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住宅ローン金利1%時代に注目したい日本株10選 住宅・賃貸・保証の明暗を比較

住宅ローン資料を確認する家族と日本の住宅・賃貸物件。

住宅ローン金利1%時代に注目したい日本株10選 住宅・賃貸・保証の明暗を比較

総合評価:★★★★☆(中長期で選別)

結論から言えば、金利上昇局面で相対的に追いやすいのは、住宅販売会社そのものよりも、保証残高や管理戸数から継続収入を得る企業です。一方、住宅価格が高止まりしたまま借入金利が上がれば、分譲会社には契約率低下や値引きのリスクが生じます。

2026年7月31日、日本銀行は政策金利を1.0%程度に据え置きました。住宅ローン利用者のうち変動型は75.0%を占めており、今後は返済額の増加が家計だけでなく、住宅購入、賃貸需要、保証会社の貸倒費用へ順番に波及する可能性があります。

  • 保証会社は契約残高の積み上げが追い風になる一方、代位弁済の増加がリスク
  • 賃貸管理会社は持ち家取得の先送りを取り込めるが、入居者の支払い余力には注意
  • 分譲会社は販売価格、契約率、在庫回転の三つを同時に確認したい
  • 売買ラインは2026年7月31日終値を基準とする相対レンジで示す

本記事は2026年8月1日時点で確認できた公表資料を基にした情報整理です。投資判断は自己責任であり、記載内容は将来の運用成果を保証しません。

目次

金利上昇は住宅市場のどこから効くのか

最初に動きやすいのは新規購入者の予算であり、次に賃貸需要、最後に延滞・保証コストへ影響が広がります。

住宅ローンの毎月返済額は、金利だけで決まりません。借入額、返済期間、返済方式、金融機関ごとの返済額見直しルールによって差が出ます。それでも、同じ年収で借りられる金額が縮小する方向は共通です。

住宅販売への影響

購入者が予算を下げると、住宅会社には次の選択が迫られます。

  • 延床面積や設備仕様を抑える
  • 郊外や地方の比較的安い物件へ誘導する
  • 販売価格を維持し、契約までの期間が長くなることを受け入れる
  • 値引きや販売促進費を増やして在庫を減らす

重要なのは売上高よりも、粗利益率と完成在庫の回転です。引き渡しが進んでも値引きが増えれば、利益は伸びません。

賃貸・保証への影響

持ち家取得を延期する世帯が増えれば、賃貸住宅の入居需要には追い風です。管理会社は家賃収入そのものではなく、管理料、サブリース、原状回復、保険などで収益機会を得ます。

ただし、家計負担の増加は家賃滞納にもつながります。家賃債務保証会社では、契約件数の増加だけでなく、貸倒引当金、代位弁済率、回収率まで見る必要があります。

ここがポイント: 金利上昇は「不動産株に一律で逆風」ではありません。販売価格に依存する会社、管理戸数を積み上げる会社、信用リスクを引き受ける会社では、利益への伝わり方がまったく異なります。

注目10銘柄の比較一覧

安定性では全国保証、成長性ではイントラスト、賃貸運営ではスターツコーポレーションとJPMCが比較の軸になります。

購入・売却ラインは、2026年7月31日終値を100とした監視レンジです。絶対額を固定せず、決算後の株価変動にも使える形にしています。

銘柄評価向く期間購入監視利益確定・縮小主な確認材料
全国保証(7164)★★★★☆中長期基準値の92~97112超、または延滞悪化住宅ローン保証残高、代位弁済
イントラスト(7191)★★★★★中長期93~98115超、増益率鈍化家賃保証、医療・介護保証
Casa(7196)★★☆☆☆短期・回復待ち85~92105~110貸倒引当金、営業黒字化
JPMC(3276)★★★★☆中長期94~98110~115運用戸数、1戸当たり収益
レオパレス21(8848)★★★☆☆短中期90~95110~115入居率、家賃単価、施工対応
スターツ(8850)★★★★☆長期93~97112超管理・仲介利益、海外事業
And Do HD(3457)★★☆☆☆逆張り中期85~92105~110棚卸資産、リースバック売却
SRE HD(2980)★★★★☆中長期成長90~95115~120AIクラウド利益、ストック収益
LIFULL(2120)★★★☆☆短中期92~97110~115HOME’S集客、広告単価
穴吹興産(8928)★★★☆☆中期90~95108~112地方分譲の契約率、在庫

星は業績、収益の継続性、金利感応度、財務、株主還元を総合した相対評価です。PERとPBRは株価で毎日変わるため、発注前には証券会社の画面で最新値を確認してください。特にSREホールディングスのような成長株ではPER、全国保証やスターツではPBRとROEの組み合わせが重要です。

保証・家賃債務保証の3社

保証会社では契約増加よりも、増収と信用コストを両立できるかが評価を分けます。

1. 全国保証(7164)—住宅ローン保証の安定性

2026年3月期は営業収益587億3,900万円、経常利益465億5,400万円、純利益325億2,600万円でした。ROEは13.4%、年間配当は120円。保証料を一括または分割で受け取り、長い期間にわたり収益化する点が強みです。

  • 強気材料:提携金融機関と保証債務残高の積み上げ、安定した利益率、自己株式取得
  • 弱気材料:住宅ローン実行額の減少、代位弁済率の上昇、有価証券評価の変動
  • ラインの根拠:安定成長株のため急騰追随は避け、7月31日終値比3~8%安を分散購入の候補とする

住宅購入が鈍っても既存保証残高が急に消えるわけではありません。この時間差が、分譲会社より業績を読みやすくします。

2. イントラスト(7191)—増配と高ROEが光る

2026年3月期の売上高は122億8,300万円、営業利益27億6,600万円、純利益17億4,400万円。売上高は16.2%、営業利益は18.8%増え、ROEは23.2%、年間配当は38円となりました。10期連続増配も評価材料です。

  • 強気材料:家賃保証に加え、医療費・介護費保証へ展開。高ROEと連続増配を両立
  • 弱気材料:保証残高の拡大局面では、回収費用や貸倒費用が遅れて表面化する可能性
  • ラインの根拠:成長プレミアムを許容しつつ、直近終値から2~7%の調整を待つ

金利上昇で賃貸居住が長期化すれば契約基盤は広がります。ただし、売上成長率より営業利益の伸びが鈍くなったときは評価を引き下げる局面です。

3. Casa(7196)—契約増より貸倒費用を優先

2027年1月期第1四半期は売上高32億9,500万円と前年同期比4.5%増えた一方、営業損失は1億4,800万円でした。継続保証料は7.8%増えましたが、貸倒引当金繰入額は8億5,700万円に達しています。

  • 強気材料:継続保証料の増加、賃貸市場の底堅さ
  • 弱気材料:営業赤字、求償債権の回収、貸倒見積もりの不確実性
  • ラインの根拠:黒字化確認前は通常より広い8~15%の下落余地を前提にする

Casaは金利上昇テーマの「恩恵株」ではなく、家計悪化を測る観測銘柄です。営業黒字への復帰と貸倒引当金の減少がそろうまでは、評価より資金管理を優先したいところです。

賃貸管理・運営の3社

持ち家取得の先送りは追い風ですが、管理戸数が増えても利益率が落ちれば投資妙味は薄れます。

4. JPMC(3276)—管理戸数より1戸当たり利益

2026年12月期第1四半期は売上高149億4,700万円、営業利益8億3,200万円。前年同期比でそれぞれ3.3%、16.3%増えました。増収率を上回る利益成長は、運用効率改善を示します。

  • 強気材料:サブリースと管理の継続収入、1戸当たり収益の改善
  • 弱気材料:地方物件の空室、オーナーへの保証賃料、修繕費上昇
  • ラインの根拠:配当を受けながら保有する前提で2~6%安を監視。運用戸数と利益が同時に減れば撤退

単純な戸数競争ではなく、既存物件からどれだけ利益を残せるかが焦点です。

5. レオパレス21(8848)—入居率改善を利益に変えられるか

2026年3月期は売上高4,448億2,000万円、営業利益359億6,600万円。営業利益は23.0%増え、営業利益率も8.1%へ改善しました。会社は2027年3月期に売上高4,650億円、営業利益385億円を計画しています。

  • 強気材料:家賃単価と入居率の改善、固定費を吸収しやすい運営構造
  • 弱気材料:施工不備対応、修繕負担、法人需要や雇用環境の変化
  • ラインの根拠:値動きが大きいため5~10%の押し目を待ち、計画超過が織り込まれた局面では段階的に縮小

賃貸需要が強くても、過去の施工問題に関する費用は別に管理すべきです。営業利益とキャッシュフローが同じ方向に伸びているかを確認します。

6. スターツコーポレーション(8850)—分散事業の強さ

2026年3月期は売上高2,519億1,100万円、営業利益362億7,200万円、純利益253億1,100万円。年間配当は140円で、2027年3月期は150円を予想しています。

  • 強気材料:賃貸管理、仲介、建設、ホテルなど収益源が分散。営業利益は11.2%増
  • 弱気材料:建築費、人件費、海外不動産、分譲在庫の複合リスク
  • ラインの根拠:長期保有を前提に3~7%の調整で分散。PBR上昇がROE改善を伴わなければ利益確定

管理・仲介のストック収益が建設や分譲の変動を和らげます。金利上昇局面で「一本足ではない」点が強みです。

住宅資産の流動化・不動産DXの3社

売買件数が鈍る局面では、住宅を売る会社より、流通や査定を効率化する会社に資金が向かう可能性があります。

7. And Doホールディングス(3457)—リースバックの需要と資金負担

2026年6月期第3四半期累計は売上高392億2,500万円、営業利益11億9,100万円で、前年同期比16.5%減収、29.8%営業減益でした。中古住宅の売上は増えましたが、不動産売買事業全体の利益は減少しています。

  • 強気材料:住宅を売却して住み続けるリースバック、リバースモーゲージ保証への需要
  • 弱気材料:棚卸資産、借入金利、大型物件の売却時期で利益が振れやすい
  • ラインの根拠:業績回復前提の逆張りとなるため8~15%安を待つ。営業減益が続けば見送る

住宅ローン負担が重くなるほどサービス需要は生まれますが、会社側にも物件保有と調達の負担が乗ります。需要増だけを見てはいけません。

8. SREホールディングス(2980)—不動産取引の効率化を取る

2026年3月期は売上高328億5,800万円、営業利益41億8,000万円、純利益18億4,000万円。営業利益は34.5%増え、ROEは12.7%、配当は18円でした。AIクラウド&コンサルティング部門の営業利益は41.0%増えています。

  • 強気材料:不動産査定や業務支援のストック収益、利益率改善
  • 弱気材料:成長期待を反映したバリュエーション、物件売却益による四半期変動
  • ラインの根拠:高PERになりやすいため5~10%安を待つ。成長率が20%を割り込むなら評価見直し

住宅取引量が減っても、仲介会社には生産性向上の必要が残ります。金利上昇への直接耐性ではなく、コスト削減需要を取り込む銘柄です。

9. LIFULL(2120)—購入から賃貸への検索移動を捉える

2026年9月期上期は売上収益149億100万円、営業利益23億4,400万円。前年同期比で4.3%増収、28.5%営業増益となりました。

  • 強気材料:LIFULL HOME’Sの集客基盤、購入・賃貸双方の検索需要
  • 弱気材料:不動産会社の広告予算削減、検索エンジン依存、競争激化
  • ラインの根拠:利益成長を確認しながら3~8%安を監視。広告単価と顧客数が同時に悪化すれば縮小

購入問い合わせが減っても、賃貸検索が増えれば一定の補完が期待できます。ただし、サイト利用者数ではなく顧客単価と営業利益を見るべきです。

地方分譲の1社

地方分譲は価格の安さが支えになる半面、人口動態と在庫の地域偏在がリスクです。

10. 穴吹興産(8928)—増益後の在庫回転を確認

2026年6月期第3四半期累計は売上高1,122億6,200万円、営業利益84億4,800万円。前年同期比で14.3%増収、56.4%営業増益となり、年間配当予想は58円です。

  • 強気材料:足元の大幅増益、地方都市での分譲実績、介護・施設運営などの周辺事業
  • 弱気材料:地方人口の減少、建築費、完成在庫、住宅ローン審査の厳格化
  • ラインの根拠:好業績を追いかけず5~10%の調整を待つ。契約率低下や在庫増が出れば利益確定

直近の数字は強いものの、分譲は引き渡し時期で利益が偏ります。次の決算では受注ではなく、契約残高と完成在庫の組み合わせが焦点です。

投資スタイル別の使い分け

期間によって選ぶべき銘柄と損切り条件は変わります。

短期

決算や入居率の上振れを狙うなら、レオパレス21、LIFULL、穴吹興産が候補です。出来高を伴わない上昇は追わず、決算前に急騰した場合は持ち高を落とします。

中期

業績トレンドを数四半期追うなら、イントラスト、JPMC、SREホールディングスが中心です。

  • イントラスト:保証残高と貸倒費用
  • JPMC:運用戸数と1戸当たり収益
  • SREホールディングス:AI部門の売上成長率と営業利益率

長期

全国保証とスターツコーポレーションは、継続収入、財務、配当を重視する投資家に向きます。四半期の株価より、ROE、1株利益、増配余力の継続を見ます。

CasaとAnd Doホールディングスは回復確認型です。割安に見えても、信用コストや棚卸資産が増える間は「安い理由」が残ります。

共通リスクと前提が崩れる条件

最大のリスクは利上げそのものではなく、所得が追いつかないまま返済・家賃・建築費が同時に上がることです。

強気シナリオ

  • 賃金上昇が返済額と家賃の上昇を吸収する
  • 住宅価格が急落せず、取引量が緩やかに調整する
  • 賃貸需要の増加が管理戸数と家賃単価に反映される
  • 保証会社の契約増が代位弁済の増加を上回る

弱気シナリオ

  • 追加利上げで変動金利型ローンの負担がさらに増す
  • 住宅購入の先送りが長期化し、分譲在庫が膨らむ
  • 実質賃金の弱さから家賃滞納と保証費用が増える
  • 不動産会社の資金調達費が上がり、仕入れと広告投資が縮小する

次の決算で見るべき5項目

株価より先に悪化を知らせるのは、契約率、在庫、入居率、代位弁済、資金調達費です。

  1. 全国保証、イントラスト、Casaの代位弁済率・貸倒関連費用
  2. JPMC、レオパレス21、スターツの管理戸数・入居率・家賃単価
  3. And Doホールディングス、穴吹興産の棚卸資産と在庫回転
  4. SREホールディングス、LIFULLのストック売上と顧客単価
  5. 日銀の次回会合で1.25%への追加利上げを主張する委員が増えるか

7月会合では1.25%への引き上げ案が反対多数で否決されました。したがって次の焦点は、利上げの有無だけではありません。保証会社の信用コストが契約増を上回り始めるか、分譲会社が価格維持のため在庫を抱えるか。この二つが、住宅関連株の次の分岐点になります。

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