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SWCC(5805)株は電力インフラとデータセンター需要でまだ追えるか 新中計と足元の調整を点検

SWCC(5805)株は電力インフラとデータセンター需要でまだ追えるか 新中計と足元の調整を点検

評価: ★★★★☆(やや買い寄り)

ひと言でいえば、SWCCは電力インフラ更新とデータセンター向け通信ケーブルという息の長いテーマを同時に持つ銘柄です。2026年4月3日終値は12,770円まで調整していますが、足元の業績はなお強く、2026年2月公表の新中期経営計画も利益成長と株主還元の拡大を打ち出しました。

一方で、PERはすでに23倍台まで買われており、割安株として飛びつく局面ではありません。テーマ性の強さを評価しつつ、次の通期決算で電力ケーブルの利益率改善が続くか、データセンター向け需要が一過性でないかを見極めたい銘柄です。

  • 2026年4月3日終値は12,770円。3月3日の年初来高値17,900円からは約29%下げた
  • 2026年3月期第3四半期累計の営業利益は196億円で前年同期比17.4%増
  • 伸びを支えたのは電力インフラ需要と米国データセンター向けe-Ribbon需要
  • ただし車載向けの一部は調整局面で、株価指標もすでに安くはない
目次

主要指標を先に確認

株価指標は2026年4月3日時点、業績数値は2026年2月9日公表の2026年3月期第3四半期決算資料、還元方針は2026年2月27日公表の中期経営計画に基づきます。

項目数値確認時点見どころ
株価12,770円2026年4月3日終値高値調整後でも時価総額は約3,937億円
PER23.64倍2026年4月3日成長期待は織り込み済みで、割安感は薄い
PBR4.28倍2026年4月3日資本効率改善への評価が株価に反映されている
ROE14.29%2026年4月3日日本株全体では高めだが、中計目標は20%以上とさらに上
1株配当200円会社予想配当利回りは1.57%
売上高2,021億円2026年3月期Q3累計前年同期比13.4%増
営業利益196億円2026年3月期Q3累計前年同期比17.4%増、通期計画260億円に対して進捗75.2%
親会社株主帰属純利益128億円2026年3月期Q3累計前年同期比64.6%増

株価は調整したが、テーマ自体は崩れていない

4月3日の日本株市場は日経平均が53,123.49円、TOPIXが3,645.19まで上昇しました。その中でSWCCも上げたものの、3月3日の17,900円から見れば戻りは限定的です。

この値動きが示しているのは、人気化した電線株全体に対して利益確定が入りやすくなっている一方、業績の裏付けがある銘柄は下げ切られていないということです。

株価面で押さえたい点は次の通りです。

  • 4月3日終値は12,770円、前日比2.16%高
  • 年初来高値は17,900円で、そこから約28.7%の調整
  • それでもPER23倍台、PBR4倍台で、バリュー株ではなく成長株として評価されている
  • 信用買残は2026年3月31日時点で24.17万株、貸借倍率は5.37倍と、需給はやや重い

つまり、株価が下がったから自動的に割安になったわけではありません。 ここは誤解しない方がいいところです。

業績を押し上げている材料

SWCCの強さは、単に「電線株だから」ではありません。電力インフラ、データセンター、半導体検査という複数の成長テーマが、実際の数字に落ち始めています。

ここがポイント: SWCCを見るうえで大事なのは、建設用ケーブルの市況株としてではなく、電力網更新とデジタル投資の両方に食い込める企業として評価できるかです。

電力インフラ向けは利益率が改善

2026年3月期第3四半期累計で、エネルギー・インフラ事業の売上高は956億円と前年同期比2.1%減でしたが、営業利益は141億円で同8.5%増でした。売上が横ばい圏でも利益が伸びたのは重要です。

会社側は、電力インフラ需要の強さに加え、SICONEXの増産投資効果や付加価値改善を利益率上昇の背景として挙げています。国内では設備老朽化や送配電網増強が続く見通しで、電力広域的運営推進機関も広域連系線の整備を進めています。

経済産業省のエネルギー白書2025でも、データセンター立地の加速に向けて電力と通信インフラの一体整備、いわゆる「ワット・ビット連携」が打ち出されました。これはSWCCにとって、電力ケーブルと通信ケーブルの両面で追い風になりやすい政策環境です。

データセンター向け通信ケーブルが伸びている

より成長色が強いのは通信・コンポーネンツ事業です。第3四半期累計の売上高は1,017億円で前年同期比34.0%増、営業利益は55億円で同39.9%増でした。

特に会社資料で明記されているのが、米国データセンター向けe-Ribbon需要の急拡大です。ハイパースケーラー向け需要が増え、一部顧客からは増産要請も出ています。

この点は外部環境とも整合します。IEAは2025年のレポートで、米国の電力需要見通しを上方修正した要因の一つとしてデータセンター需要の強さを挙げています。AI向け投資が続く限り、光通信周辺の需要は一時的なテーマで終わりにくい構図です。

半導体検査向けも成長の柱になりつつある

もう一つ見逃しにくいのが半導体検査関連です。会社は中国の半導体検査装置市場でコンタクトプローブ需要が増えていると説明しています。新中計でも、高機能製品への増産投資や前工程・後工程の製品拡販を掲げました。

電力インフラだけに依存せず、半導体検査という高付加価値分野を積み上げられるなら、利益率の底上げ余地はまだあります。ここがSWCCを単純な景気敏感株と分ける点です。

財務と還元は改善している

足元の財務は悪くありません。2025年3月末から2025年12月末にかけて、自己資本比率は39.7%から43.5%へ上昇し、D/Eレシオは65.4%から56.9%へ低下しました。CCCも89日から78日に改善しています。

中期経営計画では2030年度に向けて次の目標を示しました。

  • 営業利益400億円以上
  • ROE20%以上
  • ROIC15%以上
  • 1株配当380円以上
  • 連結配当性向40%以上かつDOE5%以上

この目標はかなり強気です。現時点では将来の約束ではなく経営目標ですが、少なくとも会社が利益成長と株主還元を同時に引き上げる姿勢を示した意味は大きいです。

強気材料と弱気材料

ここは整理して見た方が判断しやすくなります。

強気材料

  • 電力インフラ需要が強く、売上より先に利益率改善が進んでいる
  • 米国データセンター向けe-Ribbon需要が足元の増収増益を直接押し上げている
  • 半導体検査向けコンタクトプローブが第2の成長柱になりつつある
  • 自己資本比率上昇、D/Eレシオ低下で財務の不安が後退している
  • 2030年度までの利益成長と増配方針が明確

弱気材料

  • PER23倍台、PBR4倍台で、すでに高い成長期待を織り込んでいる
  • 車載向けではヒータ線需要が調整局面にあり、分野ごとの強弱がある
  • 汎用巻線や一部産業向けは鈍く、すべての事業が同時に強いわけではない
  • ハイパースケーラー向け需要や中国半導体検査需要に依存する部分は、外部環境の変化に左右されやすい
  • 3月高値からの調整が示す通り、テーマ株として値動きは荒い

いまの判断

現時点のSWCCは、「業績の強さは本物だが、株価もすでに成長株水準」という位置づけです。よって、満点評価にはしませんが、4つ星のやや買い寄りとしました。

見方を分けるならこうなります。

  • 事実: 電力インフラと通信・コンポーネンツの両輪で増収増益が続いている
  • 解釈: 市場はSWCCを低PBR是正銘柄ではなく、利益成長を伴うテーマ株として見ている
  • 見通し: 通期決算で2027年3月期以降の成長の連続性が示せれば、再評価余地は残る

次に確認したいポイント

最後に、次回の判断材料として見るべき点を絞ります。

  • 通期決算で営業利益260億円計画をどこまで上回るか、あるいは据え置くか
  • 2027年3月期会社計画で、e-Ribbon需要をどこまで保守的に置くか
  • 電力インフラ事業の営業利益率が14%台を維持できるか
  • 配当200円から次の引き上げ余地をどこで示すか
  • 高値17,900円からの調整後も、出来高を伴って下値を切り上げられるか

SWCCを今後追うなら、単に「電線株が強いか」では足りません。電力網更新、データセンター、半導体検査という3本柱が来期も数字で続くか。次の決算で見るべき論点はそこです。

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