の強さと受け取れない最大の理由だ。
グロース250は続伸
東証グロース市場250指数は808.60と2.44%上昇した。前日の2.34%高に続く上昇で、800ポイント台を回復している。
大型半導体株だけでなく新興成長株にも資金が向かった点は強材料だ。ただし、短期間で上昇率が大きくなっているため、連休明けは利益確定売りの強さも確認する必要がある。
日銀は政策金利を1.25%へ引き上げ
相場の転機になったのは、午前11時54分に公表された日銀の金融市場調節方針だった。
日銀は7対2の賛成多数で、無担保コール翌日物金利の誘導目標を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げた。新しい金利は次の営業日である9月24日から適用される。
日銀は判断の背景として、次の点を挙げた。
- 基調的な物価上昇率が2%へ近づいている
- 国内企業物価の高い伸びが続いている
- 賃金上昇を販売価格へ転嫁する動きが続いている
- AI関連需要や円安が物価を押し上げる可能性がある
同時に、利上げ後も金融環境は緩和的だと説明し、経済・物価情勢に応じて追加利上げを続ける方針を示した。ただし、2人の委員は景気や物価の現状を理由に据え置きを主張した。
ここがポイント: 利上げそのものは株式市場に逆風となり得るが、反対票が2票あったことで、急速な連続利上げへの警戒がやや後退した。円安が進み、輸出・ハイテク株を押し上げる反応につながった。
円安と原油安が株価を支えた
日銀の決定後、ドル円は1ドル=157円台へ上昇した。利上げ後にもかかわらず円安へ動いたのは、政策変更が事前にある程度織り込まれていたことに加え、決定が全員一致ではなかったためだ。
円安は海外売上比率の高い企業の円換算利益を押し上げやすく、日経平均には追い風となる。一方、輸入価格を通じて国内物価を押し上げれば、日銀の追加利上げ観測を再び強める可能性がある。
原油相場の下落も支援材料だった。中東情勢を背景とした供給不安がやや後退し、前日の米国市場では株高と長期金利低下が同時に進んだ。
ただ、原油安の恩恵が期待される内需株まで全面的に買われたわけではない。午後2時時点では33業種中、上昇は11業種にとどまり、電気・ガス、水産・農林、ゴム製品などが弱かった。
大引け後から連休中に確認したい材料
9月18日の取引終了直後は、日銀の植田和男総裁による記者会見の内容が最重要材料となる。市場が確認したいのは、1.25%への利上げそのものより、次の利上げまでの距離だ。
特に注目されるのは以下の発言だ。
- 追加利上げの時期とペース
- 円安を通じた物価上昇への評価
- 中東情勢と原油価格が景気に与える影響
- AI需要と半導体価格の上昇に対する認識
- 2人の反対票を政策委員会内の慎重論とみるか
個別企業の決算や適時開示については、連休中に内容を精査する必要がある。相場全体への影響を見る際は、単独企業の好材料よりも、半導体需要、設備投資、賃上げ、原材料価格など複数社に広がる材料を優先したい。
次回9月24日のシナリオ
JPXのカレンダーによると、次の現物株市場の立会日は9月24日。東京市場は5日間の休場を挟むため、海外市場の値動きが一度に反映されやすい。
強気シナリオ
次の条件が重なれば、日経平均は6万5,000円台を維持しやすい。
- 米ハイテク株とSOX指数が連休中も堅調
- 原油価格が再び急騰しない
- ドル円が急激な円高へ反転しない
- 日銀総裁会見が急速な追加利上げを示唆しない
- 日経平均先物が現物終値を上回って推移する
ただし、日経平均だけでなくTOPIXと騰落銘柄数も改善するかが重要だ。値上がり銘柄が増えなければ、上昇の持続力には疑問が残る。
弱気シナリオ
一方、次の動きには注意したい。
- 日銀総裁が早期の追加利上げに前向きな姿勢を示す
- 円が急反発し、輸出株に利益確定売りが出る
- 米長期金利が再上昇し、AI・半導体株の評価を圧迫する
- 中東情勢の悪化で原油価格が反発する
- 連休中の海外株安を受け、先物主導で売りが膨らむ
日経平均はこの日の高値6万5,436円57銭が目先の上値確認ポイントになる。下値では6万5,000円を維持できるか、その下では前日終値6万4,136円25銭付近までの押しを市場が吸収できるかを見たい。
次回立会日で最初に確認すべきなのは、日経平均の上げ下げだけではない。TOPIXがプラスへ転じるか、値上がり銘柄が値下がり銘柄を上回るか、半導体以外へ買いが広がるか。この3点がそろえば、9月18日の上昇は指数主導から市場全体の強さへ変わったと判断しやすくなる。
