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職場の熱中症対策で注目したい日本株10選 空調・計測・作業用品を比較

工場で冷却ウェアを着た作業員と暑さ指数を確認する担当者。

職場の熱中症対策で注目したい日本株10選 空調・計測・作業用品を比較

テーマ評価:★★★★☆(中長期で注目、短期の高値追いには注意)

結論から言えば、職場の熱中症対策は一過性の「夏物需要」から、企業が毎年予算を組む労働安全投資へ変わりつつあります。なかでも注目したいのは、空調機器を売るだけでなく、暑さの計測、作業者への警告、冷却用品の補充まで継続的に受注できる企業です。

一方、テーマとの距離は銘柄ごとに大きく異なります。熱中症対策製品が売れても、会社全体の利益に与える影響が小さい場合があるため、テーマ性だけで株価を追わない姿勢が欠かせません。

本記事は2026年8月1日時点で確認できた企業資料、決算情報、株価指標を基にしています。投資判断は自己責任であり、記載内容は将来の運用成果を保証するものではありません。株価やPERなどは変動するため、売買前に最新情報をご確認ください。

この記事で分かること

  • 職場の熱中症対策が企業業績へ波及する経路
  • 空調、計測、作業用品、飲料で異なる収益機会
  • 注目10銘柄のPER・PBR・ROEと業績の強弱
  • 短期・中期・長期別の監視ラインと撤退条件
目次

熱中症対策は「冷房需要」だけではない

市場の核心は、対策用品の単発購入から、測定・報告・設備改善を含む運用の仕組みへ需要が広がることです。

2025年6月施行の改正労働安全衛生規則では、一定の高温環境で作業する事業者に対し、熱中症のおそれがある人を早期に把握する体制や、重篤化を防ぐ手順の整備・周知が求められました。

対象の目安は、暑さ指数(WBGT)28以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上、または1日4時間を超えて行う作業です。企業が必要とする対策は、次のように分かれます。

  • 環境を冷やす:工場・倉庫向け空調、送風機、気流解析、遮熱設備
  • 危険を測る:WBGT計、温湿度センサー、警報・記録システム
  • 人を守る:ファン付きウェア、冷却ベスト、ヘルメット用品
  • 体調を支える:水分・電解質補給、休憩用品
  • 現場へ届ける:工具・安全用品の卸売、EC、ホームセンター

このうち継続収益につながりやすいのは、機器販売後の保守、計測データの管理、消耗品の反復購入を伴う事業です。季節商品を一度売って終わる企業より、顧客の安全管理プロセスへ入り込める企業の方が中長期テーマとして厚みがあります。

ここがポイント: 猛暑そのものより、「企業が対策を予算化し、毎年点検・更新するか」が業績への波及を左右します。

注目10銘柄の比較一覧

業績の強さでは荏原、ワークマン、MonotaRO、A&DホロンHDが目立ち、割安さではクラボウ、TRUSCO、YUASAが比較候補になります。

株価指標は主に2026年7月中旬から下旬の市場データによる概算です。購入・売却ラインは断定的な指示ではなく、確認時の株価を基準にした監視シナリオとして示しています。

銘柄評価主な接点PER/PBR/ROE向く期間監視シナリオ
荏原(6361)★★★★☆工場・倉庫の気流解析、空調機レンタル25.7倍/4.94倍/15.6%中長期直近値から8〜12%調整で検討、年初来高値接近で利益確認
クラボウ(3106)★★★★☆作業者向け熱中症リスク管理11.9倍/1.17倍/10.2%中期PBR1倍近辺を下値候補、業績回復を伴わない高値更新で縮小
A&DホロンHD(7745)★★★★☆WBGT計、計測・健康機器17.9倍/1.63倍/12.9%中長期PER15〜17倍を監視、半導体事業悪化時は見直し
ワークマン(7564)★★★★☆冷却ウェア、プロ向け作業用品21.6倍/3.14倍/14.3%短中期急騰後を避け10%前後の調整待ち、夏物失速で縮小
コメリ(8218)★★★☆☆農業・建設向け冷却用品約12倍/約0.7倍/約6%中長期PBR0.7倍前後を基準、既存店減収が続けば撤退
MonotaRO(3064)★★★★☆安全用品・測定器のEC30倍台/高PBR/高ROE長期高成長維持を確認し分割購入、成長率鈍化で評価見直し
TRUSCO中山(9830)★★★☆☆工場用扇風機、保護具、測定器10.9倍/0.84倍/8.8%中長期PBR0.8倍前後を監視、物流投資で利益率低下なら縮小
山善(8051)★★★☆☆工場扇、スポットクーラー、設備16.5倍/1.07倍/7.0%中期PER14〜16倍を検討域、利益成長停止で見直し
YUASA(8074)★★★★☆産業・非住宅向け空調設備10.1倍/0.97倍/10.5%中長期PBR1倍割れを監視、空調部門の失速で撤退
大塚HD(4578)★★★☆☆水分・電解質補給22倍台/約2倍/10%前後長期決算後の評価調整を待つ、医薬品見通し悪化で再評価

※PERは会社予想、PBR・ROEは実績を基本としています。決算更新や株価変動で数値の基準時点がずれるため、厳密な比較時は各社の最新IRと市場データを再確認してください。

10銘柄を個別に検証

テーマへの近さだけでなく、全社利益を動かす本業と結び付いているかが評価の分かれ目です。

1.荏原(6361)— 大空間を「気流」から改善

荏原は2026年3月、工場・倉庫向けに気流シミュレーションと空調機レンタルを組み合わせたサービスを始めました。設備を大量導入する前に熱だまりを可視化できるため、投資負担を抑えたい事業者へ訴求できます。

2026年12月期第1四半期は、売上収益2,463億円、営業利益267億円で、ともに前年同期を上回りました。ただし主な成長源は精密・電子事業であり、熱中症対策サービスだけを理由に評価する銘柄ではありません。

  • 強気材料:受注高が前年同期比62.6%増。設備販売後のレンタル・サービス収益にも展開可能
  • 弱気材料:PER・PBRは10銘柄中で高め。半導体需要や海外大型案件の変動が株価を左右する
  • 購入ライン:直近株価から8〜12%下、または次回決算で受注増を再確認した後
  • 売却ライン:年初来高値へ接近して利益予想が据え置かれる場合、段階的に利益確定

2.クラボウ(3106)— ウェアラブルで作業者のリスクを捉える

クラボウは繊維だけでなく、IoTを使った作業者管理など環境メカトロニクス領域を持ちます。冷却用品を売る企業とは異なり、管理者が複数作業者の状態を把握する仕組みに接点を持てる点が特徴です。

2026年3月期は売上高・営業利益が減少した一方、政策保有株式の売却益が純利益を押し上げました。純利益の増加を本業回復と取り違えないことが重要です。

  • 強気材料:自己資本比率65.5%、予想PER11倍台。増配と自己株式取得も支え
  • 弱気材料:熱中症関連の売上寄与は全社規模に比べ限定的。本業の営業減益が続く可能性
  • 購入ライン:PBR1倍近辺、かつ化成品・繊維の回復を確認できる局面
  • 売却ライン:一時利益を除いた営業利益が改善しないまま高値を更新した場合

3.A&Dホロンホールディングス(7745)— WBGT測定の入口を押さえる

A&DはWBGT計を含む環境計測器を展開します。対策手順を運用するには、まず現場の暑さを測らなければなりません。法令対応の入口に位置する点が強みです。

2026年3月期は売上高693億円、営業利益92億円で増収増益。ROE12.9%、自己資本比率65.7%と、収益性と財務のバランスも比較的良好です。

  • 強気材料:計測・計量機器と医療・健康機器が堅調。規制対応需要と既存事業が重なる
  • 弱気材料:半導体関連事業は市況変動が大きく、WBGT計の伸びを相殺することがある
  • 購入ライン:予想PER15〜17倍、または計測事業の増益確認後
  • 売却ライン:半導体と計測の双方が減速し、ROEが10%を割り込む方向へ向かった場合

4.ワークマン(7564)— 現場へ届く販売網が強み

ワークマンはファン付きウェア、冷感素材、作業靴などを全国の店舗で販売できます。建設業だけでなく、物流、農作業、屋外レジャーまで顧客層が広いことが特徴です。

2026年3月期は営業総収入1,608億円、営業利益297億円で、いずれも前期比2桁増。ROE14.3%と収益性は高い一方、PBR3倍超で割安感は乏しくなっています。

  • 強気材料:PB商品の企画力、高い自己資本比率、既存店と出店の両方による成長
  • 弱気材料:天候不順や夏物在庫、円安による仕入れコスト。テーマ人気で株価が先行しやすい
  • 購入ライン:急騰局面を避け、直近高値から10%程度調整した水準を分割で監視
  • 売却ライン:夏物販売の失速と客数減少が月次で同時に表れた場合

5.コメリ(8218)— 農業・建設現場へ対策用品を届ける

コメリは地方の農業者や建設事業者へ接点を持ち、ファン付きウェア、飲料、遮熱用品、散水用品などをまとめて販売できます。猛暑時に来店客数が増えるだけでなく、プロ向け商品のまとめ買いを取り込めるかが焦点です。

2026年3月期は営業収益3,854億円、営業利益231億円で増収増益。PBRは1倍を下回る一方、ROEは高くありません。

  • 強気材料:PB商品の利益率、地方の店舗網、農業・建設向け販売の厚み
  • 弱気材料:既存店成長が緩やか。人件費、物流費、在庫処分が利益を圧迫しやすい
  • 購入ライン:PBR0.7倍前後を目安に、既存店売上の底堅さを確認
  • 売却ライン:客数減と粗利益率低下が複数四半期続いた場合

6.MonotaRO(3064)— 企業の反復購入をオンラインで取る

MonotaROは安全用品、温湿度計、送風用品、飲料などを法人顧客へ販売します。個別商品のヒットより、既存顧客が必要な用品を繰り返し購入する仕組みが投資上の魅力です。

2026年12月期第1四半期は売上高956億円、営業利益132億円で、それぞれ前年同期比20.8%、22.6%増。成長力は10銘柄でも上位ですが、その分だけ高いバリュエーションを許容する必要があります。

  • 強気材料:顧客数と取扱商品の拡大、高いROE、反復購入モデル
  • 弱気材料:高PER・高PBR。成長率が少し鈍るだけでも株価調整が大きくなりやすい
  • 購入ライン:一括購入を避け、決算ごとに売上・営業利益20%前後の成長継続を確認して分割
  • 売却ライン:売上成長率の大幅鈍化、顧客獲得費増加、利益率低下が重なった場合

7.TRUSCO中山(9830)— 現場用品を在庫で支える

TRUSCO中山は工場用扇風機、スポットクーラー、保護具、温湿度計など幅広い商品を扱います。多品種の在庫と物流網により、気温上昇時の急な需要へ応えやすい企業です。

予想PER10倍台、PBR0.8倍台で割安感がある一方、物流設備と在庫への先行投資がキャッシュフローを圧迫する局面があります。

  • 強気材料:ファクトリールートとECの拡大、豊富な在庫、自己資本比率60%台
  • 弱気材料:次期減益予想、物流投資負担、在庫増加による資金固定
  • 購入ライン:PBR0.8倍前後で、売上成長が営業利益へつながることを確認
  • 売却ライン:在庫と有利子負債が増え続け、利益率が低下した場合

8.山善(8051)— スポットクーラーと工場設備の両輪

山善は家庭用扇風機だけでなく、生産財・住設機器を扱う専門商社です。工場の暑熱対策では、スポットクーラーや大型扇風機を既存の取引先へ提案できる点が強みになります。

2026年3月期は売上高5,419億円、営業利益120億円で、営業利益は前期比26.3%増。もっとも、営業利益率は2%台で、仕入れ価格や競争の影響を受けやすい収益構造です。

  • 強気材料:全セグメント増収、省エネ・省人化需要、配当利回りの下支え
  • 弱気材料:薄利の商社モデル、円安、消費財の在庫調整
  • 購入ライン:PER14〜16倍を目安に、営業利益率の改善継続を確認
  • 売却ライン:売上が増えても営業利益率が再び2%を割り込む方向へ向かった場合

9.YUASA(8074)— 非住宅空調の設備投資を取り込む

2026年4月にユアサ商事から商号変更したYUASAは、住設・管材・空調部門を持つ専門商社です。同社は職場の熱中症対策義務化を見据えた需要により、空調関連機器が堅調だったと説明しています。

2026年3月期は売上高5,450億円、営業利益167億円、純利益120億円で増収増益。予想PER約10倍、PBR1倍前後、ROE10.5%は比較的バランスの取れた水準です。

  • 強気材料:空調需要が実際の部門業績へ波及。4期連続の最高益計画と株主還元
  • 弱気材料:住宅着工の低迷、資材価格、人手不足による工事遅延
  • 購入ライン:PBR1倍割れかつ空調部門の増益が続く局面
  • 売却ライン:非住宅設備投資が落ち込み、営業利益計画が下方修正された場合

10.大塚ホールディングス(4578)— 電解質補給を継続需要へつなげる

大塚HDはポカリスエットなどのニュートラシューティカルズ関連事業を持ちます。職場での水分・電解質補給は基本的な対策ですが、飲料は競合が多く、猛暑による販売増だけで全社業績を説明することはできません。

投資判断では、熱中症対策需要より医薬品の成長性が重要です。飲料は業績の安定要因として位置付け、主力薬の売上や研究開発費を合わせて見る必要があります。

  • 強気材料:ブランド力、海外展開、医薬品と健康関連製品による収益源の分散
  • 弱気材料:飲料の原材料・物流費、医薬品の特許・開発リスク、株価上昇後の割高感
  • 購入ライン:決算後の調整局面で、PERが過去レンジへ近づく場面を分割で監視
  • 売却ライン:主力医薬品の見通し悪化とニュートラシューティカルズの利益率低下が重なった場合

投資スタイル別の使い分け

短期は季節需給、中期は決算への寄与、長期は安全投資の定着を見ます。

短期向け

ワークマン、山善、コメリは、猛暑予報や月次販売、店頭在庫が株価材料になりやすい銘柄です。ただし、気温上昇が報じられた後では株価へ織り込み済みの場合があります。

短期では次を確認します。

  • 月次売上に客数増加が伴っているか
  • 出来高を伴う高値更新か
  • 猛暑報道だけで急騰していないか
  • 夏物在庫が秋以降の値引き損につながらないか

中期向け

A&DホロンHD、クラボウ、YUASA、TRUSCO中山は、制度対応が受注や部門利益へ表れるまで数四半期を見る投資に向きます。

購入後は「熱中症対策商品を発売した」というニュースではなく、計測機器、空調、作業用品の売上と利益率が伸びたかを決算で確認します。

長期向け

荏原、MonotaRO、大塚HDは、熱中症対策以外にも強い成長源を持ちます。テーマが一時的に失速しても、本業の競争力が残ることが長期保有の前提です。

ただし荏原とMonotaROは評価倍率が高めです。優良企業であることと、どの株価でも買えることは同じではありません。

テーマ全体の共通リスク

最大のリスクは、需要が増えても対象企業の利益が増えるとは限らないことです。

需要の季節性

冷却ウェア、扇風機、飲料は気温や梅雨の長さで販売が変動します。猛暑を前提に仕入れた在庫が残れば、値引きで粗利益率が下がります。

コストと供給制約

冷却機器やファン付きウェアは、モーター、電池、樹脂、電子部品を使います。円安や原材料高に加え、施工人員の不足も納期と利益率を圧迫します。

テーマの売上寄与が小さい

大手企業では、熱中症対策関連の売上が全社の数%にも満たない可能性があります。「関連商品がある」という事実と、「利益が大きく動く」という判断は分けなければなりません。

高値づかみ

猛暑予報や制度改正が報じられると、決算への寄与が確認される前に関連株が上昇することがあります。出来高急増後の一括購入は避け、決算とバリュエーションを見ながら時間を分ける方がリスクを抑えられます。

次に確認したい具体的なポイント

2026年夏の販売量より、秋以降も企業の安全投資が続くかが次の焦点です。

次回以降の決算では、以下を優先して確認します。

  • 荏原の気流解析・空調レンタルが継続受注へつながるか
  • A&DホロンHDの計測・計量機器事業が増収増益を維持するか
  • YUASAの空調関連需要が部門利益率を押し上げるか
  • ワークマン、コメリ、山善で夏物在庫が積み上がっていないか
  • MonotaROとTRUSCO中山で安全用品の需要が反復購入として残るか
  • 各社の成長率に対してPER・PBRが過度に先行していないか

熱中症対策は、暑い日に売れる商品を探すだけのテーマではありません。測る、知らせる、冷やす、補給するという一連の運用のうち、どこで継続的に利益を得られるかを見極める必要があります。

次の分岐点は、8月以降の決算と秋口の在庫です。夏の売上が増えても値引きや施工費で利益が残らなければ、テーマ株としての評価は続きません。

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