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国土強靱化の受注が見える補修・計測・監視株10選 決算で本物を選ぶ

橋梁や道路、上下水道を点検・補修する技術者と計測機器。

国土強靱化の受注が見える補修・計測・監視株10選 決算で本物を選ぶ

テーマ評価:★★★★☆(中長期では強気、短期は決算と受注採算を選別)

国土強靱化関連株で重要なのは、予算額の大きさだけではない。受注高が増え、受注残が売上に変わり、さらに利益率まで上がっているかを見る必要がある。

2026年8月1日時点では、橋梁補修のショーボンドホールディングス、建設コンサルタントの建設技術研究所、地質・空洞調査の応用地質を中核候補と評価する。一方、小型株には割安感があっても、単発案件や低い流動性による値動きの大きさに注意したい。

本記事は2026年8月1日時点で確認できる決算、企業資料、政策資料および直近の市場データを基にしています。投資判断は自己責任であり、内容は将来の成果を保証するものではありません。PERなどの株価指標は日々変動するため、発注前に最新値を再確認してください。

この記事で分かること

  • 国土強靱化予算が企業の受注と利益へ届く経路
  • 補修、計測、監視、水インフラを担う10社の違い
  • 決算で確認すべき受注高、受注残、利益率、還元姿勢
  • 短期・中期・長期に分けた監視ラインと撤退条件
目次

予算増だけでは株を選べない

政策の追い風は長いが、恩恵が各社へ届く速度には大きな差がある。

政府の「国土強靱化年次計画2026」では、第1次国土強靱化実施中期計画について、今後5年間の事業規模をおおむね20兆円強とした。初年度に当たる2026年度分は約4.1兆円、うち国費は約1.9兆円である。

国土交通省の2026年度予算でも、防災・減災、国土強靱化に3兆6,601億円、上下水道管路や道路施設などの老朽化対策に8,673億円が示された。

ただし、予算が決まった日に上場企業の売上が増えるわけではない。実際の流れは次のようになる。

  1. 国や自治体が点検、調査、設計、工事を発注する
  2. 企業が入札や技術提案を経て受注する
  3. 受注残として決算書に積み上がる
  4. 作業の進捗に応じて売上と利益が計上される
  5. 人件費や資材費を吸収できた案件だけが利益増につながる

このため、国策との関連性より先に確認したいのが、受注高、受注残高、営業利益率の3点セットだ。

ここがポイント: 受注高だけが伸びても、低採算案件が増えれば利益は残らない。受注残が売上へ転換する速度と、売上総利益率・営業利益率の変化まで追うことが必要になる。

国土強靱化関連10銘柄の比較一覧

本命は継続受注と採算を両立する企業であり、割安株は受注の再現性を確認してから評価したい。

以下のPER、PBR、ROEは2026年8月1日までに取得できた直近公表値・市場データを基にした概算である。決算期や算定時点が異なるため、横並び比較では幅を持って見る必要がある。

銘柄役割評価PER/PBR/ROEの目安向くスタイル監視ライン
ショーボンドHD
1414
橋梁・コンクリート補修★★★★☆約17倍/約2.5倍/14%前後中長期予想PER16倍前後以下で分割買い
建設技術研究所
9621
調査・設計・維持管理★★★★★約11倍/約1.2倍/9.3%中長期PER10~12倍、受注増継続を確認
応用地質
9755
地質、空洞、防災計測★★★★☆約16倍/約0.8倍/5%前後中長期PBR0.8倍前後を下値の目安にする
NJS
2325
上下水道コンサル・監視★★★★☆10倍台後半/1倍台後半/8%前後長期受注残増とPER15倍前後への調整
日水コン
261A
上下水道の設計・管理★★★★☆10倍台半ば/1倍台/10%前後中長期営業利益率9%以上を維持できるか
アジア航測
9233
航空測量・防災データ★★★☆☆10倍前後/1倍前後/10%前後中期受注高が前年同期比で増加へ戻る局面
川崎地質
4673
海洋・地盤・物理探査★★★☆☆約5倍/約0.7倍/12.7%短中期大型案件要因を除く利益水準を確認
ライト工業
1926
法面・地盤改良・補修★★★★☆10倍台前半/1倍台/10%前後中長期PER12倍前後以下かつ受注採算改善
日本ヒューム
5262
下水道管・コンクリート製品★★★☆☆10倍台前半/1倍前後/1桁後半中期製品値上げと数量増の両立を確認
オオバ
9765
都市計画・測量・土木設計★★★☆☆10倍台前半/1倍台/10%前後中長期・配当配当利回りと受注残を併用して判断

「購入ライン」は断定的な買い推奨ではなく、業績と評価額の両方を再点検する監視条件である。「売却ライン」も株価だけで決めず、受注減少や採算悪化など前提が崩れた場面を優先する。

決算で追いたい補修・計測・監視企業10社

各社の差は、政策との距離よりも、案件の継続性と利益への転換力に表れる。

1. ショーボンドホールディングス(1414)――橋梁補修の収益性が強み

評価:★★★★☆/中長期向け

コンクリート構造物の補修・補強を主力とし、橋梁や道路の予防保全と直接つながる。2026年6月期第3四半期は売上高が前年同期比1.7%減だった一方、営業利益は1.8%増の165億9,100万円。売上が伸びなくても完成工事総利益率を維持した点が重要だ。

  • 強気材料:補修専業として案件選別と施工ノウハウを持ち、ROEも14%前後と高い
  • 弱気材料:PBRは約2.5倍で、この10社では割安感が乏しい
  • 購入ライン:予想PER16倍前後以下、または受注高回復を伴う決算後の押し目
  • 売却ライン:PER20倍超で受注が横ばい、もしくは完成工事総利益率が連続低下した場合

安値だけを待つより、受注高と利益率が同時に上向く局面を狙うタイプの銘柄である。

2. 建設技術研究所(9621)――受注増と利益成長のバランス

評価:★★★★★/中長期向け

河川、道路、防災、維持管理などを扱う総合建設コンサルタント。2025年12月期の受注高は1,097億円、売上高は1,010億円。2026年12月期第1四半期は売上高319億7,700万円、経常利益66億1,600万円となり、受注高も前年同期比8.9%増の261億5,600万円だった。

会社は2026年12月期に売上高1,050億円、営業利益105億円、純利益70億円を見込む。受注、売上、利益の順に数字がつながっている点が10社の中で目立つ。

  • 強気材料:予想PERは11倍前後で、受注増と2桁の利益成長予想に対して過熱感が小さい
  • 弱気材料:公共案件の年度末集中、人件費増、技術者不足が採算を圧迫し得る
  • 購入ライン:PER10~12倍を目安に、受注高が前年同期を上回る間は分割で監視
  • 売却ライン:PER15倍超で受注残が減少、または営業利益率が8%を割り込む局面

次回の中間決算では受注の伸びだけでなく、外注費と人件費を吸収して営業利益率を維持できるかを確認したい。

3. 応用地質(9755)――道路下の異常を工事前に見つける

評価:★★★★☆/中長期向け

地質調査、地震防災、道路下空洞調査、各種モニタリングを展開する。工事会社より前の工程に入り、危険箇所を特定する役割を担うため、点検高度化や予防保全の拡大が受注機会になる。

直近に確認できた株価指標はPER約16.2倍、PBR約0.8倍。年初来高値3,175円に対し、6月末は2,774円まで調整していた。純資産面では割安感がある一方、ROEの改善が再評価の条件となる。

  • 強気材料:空洞、斜面、地震、再生可能エネルギーなど調査対象が広い
  • 弱気材料:高い自己資本に対して利益水準が十分でなく、PBR1倍割れが長期化しやすい
  • 購入ライン:PBR0.8倍前後かつ受注増を確認できる水準
  • 売却ライン:年初来高値圏で利益成長が伴わない場合、またはPBR1倍回復後もROEが改善しない場合

単なる低PBR株としてではなく、道路下空洞調査など高付加価値分野の比率上昇を確認して評価したい。

4. NJS(2325)――上下水道の調査から運営まで追える

評価:★★★★☆/長期向け

上下水道の設計、更新計画、施設管理を主力とする。管路の老朽化対策では、壊れた後の交換だけでなく、調査、優先順位付け、設計、監視を継続的に受注できる点が強みだ。

  • 強気材料:自治体の更新需要が長期化しやすく、ストック型の維持管理へ事業を広げられる
  • 弱気材料:官公庁案件の季節性が強く、海外案件や大型案件で利益が振れることがある
  • 購入ライン:受注残が前年同期を上回り、予想PERが15倍前後へ低下した局面
  • 売却ライン:国内受注残の減少が2四半期続く、または営業利益率が計画を大幅に下回る場合

NJSは売上高より先に、国内受注高と受注残、維持管理・運営案件の構成比を見るべき企業である。

5. 日水コン(261A)――水インフラ専業の利益率を確認

評価:★★★★☆/中長期向け

上下水道、河川、水環境に強い建設コンサルタント。2025年12月期は売上高244億1,300万円、営業利益23億8,000万円、純利益17億3,100万円だった。営業利益率は約9.7%であり、水インフラ需要を一定の採算で取り込めている。

  • 強気材料:水道管更新、耐震化、下水道調査の対象が全国に広がる
  • 弱気材料:上場後の評価変動が大きく、技術者の確保が成長速度を制限する
  • 購入ライン:営業利益率9%以上と受注増を確認し、PERが10倍台半ば以下の局面
  • 売却ライン:受注が増えても営業利益率が8%を割る、または人件費増で下方修正した場合

NJSとの比較では、売上規模だけでなく受注残に対する技術者数と利益率を見ると、成長の持続性を判断しやすい。

6. アジア航測(9233)――災害状況を地図とデータへ変える

評価:★★★☆☆/中期向け

航空測量、衛星・レーザー計測、道路や森林の管理、防災コンサルティングを手掛ける。災害発生後の状況把握だけでなく、平時の台帳整備や維持管理にも関わる。

2026年9月期中間期の受注高は162億8,990万円で、前年同期の185億5,357万円から減少した。一方、受注残は187億698万円と前年同期比で小幅な減少にとどまった。ここではテーマ性より、受注の再加速を待つ姿勢が必要だ。

  • 強気材料:航空測量データを防災、道路、森林管理へ横展開できる
  • 弱気材料:中間期の受注高が前年を下回り、官公需の発注時期にも左右される
  • 購入ライン:四半期受注高が前年同期比プラスへ戻り、出来高を伴って直近高値を更新する局面
  • 売却ライン:受注残が前年同期比10%以上減少する、または利益計画が下方修正された場合

測量データの価値は高いが、株価が先に政策期待を織り込んだ場面では追いかけない方がよい。

7. 川崎地質(4673)――割安に見える利益の中身を分解する

評価:★★★☆☆/短中期向け

海洋・地盤調査や物理探査を行う小型株。2026年11月期中間期は売上高53億7,200万円、営業利益11億2,100万円となり、営業利益は前年同期比294.3%増えた。予想PER約5.3倍、PBR約0.7倍、ROE約12.7%は一見すると割安である。

ただし、利益急増には大型案件で想定していた追加コストの発生リスクが解消した影響が含まれる。今期利益をそのまま平常収益と見なすのは危険だ。

  • 強気材料:大幅増益、低PER、PBR1倍割れが同時に存在する
  • 弱気材料:単発要因の反動、少ない出来高、大型案件への依存
  • 購入ライン:特別な採算改善要因を除いても通期計画を達成できると確認した後
  • 売却ライン:出来高急増を伴う年初来高値接近、または翌期利益予想が正常化で大幅減益となる場合

小型割安株として魅力はあるが、長期保有の判断には次期受注と平常時の営業利益率が必要になる。

8. ライト工業(1926)――斜面と地盤の防災工事を担う

評価:★★★★☆/中長期向け

法面工事、地盤改良、構造物補修などの特殊土木に強い。豪雨や地震への対策だけでなく、道路・鉄道周辺の維持工事が継続需要になる。

  • 強気材料:特殊工法と施工実績が参入障壁になり、公共・民間の両方へ分散できる
  • 弱気材料:資材費、労務費、施工遅延が完成工事利益率を押し下げる
  • 購入ライン:予想PER12倍前後以下で、受注時採算と完成工事総利益率が改善している局面
  • 売却ライン:受注高が増えても粗利益率が2四半期連続で低下した場合

工事会社では「受注が多いほど安心」とは限らない。採算を確保した案件を選べているかが評価の中心になる。

9. 日本ヒューム(5262)――下水道更新を製品数量へつなげる

評価:★★★☆☆/中期向け

下水道向けヒューム管やコンクリート製品を扱う。老朽管の更新が進めば数量面の追い風になるが、原材料価格と輸送費が利益を左右する。

  • 強気材料:下水道管路更新という具体的な設備需要につながりやすい
  • 弱気材料:セメント、鋼材、燃料、物流費の上昇で利益が削られる可能性
  • 購入ライン:出荷数量増と価格改定効果が同じ決算で確認でき、PBR1倍前後にとどまる局面
  • 売却ライン:売上増にもかかわらず営業減益となる、または在庫と運転資金が急増した場合

受注額よりも、製品の出荷数量、販売単価、原価率を見るべき銘柄だ。

10. オオバ(9765)――自治体案件と株主還元を組み合わせる

評価:★★★☆☆/中長期・配当向け

都市計画、区画整理、測量、土木設計を展開する。防災・老朽化対策に加え、自治体のまちづくりや再開発にも関わるため、国土強靱化だけに業績を依存しない。

  • 強気材料:公共分野の受注基盤に加え、配当や自己株式取得を評価材料にしやすい
  • 弱気材料:発注時期による季節変動と、人材不足による外注費上昇
  • 購入ライン:受注残が前年を上回り、配当利回りが自身の過去レンジ上限に近づく局面
  • 売却ライン:配当方針の後退、受注残減少、営業利益率低下が重なった場合

値上がり益だけでなく、受注残と還元を確認しながら保有するスタイルに向く。

投資スタイル別の使い分け

期間によって見る数字を変えれば、政策テーマを高値づかみしにくくなる。

短期は決算の変化率と出来高

短期では政策資料より、会社の上方修正や決算直後の出来高が株価を動かしやすい。

  • 候補:川崎地質、アジア航測、日本ヒューム
  • 購入条件:上方修正、受注回復、利益率改善のいずれかを出来高増が伴う
  • 撤退条件:決算後安値を終値で割る、または材料発表日の上昇分を短期間で失う

川崎地質のように単発要因が大きい銘柄では、PERの低さだけで長期保有へ切り替えないことが重要だ。

中期は受注残から売上への転換

半年から2年程度なら、受注残が売上へ変わる速度を追う。

  • 候補:建設技術研究所、応用地質、日水コン、ライト工業
  • 購入条件:受注残増、売上増、利益率維持の順に確認できる
  • 撤退条件:受注残が減り始め、会社計画に対する利益進捗も遅れる

補正予算や自治体発注の効果が決算へ表れるまでには時間差がある。1四半期だけで結論を出さず、受注と利益の方向を続けて見る。

長期はROEと還元を重視

3年以上の保有では、政策が続くだけでは足りない。稼いだ利益を成長投資と株主還元へ適切に振り分ける企業が有利になる。

  • 候補:ショーボンドHD、建設技術研究所、NJS、オオバ
  • 購入条件:ROEが資本コストを上回り、配当や自己株式取得を継続できる
  • 撤退条件:現金が積み上がってもROEが低下し、成長投資や還元策が示されない

PBR1倍割れは安さの証明ではない。低ROEが固定化していれば、政策需要があっても評価は上がりにくい。

国土強靱化予算を受注から見抜く5つの数字

決算では売上高より前に出る数字を追うと、政策効果を早く捉えられる。

1. 受注高

前年同期比だけでなく、会社計画に対する進捗を見る。大型案件1件による増加なら、翌期に反動が出る可能性がある。

2. 受注残高

将来の売上候補である。ただし、工期が長い案件や採算の低い案件も含まれるため、受注残の増加だけでは十分ではない。

3. 売上総利益率・完成工事総利益率

資材費、人件費、外注費、設計変更を吸収できているかが表れる。売上増収・営業減益なら、まず原価率を確認したい。

4. セグメント別の官公需比率

国土強靱化関連の事業が全社売上の一部にすぎない企業では、別事業の不振が政策効果を打ち消す。事業別の売上と利益を確認する必要がある。

5. 営業キャッシュフロー

利益が出ていても、売上債権や契約資産が急増すれば現金化が遅れている可能性がある。特に大型工事の比率が高い会社では注意したい。

共通リスクと強気シナリオが崩れる条件

最大のリスクは予算削減より、受注増に供給能力と採算が追いつかないことだ。

国土強靱化は長期政策だが、関連企業の利益が一直線に増えるとは限らない。

  • 技術者・施工要員不足で受注を断る、または外注費が上がる
  • セメント、鋼材、燃料などの価格上昇を発注価格へ転嫁できない
  • 入札競争が激しくなり、受注時の採算が低下する
  • 自治体の人員不足で調査・発注・検収が遅れる
  • 災害対応が通常工事を圧迫し、工期遅延や損失が発生する
  • 政策期待で株価だけが先行し、PERやPBRが利益成長を上回る

逆に、中期的な地合いが一段強くなる条件は明確だ。

  • 2026年度予算が自治体発注へ移り、複数社の受注高が同時に増える
  • 受注残の増加後も営業利益率が維持・上昇する
  • 値上げや設計変更で資材・人件費を吸収できる
  • 点検データの継続監視など、単発工事以外の収益が増える
  • 増えた利益が増配、自社株買い、成長投資へ回る

次の決算で見るべきポイント

次の分岐点は、予算の話題が受注高と利益率へ移るかどうかである。

今後の決算では、次の順番で確認したい。

  1. 建設技術研究所の受注増が中間期でも続くか
  2. ショーボンドHDが売上の伸びを取り戻し、高い工事利益率を維持できるか
  3. 応用地質の空洞・防災調査がROE改善へつながるか
  4. NJSと日水コンで上下水道案件の受注残が増えるか
  5. アジア航測の受注高が前年同期比プラスへ戻るか
  6. 川崎地質の大幅増益から単発要因を除いた平常利益はいくらか

国土強靱化の投資機会は、予算発表日の急騰だけでは終わらない。受注残が増え、利益率が落ちず、現金と株主還元まで増える企業を決算ごとに残していくことが、補修・計測・監視株を選ぶ実務的な方法になる。

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